111回看護師国家試験問題と解答/2022年(令和4年)2月実施

第111回看護師国家試験の合格率・ボーダーライン・不適切問題等

厚生労働省が正式発表した111回看護師国家試験、105回助産師、108回保健師の受験データによると、合格率は、看護師が91.3%、助産師が99.4%、保健師が89.3%。いずれも新卒者の合格率が高かった。

第111回看護師国家試験の出願者数6万5,684人、受験者数6万5,025人、合格者数5万9,344人で、合格率は91.3%。このうち、新卒者の合格者数は5万7,057人で、合格率は96.5%。合格基準は必修問題40点以上/49点満点で必修問題不適切問題なし。一般・状況設定ボーダーは167点以上/250点満点、採点除外等の扱いをした問題は以下4問になりました。

【1】午前問題1
理由:正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する。(理由)問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため。

【2】午前問題6
理由:複数の選択肢を正解として採点する。(理由)複数の正解があるため。

【3】午前問題34
理由:複数の選択肢を正解として採点する。(理由)設問が不明確で複数の選択肢が正解と考えられるため。

【4】午後問題7
理由:正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する。(理由)問題として適切であるが、必修問題としては妥当でないため。

第111回看護師国家試験(午前問題)

問題1【採点除外等の取扱いをした問題】
【採点上の取扱い】正解した受験者については採点対象に含め、不正解の受験者については採点対象から除外する。【理由】問題として適切であるが、必修問題としては妥当ではないため。
労働力調査による労働力人口の令和元年(2019年)平均に最も近いのはどれか。

1. 4,800万人
2. 5,800万人
3. 6,800万人
4. 7,800万人
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問題2
日本の令和元年(2019年)の死亡数に近いのはどれか。

1. 98万人
2. 118万人
3. 138万人
4. 158万人

問題3
シックハウス症候群に関係する物質はどれか。

1. アスベスト
2. ダイオキシン類
3. 放射性セシウム
4. ホルムアルデヒド

問題4
後期高齢者医療制度の被保険者は、区域内に住居を有する( )歳以上の者、および65歳以上( )歳未満であって、政令で定める程度の障害の状態にあるとして後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者である。(  )に入るのはどれか。

1. 70
2. 75
3. 80
4. 85

問題5
患者の選択権の行使を最も促進するのはどれか。

1. 父権主義
2. 医師の裁量権
3. コンプライアンス
4. インフォームド・コンセント

問題6【採点除外等の取扱いをした問題】
【採点上の取扱い】複数の選択肢を正解として採点する。【理由】複数の正解があるため。
マズロー, A. H. の基本的欲求の階層で社会的欲求はどれか。2つ選べ。

1. 安全の欲求
2. 帰属の欲求
3. 承認の欲求
4. 睡眠の欲求
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問題7
胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。

1. 総頸動脈
2. 肺動脈
3. 臍動脈
4. 臍静脈

問題8
学童期の脈拍数の基準値はどれか。

1. 50~70/分
2. 80-100/分
3. 110-130/分
4. 140-160/分

問題9
日本の女性における平均閉経年齢に最も近いのはどれか。

1. 30歳
2. 40歳
3. 50歳
4. 60歳

問題10
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で次の世帯構造のうち最も少ないのはどれか。

1. 単独世帯
2. 三世代世帯
3. 夫婦のみの世帯
4. 夫婦と未婚の子のみの世帯





問題11
右大腿部前面に図を示す。
111回看護師国家試験午前問題11
大腿骨頸部はどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④

問題12
有害物質を無毒化し排泄する臓器はどれか。

1. 胃
2. 肝臓
3. 膵臓
4. 大腸

問題13
黄疸のある成人患者にみられる随伴症状はどれか。

1. 動悸
2. 難聴
3. 関節痛
4. 掻痒感

問題14
左前胸部から頭部や左上肢への放散痛が生じる疾患はどれか。

1.胃潰瘍
2.狭心症
3.胆石症
4.尿管結石症

問題15
成人女性の赤血球数の基準値はどれか。

1. 150~250万/μL
2. 350~450万/μL
3. 550~650万/μL
4. 750~850万/μL

問題16
Open-ended question(開かれた質問)はどれか。

1. 「頭は痛みませんか」
2. 「昨夜は眠れましたか」
3. 「気分は悪くありませんか」
4. 「自宅ではどのように過ごしていましたか」

問題17
深部体温に最も近いのはどれか。

1. 腋窩温
2. 口腔温
3. 鼓膜温
4. 直腸温

問題18
チェーン-ストークス呼吸はどれか。
111回看護師試験午前18問
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④

問題19
高齢者の義歯の取り扱い方法で正しいのはどれか。

1. 就寝時に外す。
2. 熱湯で洗浄する。
3. 保管時は乾燥させる。
4. 総義歯は奥歯を起点に外す。

問題20
使用後の注射針を廃棄する容器のバイオハザードマークの色はどれか。

1. 赤
2. 黄
3. 黒
4. 橙





問題21
成人の静脈血採血で適切なのはどれか。

1. 採血部位から2、3cm 中枢側に駆血帯を巻く。
2. 血管の走行に合わせ60度の角度で刺入する。
3. 採血後は刺入部位を圧迫しながら抜針する。
4. 刺入部位は5分以上圧迫し、止血する。

問題22
1回の気管内吸引を30 秒以上実施した場合に生じるのはどれか。

1. 嘔吐
2. 感染
3. 低酸素血症
4. 気道粘膜の損傷

問題23
上腕出血時の間接圧迫止血の部位はどれか。

1. 腋窩動脈
2. 尺骨動脈
3. 大腿動脈
4. 橈骨動脈

問題24
成人に対する一次教命処置(BLS)において、胸骨圧迫と人工呼吸の回数比は():2である。()に入るのはどれか。

1. 5
2. 10
3. 30
4. 50

問題25
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉において、結核が分類されるのはどれか。

1. 一類
2. ニ類
3. 三類
4. 四類
5. 五類

問題26
正常な心臓で心拍出量が減少するのはどれか。

1. 心拍数の増加
2. 大動脈圧の上昇
3. 静脈還流量の増加
4. 心筋収縮力の上昇

問題27
ワクチン接種後の抗体産生について正しいのはどれか。

1. ワクチン内の抗原を提示するのは好中球である。
2. 抗原に対して最初に産生される抗体はIgAである。
3. 抗原に対して血中濃度が最も高くなる抗体はIgMである。
4. 同じワクチンを2回使用すると抗原に対する抗体の産生量が増加する。

問題28
B細胞が抗原認識によって分化した抗体産生細胞はどれか。

1. マクロファージ
2. 形質細胞
3. 肥満細胞
4. T細胞

問題29
皮膚筋炎の皮膚症状はどれか。

1. 環状紅斑
2. 蝶形紅斑
3. ディスコイド疹
4. ヘリオトロープ疹

問題30
育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉における介護休業の取得で正しいのはどれか。

1. 介護休業は分割して取得することはできない。
2. 介護の対象者1人につき半年を限度に取得できる。
3. 要介護状態にある配偶者を介護するために取得できる。
4. 介護老人福祉施設に入所している家族の面会のために取得できる。





問題31
社会福祉法に基づき社会福祉協議会が推進するのはどれか。

1. がん対策
2. 男女共同参画
3. 就労の支援活動
4. ボランティア活動

問題32
日本の平成30年(2018年)の健康に関する指標の記述で正しいのはどれか。

1. 女性の死因の第3位は老衰である。
2. 男性の死因の第3位は肺炎である。
3. 女性の平均寿命は89年を超えている。
4. 男性の平均寿命は83年を超えている。

問題33
労働衛生の「3管理」とは、作業環境管理と作業管理と()である。()に入るのはどれか。

1. 健康管理
2. 総括管理
3. 労務管理
4. 出退勤管理

問題34【採点除外等の取扱いをした問題】
【採点上の取扱い】複数の選択肢を正解として採点する。【理由】設問が不明確で複数の選択肢が正解と考えられるため。
健康を人々の権利として明記したのはどれか。2つ選べ。

1. 世界保健機関(WHO)の健康に関する定義
2. ジュネープ宣言
3. 世界人権宣言
4. リスボン宣言
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問題35
地域連携クリニカルパスの目的はどれか。

1. 医療機関から在宅までの医療の継続的な提供
2. 地域包括支援センターと地域住民との連携
3. 地域医療を担う医療専門職の資質向上
4. 患者が活用できる社会資源の紹介

問題36
集団指導が望ましいのはどれか。

1. 胃全摘出術後の患者への退院指導
2. 1型糖尿病の学童を対象とした療養指導
3. 子宮顕癌の術後の神経因性勝脱の患者への間欠的自己導尿の指導
4. ヒト免疫不全ウイルス(HIV〉感染者への生活指導

問題37
上肢のフィジカルアセスメントの立位での実施場面の写真を別に示す。手のひらを上にして、肩の高さで水平に前方に両腕を伸ばしてもらった。その後、閉眼してもらうと、左腕が回内しながら下がっていった。アセスメントの結果で正しいのはどれか。
111回看護師試験午前37問
1. 位置覚の異常
2. 錐体路の障害
3. 小脳機能の異常
4. 関節可動域の障害

問題38
臥床患者の体位変換とボディメカニクスの原則との組合せで正しいのはどれか。

1. 仰臥位から側臥位───トルクの原理
2. 仰臥位から長座位───摩擦力
3. ベッドの内側への水平移動───力のモーメント
4. ベッドの頭部への水平移動───てこの第1種の原理

問題39
Aさん(24歳、男性)は急性虫垂炎の術後1日で、ベッド上で仰臥位になり右前腕から点滴静脈内注射が行われている。Aさんは左利きである。病室外のトイレまでAさんが移動するための適切な療養環境はどれか。

1. 履物はAさんの左手側に置く。
2. ベッド柵はAさんの右手側に設置する。
3. 輸液スタンドはAさんの左手側に置く。
4. ベッドは端座位時にAさんの足底が床につく高さにする。

問題40
全介助が必要な臥床患者の口腔ケアで適切なのはどれか。

1.スポンジブラシは水を含ませた後、絞って使用する。
2. 頸部を後屈した体位で実施する。
3. 終了後は口腔内を乾燥させる。
4. 舌苔は強くこすって除去する。





問題41
術後1日の手術創の正常な治癒過程として正しいのはどれか。

1. 創部の浮腫が起こる。
2. 肉芽組織が形成される。
3. コラーゲンが成熟し瘢痕組織となる。
4. 血管内皮細胞が新しい血管を形成する。

問題42
平成29年(2017年)の患者調査において医療機関を受診している総患者数が最も多いのはどれか。

1. 喘息
2. 糖尿病
3. 脳血管疾患
4. 高血圧性疾患

問題43
解離性大動脈瘤の破裂直後に出血性ショックとなった患者の症状として正しいのはどれか。

1. 黄疸
2. 浮腫
3. 顔面紅潮
4. 呼吸不全

問題44
Aさん(60歳、男性)は大動脈弁置換術を受け、ワルファリンの内服を開始することになった。Aさんが摂取を避けるべき食品はどれか。

1. 海藻
2. 牛乳
3. 納豆
4. グレープフルーツ

問題45
慢性膵炎患者の食事療法で制限が必要なのはどれか。

1. 蛋白質
2. カリウム
3. 食物繊維
4. アルコール

問題46
血中濃度の測定にあたり食事の影響を考慮すべきホルモンはどれか。

1. グルカゴン
2. メラトニン
3. コルチゾール
4. バゾプレシン

問題47
脳血管造影を行う患者の看護について適切なのはどれか。

1. 前日に頭部の剃毛を行う。
2. 検査中は患者に話しかけない。
3. 穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。
4. 検査30分前まで食事摂取が可能である。

問題48
Aさん(32歳、男性)は慢性副鼻腔炎と診断され経過観察をしていたが、改善せず手術を受けることになった。Aさんへの術後の生活についての説明で適切なのはどれか。

1. 咽頭にたまった分泌物は飲み込んでも良い。
2. 物が二重に見えるときは看護師に伝える。
3. 手術当日から入浴が可能である。
4. 臥床時は頭部を低く保つ。

問題49
幻肢痛について正しいのはどれか。

1. 術前から発症する。
2. 抗うつ薬は禁忌である。
3. 細菌感染が原因である。
4. 切断し喪失した部位に生じる。

問題50
乳房超音波検査を受ける女性患者への説明で正しいのはどれか。

1. 「検査当日は起床時から飲食をしないでください」
2. 「乳房を器具で挟んで検査します」
3. 「月経中は検査ができません」
4. 「仰向けで検査を行います」





問題51
Aさん(54歳、女性)は甲状腺機能亢進症と診断され、放射性ヨウ素内用療法を受けることとなった。
看護師の説明で正しいのはどれか。

1. 「治療前1週間は海藻類を摂取しないでください」
2. 「治療中は体を固定します」
3. 「治療後の副作用に脱毛があります」
4. 「治療後1週間は生野菜を摂取しないでください」

問題52
老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。

1. エリクソン
2. レビンソン
3. ペック
4. ユング

問題53
介護保険制度における施設サービスはどれか。

1. 介護医療院サービス
2. 小規模多機能型居宅介護
3. サービス付き高齢者向け住宅
4. 認知症対応型共同生活介護〈認知症高齢者グループホーム〉

問題54
30歳を100%とした生理機能と比較して、老年期において機能の残存率の平均値が最も低下するのは次のうちどれか。

1. 基礎代謝率
2. 最大換気量
3. 細胞内水分量
4. 神経伝導速度

問題55
高齢者の健康障害の特徴で正しいのはどれか。

1. 症状の出現は定型である。
2. 治療の効果が現れやすい。
3. 疾患の発生に心理的要因の影響は少ない。
4. 薬物の副作用〈有害事象〉が発生しやすい。

問題56
Aさん(83歳)は寝たきり状態で、便意を訴えるが3日間排便がみられない。認知機能に問題はない。昨晩下剤を内服したところ、今朝、紙オムツに水様便が少量付着しており、残便感を訴えている。このときのAさんの状態で考えられるのはどれか。

1. 嵌入便
2. 器質性便秘
3. 切迫性便失禁
4. 非急性感染性下痢

問題57
発育と発達に遅れのない生後6か月の男児。BCG接種の翌日に接種部位が赤く腫れ次第に増悪して膿がみられたため、母親は接種後4日目に医療機関に電話で相談し、看護師が対応した。児に発熱はなく、哺乳や機嫌は良好である。このときの看護師の説明で適切なのはどれか。

1. 「通常の反応です」
2. 「速やかに来院してください」
3. 「1週間後にまた電話をください」
4. 「患部をアルコール消毒してください」

問題58
新生児の出血性疾患で正しいのはどれか。

1. 生後48時間以内には発症しない。
2. 母乳栄養児は発症のリスクが高い。
3. 予防としてカルシウムを内服する。
4. 早期に現われる所見に蕁麻疹がある。

問題59
入院中の小児のストレス因子と発達段階の組合せで正しいのはどれか。

1. 見慣れない環境───新生児期
2. プライバシーの侵害───幼児期
3. 病気の予後への不安───学童期
4. 母子分離───思春期

問題60
A君(小学6年生)は病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫の治療を続けていた。現在、肺転移があり終末期にある。呼吸障害のため鼻腔カニューレで酸素(2L/分)を吸入中である。A君の食事摂取量は減っているが意識は清明である。1週後に院内で卒業式が予定されている。A君は「卒業式に出席したい」と話している。看護師のA君への対応として適切なのはどれか。

1. 両親に判断してもらおうと話す。
2. 今の状態では出席は難しいと話す。
3. 出席できるように準備しようと話す。
4. 出席を決める前に体力をつけようと話す。





問題61
ジェンダーの定義について正しいのはどれか。

1. 生物学的な性
2. 社会的文化的な性
3. 自己認識している性
4. 性的指向の対象となる性

問題62
日本の周産期の死亡に関する記述で正しいのはどれか。

1. 新生児死亡は生後1週未満の死亡をいう。
2. 死産は妊娠満 12週以後の死児の出産をいう。
3. 妊産婦死亡は妊娠中又は妊娠終了後満28日未満の女性の死亡をいう。
4. 今和元年(2019年)の人口動態統計では自然死産数が人工死産数よりも多い。

問題63
避妊法について適切なのはどれか。

1. 経口避妊薬は排卵を抑制する。
2. コンドーム法の避妊効果は99%以上である。
3. 基礎体温法は月経が不順な女性に有用である。
4. 子宮内避妊器具〈IUD〉は性交のたびに挿入が必要である。

問題64
マタニティブルーズについて正しいのはどれか。

1. 意欲低下が主症状である。
2. 症状は2週間以上持続する。
3. 好発時期は産後1か月ころである。
4. 産後のホルモンの変動が要因となる。

問題65
精神保健における一次予防はどれか。

1. 職場でうつ病患者を早期発見する。
2. 自殺企図者に精神科医療機関への受療を促す。
3. 統合失調症患者の社会参加のための支援を行う。
4. ストレスとその対処法に関する知識の啓発活動を行う。

問題66
認知行動療法で患者に期待できる効果はどれか。

1. 物事の捉え方のゆがみが修正される。
2. 自ら催眠状態に導くことができるようになる。
3. 過去の自分の態度についての自己洞察が深まる。
4. 自分の状態をあるがままに受け入れることができるようになる。

問題67
Aさん(22歳、統合失調症)は父親、母親、妹との4人暮らし。高校卒業後、アルバイトをしていたが、症状の悪化によって初めて精神科病院に入院した。退院後に一般企業で働きたいと希望している。看護師がAさんに提案するサービスで適切なのはどれか。

1. 行動援護
2. 就労移行支援
3. 自立生活援助
4. 地域定着支援

問題68
Aさん(80歳、女性)は1人暮らし。要介護2の認定を受け、長男(50歳、会社員)、長男の妻(45歳、会社員)、孫(大学生、男性)と同居することになった。長男の家の間取りは、洋室5部屋、リビング、台所である。Aさんは同居後に訪問看護を利用する予定である。訪問看護を利用するにあたりAさんの家族から「在宅介護は初めての経験なのでどうすればよいですか」と訪問看護師に相談があった。訪問看護師の説明で最も適切なのはどれか。

1. 「A さんの介護用ベッドはリビングに置きましょう」
2. 「A さんの介護に家族の生活リズムを合わせましょう」
3. 「活用できる在宅サービスをできる限り多く利用しましょう」
4. 「特定の同居家族に介護負担が集中しないように家族で話し合いましょう」

問題69
Aさん(73歳、男性)は慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法〈HOT〉を受けている。受診時にAさんが「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と訴えたため、外来看護師は入浴時の具体的な状況を確認した。
外来看護師がAさんに確認した内容で、息切れの原因と考えられるのはどれか。

1. 入浴はシャワー浴にしている。
2. 椅子に座って更衣を行っている。
3. 洗髪時にカニューレを外している。
4. 浴室の扉を開けたまま入浴している。

問題70
気管切開下で人工呼吸器を装着している利用者に対して、訪問看護事業所が災害に備えて行うことで適切なのはどれか。

1. 人工呼吸器の予備の回路を預かる。
2. 災害時の個別支援マニュアルを作成する。
3. 医療機関から非常用の人工呼吸器を借りる。
4. 事業所内に利用者が避難できる場所を確保する。





問題71
チューブ型の胃瘻の管理について、介護する家族に看護師が指導する内容で正しいのはどれか。

1. 「栄養剤の注入後に白湯を注入してください」
2. 「胃瘻のチューブはご家族で交換してください」
3. 「胃瘻のチューブは同じ位置に固定してください」
4. 「下痢のときは栄養剤の注入速度を速めてください」

問題72
病棟で患者の口腔ケア改善に取り組むために担当チームを作った。これは看護管理のプロセスのどれか。

1. 計画
2. 指揮
3. 統制
4, 組織化

問題73
多発性骨転移がある終末期の大腸癌患者(53歳、女性)が、外科病棟から緩和ケア病棟に夫に付き添われ転棟してきた。
転棟時の申し送りについて、緩和ケア病棟の看護師が外科病棟の看護師から収集する情報で最も優先すべきなのはどれか。

1. 疼痛コントロールの状況
2. 自宅の居住環境
3. 大腸癌の術式
4. 夫の面会頻度

問題74
看護師等の人材確保の促進に関する法律に規定されている、離職した看護師の復職の支援に関連する制度はどれか。

1. 看護師等免許保持者の届出
2. 特定行為に係る研修
3. 教育訓練給付金
4. 業務従事者届

問題75
災害発生時に行う START法によるトリアージで最初に判定を行う項目はどれか。

1. 意識
2. 呼吸
3. 循環
4. 步行

問題76
日本政府開発援助〈ODA〉の実施機関はどれか。

1. 世界保健機関〈WHO〉
2. 国際協力機構〈JICA〉
3. 国連開発計画〈UNDP〉
4. 赤十字国際委員会〈ICRC〉

問題77
脳の外側面を左右から見た模式図を示す。
111回看護師試験午前77問
右利きの健常成人のブローカの運動性言語中枢はどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
5. ⑤

問題78
眼の遠近調節を行う筋はどれか。

1. 下斜筋
2. 下直筋
3. 毛樣体筋
4. 上眼驗举筋
5. 瞳孔括約筋

問題79
咀嚼運動にかかわる脳神経はどれか。

1. 嗅神経
2. 滑車神経
3. 三叉神経
4. 動眼神経
5. 内耳神経

問題80
射出される精子が通るのはどれか。

1. 精妻
2. 尿管
3. 尿道
4. 膀胱
5. 前立腺





問題81
心電図を別に示す。心電図の記録速度は25mm/秒である。
111回看護師試験午前81問
心電図波形によって計測した心拍数で正しいのはどれか。

1. 30/分以上、50/分未満
2. 50/分以上、70/分未満
3. 70/分以上、90/分未満
4. 90/分以上、100/分未満
5. 100/分以上、110/分未満

問題82
急性大動脈解離において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類はどれか。

1. NYHA分類
2. スタンフォード分類
3. キリップ分類
4. ドベーキー分類
5. フォレスター分類

問題83
タイムアウトによって予防できるのはどれか。

1. 患者の誤認
2. 抗癌薬の曝露
3. 個人情報の漏洩
4. ベッドからの転落
5. 血液を媒介とする感染

問題84
安静臥床による廃用症候群で生じるのはどれか。

1. 1回換気量の増加
2. 循環血液量の増加
3. 基礎代謝の上昇
4. 骨吸収の亢進
5. 食欲の増進

問題85
Aさんは職場の上司に不満をぶつけたいと考えているが、それができないので、不満をぶつけやすい対象である後輩を叱責している。Aさんの防衛機制で正しいのはどれか。

1. 解離
2. 昇華
3. 合理化
4. 置き換え
5. 反動形成

問題86
ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

1. 測定値の上限は10%である。
2. 赤血球の寿命によって測定値は変動する。
3. 過去1、2週間の血糖値管理の指標である。
4. グリコアルブミンより短期間の血糖値管理の指標である。
5. ヘモグロビンにブドウ糖が結合した糖化蛋白質のことである。

問題87
急性胆管炎の代表的な3症状を示すシャルコー3徴に含まれるのはどれか。2つ選べ。

1. 黄疸
2. 嘔吐
3. 下痢
4. 発熱
5. 意識障害

問題88
高齢者の総合機能評価CGA簡易版〈CGA7〉で評価するのはどれか。2つ選べ。

1. BMI
2. 意欲
3. 職業歴
4. 新機器の利用
5. 日常生活動作〈ADL〉

問題89
自閉症スペクトラム障害にみられるのはどれか。2つ選べ。

1. 運動性チックが出現する。
2. 計算の習得が困難である。
3. 不注意による間違いが多い。
4. 習慣へのかたくななこだわりがある。
5. 非言語的コミュニケーションの障害がある。

問題90
100mg/5mLと表記された注射薬を75mg与薬するのに必要な薬液量を求めよ。ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。





次の文を読み91〜93の問いに答えよ。

Aさん(60歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。Aさんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。

問題91
人体の前面と背面を図に示す。
111回看護師試験午前91問
Aさんの人工肛門が増設される位置はどれか。

1. ①
2. ②
3. ③
4. ④

問題92
Aさんの手術は予定通り終了した。
術後1日、会陰部から挿入されたドレーンからは、淡血性の排液が10mL/時で流出していた。バイタルサインが安定していることを確認した後、ファウラー位にして15分が経過したところで、Aさんからナースコールがあった。看護師が訪室すると「おしりが濡れているような気がする」と言う。確認すると、会陰部のガーゼに淡血性の浸出液を認めた。
Aさんへの対応で最も優先度が高いのはどれか。

1. ファウラー位から仰臥位にする。
2. ドレーンの屈曲を確認する。
3. 排液バッグを交換する。
4. 会陰部を消毒する。

問題93
術後10日、Aさんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。Aさんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。

1. 「面板は1日2回交換してください」
2. 「装具の交換は滅菌手袋を使用してください」
3. 「面板除去部の皮膚はお湯で洗浄してください」
4. 「定期的に人工肛門の大きさを確認してください」

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。

Aさん(50歳、男性、会社員)は妻と高校生の息子との3人暮らし。仕事を生きがいに働き続けていた。慢性腎不全のため透析治療が必要になったが、本人の希望で連続携行式腹膜灌流法(CAPD)を導入することになり入院した。Aさんはこれからの生活がどのようになるのかを看護師に質問した。

問題94
Aさんに対する説明として正しいのはどれか。

1. 「食事療法が必要です」
2. 「通院は週に2、3回必要です」
3. 「宿泊を伴う旅行はできません」
4. 「カテーテル挿入術後の翌日から入浴できます」

問題95
Aさんはできるだけ早い職場復帰を望んでおり、入院中はCAPDの操作に熱心に取り組んでいた。退院後、CAPDを1日4回(0時、6時、12時、18時)行うことになった。
Aさんが会社の昼休みにCAPDを行うために必要な設備はどれか。2つ選べ。

1. 透析液を保管する冷蔵庫
2. 透析液を温める電子レンジ
3. 透析液の交換時に使用する個室
4. CAPDの物品を保管する専用棚
5. 透析液の貯留中に使用するベッド

問題96
Aさんは主治医からCAPDの合併症に腹膜炎があると聞きました。腹膜炎に早く気付くにはどうすればよいですか」と看護師に質問した。
Aさんに指導する観察項目はどれか。2つ選べ。

1. 腹痛
2. 体重の増加
3. 腹部の張り
4. 下肢のむくみ
5. 透析液の排液のにごり





次の文を読み97〜99の問いに答えよ。

Aさん(70歳、女性)は1人暮らし。夫とは1年前に死別した。近くの診療所で高血圧症と心不全と診断され、内服治療をしていた。月1回は診療所で内服薬の処方と食事指導や体重測定などの生活指導を受けていたが、時々薬を飲んだことを忘れてしまうことがあった。日常生活は自立しており、認知機能は問題ない。週2日、事務職のパートとして働いており、電車を使って通勤していた。息子(42歳)と娘(37歳)は仕事のため遠方に住んでいる。1か月前からAさんは家事や外出するときに軽い息切れを感じるようになり、2、3日前からは咳と痰が出るようになった。両足のむくみが出てきたため、診療所から自宅近くの病院を紹介され外来受診した。

身体所見:
意識は清明。身長159cm、体重61.3kg。
体温 37.1℃、呼吸数21/分、脈拍95/分、不整、血圧 164/96 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(room air)。
両下肢に軽度の浮腫を認めた。

問題97
外来看護師がAさんに対して優先して確認するのはどれか。

1. 通院の方法
2. 最近の体重の増減
3. パートの仕事内容
4. 自宅での1日の過ごし方

問題98
診察の結果、Aさんは心不全の悪化を認めたため入院することになり、個室を希望した。入院後、酸素マスクによる酸素療法や利尿薬による薬物療法、塩分制限などの食事療法が開始された。入院3日、夜勤の看護師から日勤の看護師への朝の申し送りで、昨晩のAさんは夜間全く眠っていないこと、「ここはどこですか」と繰り返し尋ねてきたこと、娘が学校から帰ってくるのを待っていると言って病室の
入り口を気にしていたことが報告された。日勤の看護師は、Aさんの睡眠状況を改善する必要があると考え、Aさんへの対応について検討した。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。

1. 終日、病室を明るくする。
2. 日中眠っていたら覚醒を促す。
3. 睡眠導入薬の使用を医師に相談する。
4. 夜間覚醒している場合は、夜は眠るよう説得する。

問題99
入院後10日。入院治療により全身状態は改善し、夜間の睡眠もとれるようになったため、Aさんは退院することになった。Aさんは「入院していて体力が落ちてしまい、動くと疲れてしまう」と言っている。また、看護師に「医師から退院したら元の仕事はしてよいといわれました。これまでの生活を続けたいと思っています。また入院するのは嫌なので、今後の生活で気をつけることはありますか」と尋
ねてきた。
このときの看護師の対応で適切なのはどれか。

1. 「薬の管理はお薬カレンダーを使いましょう」
2. 「通勤するときに駅の階段を使いましょう」
3. 「水分は1日2,000 mL 摂りましょう」
4. 「塩分を1日9g摂りましょう」





次の文を読み100~102の問いに答えよ。

Aちゃん(生後24日、女児)は両親と3人暮らし。母親が母子健康手帳の便色カードを見て、Aちゃんの便色が気になったため、Aちゃんを連れて近所の小児科医院を受診した。Aちゃんは在胎39週、出生体重3,100g、出生時に異常はない。
現在、混合栄養で体重は3,700gである。体温 37.2℃、呼吸数36/分、心拍数108/分、整、血圧78/44mmHg。眼球結膜に黄染を認める。
血液検査結果:Hb12.6g/dL、白血球7,800/L、血小板21万/L、プロトロンビン時間〈PT〉88%、総ビリルビン11.3mg/dL、直接ビリルビン9.5mg/dL、AST96U/L、ALT126U/L。
紹介先の病院で腹部超音波検査を実施した結果、Aちゃんは胆道閉鎖症の疑いがあり入院した。

問題100
Aちゃんの便として考えられるのはどれか。

1. 褐色便
2. 灰白色便
3. タール便
4. イチゴゼリー様便

問題101
Aちゃんは入院7日に術中胆道造影検査で胆道閉鎖症と確定診断された。手術は無事に終了した。術後は絶食となり、腹腔ドレーンが挿入され、持続的点滴静脈内注射が行われている。母親は疾患や治療について理解している。術後3日、付き添っていた母親は看護師に「A はおなかが空いて泣き止まないし、私はAを抱っこもできず、何もしてあげられません。つらいです」と涙を浮かべて話した。
看護師の母親への対応で、最も適切なのはどれか。

1. 話しかけやおしゃぶりの活用など母親ができることを伝える。
2. 早期発見だったのでAちゃんは早く退院できると説明する。
3. 心療内科の受診を勧める。
4. 患者家族会を紹介する。

問題102
術後5日、Aちゃんは経口摂取が可能になり順調に経過している。医師から母親に、胆汁の排泄を促すために利胆薬の内服が重要であると説明があり、散剤が処方された。母親から看護師に「赤ちゃんに粉の薬をどうやって飲ませたらよいのでしょうか」と質問があった。看護師は散剤を(  )に混ぜて飲ませることを説明した。
(  )に入るのはどれか。

1. 果汁
2. 白湯
3. 人工乳
4. はちみつ





次の文を読み103~105の問いに答えよ。

Aさん(30歳、初産婦)はX年2月5日に妊婦健康診査のために来院した。X年2月のカレンダーにAさんの受診日と分娩予定日を示す。

問題103
看護師は、医師からAさんの母子健康手帳に受診時の妊娠週数と日数を記入するよう依頼された。
111回看護師試験午前103問
Aさんの受診時の妊娠週数および日数で正しいのはどれか。

1. 妊娠35週5日
2. 妊娠35週6日
3. 妊娠36週5日
4. 妊娠36週6日

問題104
AさんにLeopold〈レオポルド〉触診法で触診を行ったところ、第2胎向で、子宮底付近にやや柔らかい球状の塊を、恥骨結合側に硬い球状のものを触れた。
腹部前面を図に示す。
111回看護師試験午前104問
Aさんの胎児心音聴取部位で適切なのはどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④

問題105
Aさんは「自分の子どもが生まれて、どんなふうにあやすかな、とか、オムツを替えるかなと自分が子育てをしている場面を思い浮かべます」と笑顔で話している。看護師はAさんの様子をルービン,R.が示した母親役割獲得過程に当てはめてどの段階にあるかをアセスメントした。
Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。

1. 空想
2. 模倣
3. 取り込み
4. ロールプレイ





次の文を読み106~108の問いに答えよ。

Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130bpm、胎児の推定体重は3,300gであった。

問題106
入院時のAさんと胎児の状態で正しいのはどれか。

1. 過期産である。
2. 高年妊婦である。
3. 胎児心拍数基線は正常である。
4. 低出生体重児となる可能性が高い。

問題107
午後0時、助産師が内診したところ、子宮口開大4cmであった。Aさんは陣痛発作時に腰痛を強く訴えている。Aさんの夫(37歳)は、夫婦で出産体験を共有したいと両親学級を受講しており、入院時からAさんに付き添っている。夫はAさんの陣痛発作時、心配そうにAさんの様子を見つめているが、陣痛間欠時にはうとうとしている。訪室した看護師に、夫から「妻が痛がっているのですが、どうすればよいでしょう」と質問があった。胎児心拍数基線は140bpmであった。
このときの看護師の夫への対応で最も適切なのはどれか。

1. 別室での休憩を促す。
2. 分娩経過について説明する。
3. Aさんと病棟内を歩行するように促す。
4. 産痛を緩和するためのマッサージの実施を促す。

問題108
Aさんの分娩は順調に進行した。午後5時に破水し、午後6時には子宮口開大8cmとなった。「便が出そうです。もう、これ以上頑張れない」と陣痛発作時には全身に力が入っている。
このときの看護師の声かけで正しいのはどれか。

1. 「リラックスするためにお風呂に入りましょう」
2. 「赤ちゃんのために我慢しましょう」
3. 「トイレに行って排便しましょう」
4. 「息を吐いて力を抜きましょう」





次の文を読み 109~111の問いに答えよ。

Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、レビー小体型認知症と診断された。

問題109
Aさんに出現している睡眠障害はどれか。

1. ナルコレプシー
2. レム睡眠行動障害
3. 睡眠時無呼吸症候群
4. 睡眠・覚醒スケジュール障害

問題110
Aさんは定期的に精神科外来を受診することになった。受診6か月後、Aさんは足の筋肉がこわばり、動きが鈍くなった。また、幻視を訴える頻度が増え、感情のコントロールができず、妻に暴言や暴力を振るうことが多くなったため、精神科病院に入院となった。入院日、Aさんは歩行時に床に子どもが寝転んでいると訴えて、子どもをよける動作で転びそうになった。また、突然、興奮して大声で怒り出すため、同室患者が苦情を訴えた。
Aさんへの看護師の対応で適切なのはどれか。

1. Aさんに別の病室へ移動することを提案する。
2. 歩行時は看護師と一緒に歩くように声をかける。
3. 怒りをコントロールできる方法を見つけるように伝える。
4. 床に子どもがいるように見えるのは幻視であることを説明する。

問題111
Aさんの入院中に妻は自営業の仕事を減らし、自宅でAさんを介護する準備を整えた。Aさんが退院し、3か月が経過したころ、Aさんの妻が3週間程度の予定で入院して手術をすることになった。Aさんは杖を使用し散歩ができるが、入浴や食事については妻が介護を行っていた。
妻の入院中にAさんに必要なサービスはどれか。

1. 短期入所〈ショートステイ〉
2. 精神科病院への入院
3. 重度訪問介護
4. 同行援護





次の文を読み 112~114の問いに答えよ。

Aさん(23歳、女性)は大学を卒業後、会社に就職して1人暮らしを始めた。入社後に「会社の制服が似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にるいそうが目立つようになった。「太るのが怖い」と言って食事を拒否するようになり、体重は1年間で10kg減少した。しかし、本人は「まだ太っているから、痩せないといけない」と話していた。久しぶりにAさんと会った母親が、過度のるいそうを心配して、内科受診を勧めた。内科ではるいそう以外に大きな異常を認めず、精神科受診を勧められた。精神科では神経性無食欲症と診断され、外来通院を開始した。その後、低血糖によるふらつきのため職場で頻回に転倒するようになった。それでも食事を十分に摂らないため、精神科病棟へ入院した。入院時、身長166cm、体重36kgであった。入院後、食事のほかに