第37回介護福祉士国家試験【問題117】

<領域: 介護> 総合問題(総合問題2)

次の事例を読んで 問題117について答えなさい。
[事例] Cさん (90歳 女性) は, 動物好きで長年ペットのオウムを飼っている。 5年前に夫が亡くなったときも, ペットが大きな心の支えになった。 2年前、 身体の衰えから買物や調理などの家事が難しくなり, 一人暮らしが困難になったので,ペットと入所できる健康型有料老人ホームに入所した。 最近Cさんは, 毎週楽しみにしていたレクリエーションがある曜日や時間を忘れてしまう, トイレの場所がわからず失禁するなどの症状が繰り返し生じるようになってきた。 心配した娘がCさんと病院を受診したところ, アルツハイマー型認知症( dementia of the Alzheimer's type) と診断を受けた。 健康型有料老人ホームでは対応が困難になってきたため, 心配した娘はCさんが入所できる施設に移ることを検討し始めた。

問題117
次のうち, 最近のCさんの症状に該当するものとして, 最も適切なものを1つ選びなさい。

1 妄想
2 見当識障害
3 失語
4 遂行機能障害
5 観念失行

解答(クリック)
正答:2
解説:アルツハイマー型認知症では、記憶障害や見当識障害が初期から目立つ症状として現れる ことが多いです。Cさんの症状を詳しく分析し、適切な解答を選びます。

◆Cさんの症状
・「レクリエーションがある曜日や時間を忘れる」 → 時間の見当識障害
・「トイレの場所がわからず失禁する」 → 場所の見当識障害
時間や場所が分からなくなる症状は、見当識障害の典型的な特徴 です。したがって、「2 見当識障害」 が最も適切な解答と言えます。

各解答の解説は以下となります。

解答1:妄想→(不正解)
妄想(例:物盗られ妄想、被害妄想)は認知症の中期~後期にみられることが多いが、Cさんの症状には妄想の記述がないため不適切。

解答2:見当識障害→(正解)
見当識障害とは 時間・場所・人物などの認識ができなくなること。
Cさんは曜日や時間が分からず、トイレの場所も分からなくなっている ため、典型的な見当識障害の症状と一致。

解答3:失語→(不正解)
失語とは 言葉がうまく出てこない、言葉の意味が理解できない症状。
Cさんの症状には言語障害に関する記述がないため、不適切。

解答4:遂行機能障害→(不正解)
遂行機能障害とは 計画を立てたり、物事を順序立てて実行したりする能力が低下すること。
Cさんの問題は「時間や場所がわからない」ことであり、遂行機能障害とは異なる。

解答5:観念失行→(不正解)
観念失行とは 目的のある動作の手順が分からなくなる(例:歯を磨く動作ができない)。
Cさんの症状には観念失行に該当するものがない。

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