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辞めたくても辞められない
ナースさんなら一度は経験したことがある「在職強要」。これは退職したくても上司に無理矢理引き止められ、辞めさせてくれない事態を言います。
例えば・・
・退職届を出しても受け取ってもらえない。
・「後任が見つかるまでは辞められない」と言われて退職日を引き伸ばされる。
・「辞めたら減給する!損害賠償請求する!」と脅されて辞めることができない。
これらは立派な法律違反行為「パワーハラスメント(パワハラ)」になります。
【パワーハラスメントの定義】
・職場の地位や優位性を利用しているか否か、
・業務の適正な範囲を超えているか否か、
・精神的苦痛・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させているか否か
そして、上司・事業所が退職を無理やり引き留める権利は全くありません。
退職、通常は2週間~1か月前に通知すればOK
「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」
このように民法では2週間前に通知すればOKですが、事業所によっては就業規則に予め退職規定を定めているケースもあります。ただし、常識的には最長でも1か月~2か月です。
もしこれ以上の期間になるような常識範囲を超えた退職規定があった場合は、「労働者にとって明らかに不利な定め」になりますので、その就業規則は無効となる可能性が高いです。
強制引き留め・・に遭わない為の退職理由
上司・事業所側が引き留めにくい退職理由をご紹介します。
◆キャリア・スキルチェンジ<お勧め度【高】>
・勤務先の業種を変えたい。
・看護師を辞めて他の職種にチャレンジしたい。資格を取るための勉強に集中したい。
・〇〇の分野にチャレンジしたいけど、ここでは経験できないので退職したい。
※例:病院から美容クリニックに行きたい。どう工夫しても病院では叶えられないキャリア・スキルチェンジをネタにすると、そもそも交渉の余地がなく、退職を認めざる終えない。
◆第三者からの嘆願<お勧め度【中】>
・家族、パートナーからどうしても辞めて欲しいと言われた。
※自分ではなく第三者を理由にすることで退職を認めざる終えない状況に持ち込む。
・引っ越し(夫の転勤等)
・結婚・妊娠・出産
・育児・介護
【1】最悪の例「損害賠償請求をする」と脅される
雇用契約においては、違約金や損害賠償の予定をすることが禁じられています。
そのため「退職をしたら損害賠償請求をする」と脅されたとしても、あまり相手にする必要はありません。
仮に、会社の備品を壊してしまって賠償の必要がある場合でも、それと退職は全く別の問題ですので、退職すること自体には何ら問題ありません。
【2】最悪の例「後任が見つかるまでは退職を認めない」と言われる
後任が見つからないというのは、「会社側の都合」であり、労働者には関係ありません。
そのため、これを理由に退職が許されないことにはなりません。
「後任が見つかるまで待ってほしい」と言われ、それに従っていると、ズルズルと退職日だけが延びていくことになります。
このような場合は、「退職日までに引継ぎを終わらせます」と伝えて、退職日を延ばさないようにしましょう。
どうしても会社が退職を認めないなら「内容証明郵便で退職通知を会社に送り」、控えを手元に残しておくといいでしょう。
【3】最悪の例「残りの給与を支払わない」と言われる
会社が労働者に対して給与を支払うことは、会社の義務です。
たとえ退職のタイミングが悪くて会社に迷惑がかかるとしても、会社が給与を支払わないという選択肢はできません。
したがって、「給与を支払わない」と言われた場合は、退職後であっても未払い給与の支払い請求はできるので、その場では無理に言い返すことはせず「証拠となる資料を残しておく」ようにしましょう。
もし最悪の事態になった際は専門機関・労基署に相談を
退職は本来、一人でやるもの!と思われていましたが、精神的負担はとても大きいです。最近は在職強要が悪質化⇒社会問題化しています。女性専用で退職交渉を代行してくれるサービスもありますので、ご興味のある方は一度、ご覧ください。