次の文を読み42~44の問いに答えよ。
Aさん(31歳、1回経産婦)は既往歴に特記すべきことはない。妊娠経過は順調であった。妊娠38週6日に陣痛発来し、2時に入院した。分娩第2期遷延のためオキシトシンを用いて陣痛を促進し、23時に2,980gの男児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後、5分後ともに9点であった。分娩所要時間22時間、分娩時出血量450mL、会陰裂傷Ⅱ度、分娩後2時間の母児の経過は良好であった。
問題43
Aさんの乳房はⅢ型で、短乳頭である。第1子は混合栄養であったため、今回は母乳栄養を希望している。産褥3日、乳房は全体的に温かく乳房緊満軽度あり、乳腺の開口数3~4 本、乳輪部の圧迫で乳汁がにじむ。左乳頭に水疱がある。たて抱きで授乳しており、児頭の支えが不安定になっている。Aさんは「おっぱいが張って痛いし、赤ちゃんもうまく吸ってくれません」と話す。体温37.2 ℃、脈拍78/分。子宮収縮は良好である。このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。
1.直接授乳を中止する。
2.乳房全体を冷罨法する。
3.脇抱きでの授乳を勧める。
4.乳房緊満がなくなるまで搾乳をする。
解説:この問題では、Aさんが産褥3日に乳房緊満と授乳の問題を訴えている状況で、適切な対応を選択します。
【Aさんの状況を整理します】
・乳房はⅢ型で短乳頭
・第1子は混合栄養、今回は母乳栄養を希望
・乳房に温かさと軽度の乳房緊満
・乳腺の開口数3~4本
・乳輪部の圧迫で乳汁がにじむ
・左乳頭に水疱あり
・授乳時に児頭の支えが不安定
・「おっぱいが張って痛いし、赤ちゃんもうまく吸ってくれません」との訴え
・体温37.2℃、脈拍78/分、子宮収縮は良好
上記を踏まえた上で、各解答を見てみましょう。
解答1(直接授乳を中止する):直接授乳を中止することは、母乳栄養を希望しているAさんの希望に反し、母乳供給にも影響を与えるため適切ではありません。
解答2(乳房全体を冷罨法する):冷罨法は痛みを和らげ、乳房の腫れを軽減する効果がありますが、全体を冷やすのではなく、適度な冷罨法が推奨されます。
解答3(脇抱きでの授乳を勧める):たて抱きでの授乳時に児頭の支えが不安定であるため、脇抱きでの授乳を試みることは良い方法です。脇抱き(フットボールホールド)は、乳頭への負担を軽減し、乳児が乳房にうまくつけるのを助けることができます。特に短乳頭の場合や乳頭にトラブルがある場合には有効です。
解答4(乳房緊満がなくなるまで搾乳をする):乳房緊満がある場合、適度な搾乳は乳房の張りを軽減し、授乳をより容易にするために役立ちますが、過度の搾乳は母乳の過剰生成を引き起こす可能性があります。適度な搾乳は推奨されますが、「なくなるまで」というのは過度になる可能性があります。
したがって、最も適切な対応は解答3と言えます。
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