
<領域:こころとからだのしくみ>障害の理解
問題54
A さん (76歳,女性) は, パーキンソン病 (Parkinson disease) と診断され,日常生活動作(Activities of Daily Living: ADL) は、車いすやベッド上で全介助である。 最近, 食事に時間がかかって嫌がるようになり, かすれ声が目立つようになった。 次のうち、現在のAさんに対して介護福祉職が留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 安静時振戦
2 筋固縮
3 仮面様顔貌
4 誤嚥(ごえん)
5 便秘
解説:パーキンソン病 (Parkinson disease) は、中脳の黒質にあるドーパミン神経の変性によって運動機能が障害される進行性の神経変性疾患です。
◆主な症状(運動症状)
1.安静時振戦(じっとしているときに手や足が震える)
2.筋固縮(筋肉がこわばる)
3.寡動・無動(動作が遅くなる、表情が乏しくなる)
4.姿勢反射障害(転びやすくなる)
◆非運動症状
・認知機能障害(認知症を合併することがある)
・便秘
・嗅覚障害
・うつ症状
・自律神経障害(低血圧、排尿障害など)
Aさんの状態から考えられる問題点は以下になります。
・食事に時間がかかる → 咀嚼・嚥下機能の低下が考えられる
・かすれ声が目立つ → 声帯の運動低下(発声機能の低下)が考えられる
・全介助が必要 → 病気が進行している状態
パーキンソン病が進行すると、嚥下機能(飲み込む力)が低下し、誤嚥(ごえん)を起こしやすくなる。嚥下障害が進行すると、誤嚥性肺炎のリスクが高まり、命に関わることもあるため、特に注意が必要なので、Aさんに対して介護福祉職が最も留意すべきことは 「4 誤嚥」 となります。
各解答の解説は以下になります。
解答1:安静時振戦(じっとしているときに手や足が震える)
→ パーキンソン病の代表的な症状ですが、進行すると振戦は目立たなくなることが多い。また、今回のAさんの食事の問題とは直接関係がないため、不適切。
解答2:筋固縮(筋肉のこわばり)
→ パーキンソン病の症状の1つであり、動作がぎこちなくなる原因。しかし、今回のケースで特に問題となるのは嚥下障害のため、最も適切とは言えない。
解答3:仮面様顔貌(かめんようがんぼう)(表情が乏しくなる)
→ パーキンソン病では顔の筋肉の動きが減り、表情が乏しくなることがある。しかし、食事の時間がかかることやかすれ声との関連は薄いため、最も適切な選択肢ではない。
解答4:誤嚥(ごえん)(飲み込む力が低下し、食べ物が気管に入る)
→ 正解。
・食事に時間がかかる → 嚥下機能の低下が疑われる
・かすれ声が目立つ → 声帯の動きが低下し、誤嚥のリスクが高まっている可能性がある
・誤嚥性肺炎のリスクが高いため、食事介助時の工夫(とろみをつける、姿勢を調整する、食事中の声かけを行うなど)が重要
解答5:便秘
→ パーキンソン病では自律神経の障害により便秘になりやすいが、今回のケースでは食事の問題やかすれ声の方が優先度が高いため、最も適切とは言えない。
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