
第114回看護師国家試験の合格率・ボーダーライン・不適切問題等
・114回看護師国家試験
合格率は90.1%(新卒は 95.9%)。合格基準は、必修問題は40点以上/50点満点、一般問題・状況設定問題は148点以上/250点満点が合格のホーダーラインとなりました。尚、採点除外の問題はありませんでした。
・111回保健師試験
受験者数7,658人、合格者数7,196人、合格率は94.0%。合格基準は一般問題を1問1点(75点満点)、状況設定問題を1問2点(70点満点)とし、総得点87点以上/145点を満たす者。
・108回助産師試験
受験者数2,050名、合格者数の2,027名で合格率は98.9%。合格基準は、一般問題を1問1点(75点満点)、状況設定問題を1問2点(70点満点)とし、総得点87点以上/145点を満たす者。
午前問題120問(解答と解説)
問題1
日本の令和4年 (2022年) の生産年齢人口の構成割合に最も近いのはどれか。
1. 40%
2. 50%
3. 60%
4. 70%
解説:
1. 解答:40%(→不正解)令和4年(2022年)の日本の生産年齢人口の割合は、40%ではありません。
2. 解答:50%(→不正解)令和4年(2022年)の日本の生産年齢人口の割合は、50%ではありません。
3. 解答:60%(→正解)日本の令和4年(2022年)の生産年齢人口の構成割合に最も近いのは60%です。
4. 解答:70%(→不正解)令和4年(2022年)の日本の生産年齢人口の割合は、70%ではありません。
問題2
平均寿命で正しいのはどれか。
1. 0歳の平均余命である。
2. 50 歳の平均余命である。
3. 死亡者の平均年齢である。
4. 健康な60歳の健康寿命と同じである。
解説:
1. 解答:0歳の平均余命である。(→正解)平均寿命は、0歳時点での平均余命を指します。
2. 解答:50歳の平均余命である。(→不正解)50歳の平均余命は、50歳まで生存した人がその後平均してあと何年生きられるかを示すもので、平均寿命とは異なります。
3. 解答:死亡者の平均年齢である。(→不正解)死亡者の平均年齢は、その年に亡くなった人々の平均年齢であり、平均寿命とは異なります。
4. 解答:健康な60歳の健康寿命と同じである。(→不正解)健康寿命は、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、平均寿命とは異なります。
問題3
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で、 運動習慣のある割合が最も高いのはどれか。
1. 20 歳代
2. 40歳代
3. 60歳代
4. 70 歳以上
解説:
1. 解答:20歳代(→不正解)20歳代は他の年齢層に比べて運動習慣のある割合が最も高いわけではありません。
2. 解答:40歳代(→不正解)40歳代は他の年齢層に比べて運動習慣のある割合が最も高いわけではありません。
3. 解答:60歳代(→不正解)60歳代は他の年齢層に比べて運動習慣のある割合が最も高いわけではありません。
4. 解答:70歳以上(→正解)令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査によると、運動習慣のある割合が最も高いのは70歳以上の年齢層です。
問題4
高齢者の転倒予防のための環境づくりで適切なのはどれか。
1. 玄関にマットを敷く。
2. 廊下に手すりをつける。
3. 夜間は廊下の照明を消す。
4. 椅子にキャスターをつける。
解説:
1. 解答:玄関にマットを敷く。(→不正解)マットは滑りやすく、つまずきの原因となるため、転倒予防には不適切です。
2. 解答:廊下に手すりをつける。(→正解)廊下に手すりをつけることで、歩行時の安定性が増し、転倒を予防することができます。
3. 解答:夜間は廊下の照明を消す。(→不正解)夜間の照明を消すと視界が悪くなり、転倒のリスクが高まるため、不適切です。
4. 解答:椅子にキャスターをつける。(→不正解)キャスター付きの椅子は動きやすく、安定しないため、転倒のリスクを高める可能性があります。
問題5
医療保険の給付の対象となるのはどれか。
1. 疾病の診察
2.人間ドック
3. 市販薬の購入
4. 定期予防接種
解説:
1. 解答:疾病の診察(→正解)医療保険は、病気や怪我の治療を目的とした診察や検査、治療に対して給付が行われます。
2. 解答:人間ドック(→不正解)人間ドックは、病気の早期発見を目的とした健康診断であり、原則として医療保険の給付対象外です。
3. 解答:市販薬の購入(→不正解)市販薬は、医療機関での処方箋なしに購入できる薬であり、医療保険の給付対象外です。
4. 解答:定期予防接種(→不正解)定期予防接種は、感染症の予防を目的として国や自治体が行うものであり、医療保険の給付対象外です。
問題6
マズロー, A. H.(Maslow, A. H.) の基本的欲求の階層で生理的欲求はどれか。
1. 仲間を持ちたい。
2. 空腹を満たしたい。
3. 自分らしくありたい。
4. 他者から称賛されたい。
解説:
1. 解答:仲間を持ちたい。(→不正解)仲間を持ちたいという欲求は、マズローの欲求階層説における「社会的欲求」に該当します。
2. 解答:空腹を満たしたい。(→正解)空腹を満たしたいという欲求は、マズローの欲求階層説における「生理的欲求」に該当します。
3. 解答:自分らしくありたい。(→不正解)自分らしくありたいという欲求は、マズローの欲求階層説における「自己実現の欲求」に該当します。
4. 解答:他者から称賛されたい。(→不正解)他者から称賛されたいという欲求は、マズローの欲求階層説における「尊厳欲求」に該当します。
問題7
胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。
1.臍静脈
2.臍動脈
3. 肺静脈
4. 肺動脈
解説:
1. 解答:臍静脈(→正解)胎盤で酸素を受け取った血液は臍静脈を通り、胎児の体内へ供給されます。
2. 解答:臍動脈(→不正解)臍動脈は、胎児から胎盤へ二酸化炭素や老廃物を運ぶ血管です。
3. 解答:肺静脈(→不正解)肺静脈は、肺で酸素化された血液を心臓へ運ぶ血管ですが、胎児期には肺が機能していないため、酸素を多く含む血液は流れていません。
4. 解答:肺動脈(→不正解)肺動脈は、心臓から肺へ血液を運ぶ血管ですが、胎児期には肺が機能していないため、酸素を多く含む血液は流れていません。
問題8
永久歯が生え始める目安となる年齢はどれか。
1. 3歳
2. 6歳
3. 9歳
4. 12歳
解説:
1. 解答:3歳(→不正解)3歳頃は乳歯が生え揃う時期であり、永久歯が生え始める時期ではありません。
2. 解答:6歳(→正解)一般的に、永久歯は6歳頃から生え始めます。
3. 解答:9歳(→不正解)9歳頃には、すでに永久歯が生え始めていることが多いです。
4. 解答:12歳(→不正解)12歳頃には、ほとんどの乳歯が永久歯に生え変わっています。
問題9
学童の体格を評価するのに用いるのはどれか。
1. Kaup 〈カウプ〉 指数
2. Rohrer〈ローレル > 指数
3. Tanner 〈タナー〉の分類
4. Scammon 〈スキャモン〉 の発育曲線
解説:
1. 解答:Kaup〈カウプ〉指数(→正解)カウプ指数は、乳幼児の体格を表す指標として用いられます。
2. 解答:Rohrer〈ローレル〉指数(→不正解)ローレル指数は、学童から成人の体格を表す指標として用いられます。
3. 解答:Tanner〈タナー〉の分類(→不正解)タナーの分類は、第二次性徴の発達段階を評価するために用いられます。
4. 解答:Scammon〈スキャモン〉の発育曲線(→不正解)スキャモンの発育曲線は、身体の各組織・器官の発育様式を示すものです。
問題10
令和4年(2022年) の国民生活基礎調査で全世帯に占める65歳以上の者がいる世
帯の割合に最も近いのはどれか。
1. 10 %
2. 30 %
3. 50 %
4. 70 %
解説:
1. 解答:10%(→不正解)令和4年(2022年)の国民生活基礎調査において、65歳以上の者がいる世帯の割合は10%ではありません。
2. 解答:30%(→不正解)令和4年(2022年)の国民生活基礎調査において、65歳以上の者がいる世帯の割合は30%ではありません。
3. 解答:50%(→正解)令和4年(2022年)の国民生活基礎調査において、65歳以上の者がいる世帯の割合に最も近いのは50%です。
4. 解答:70%(→不正解)令和4年(2022年)の国民生活基礎調査において、65歳以上の者がいる世帯の割合は70%ではありません。
問題11
眼球運動を行う神経はどれか。
1. 視神経
2. 外転神経
3. 顔面神経
4. 三叉神経
解説:
1. 解答:視神経(→不正解)視神経は、網膜からの視覚情報を脳に伝える役割を担っています。
2. 解答:外転神経(→正解)外転神経は、外直筋を支配し、眼球を外側へ動かす役割を担っています。
3. 解答:顔面神経(→不正解)顔面神経は、顔面の表情筋の運動や味覚、涙や唾液の分泌に関与しています。
4. 解答:三叉神経(→不正解)三叉神経は、顔面の感覚や咀嚼筋の運動に関与しています。
問題12
成人の食道の構造で正しいのはどれか。
1. 胃の幽門につながる。
2. 上1/3が平滑筋である。
3. 生理的狭窄部位がある。
4. 長さは約45cm である。
解説:
1. 解答:胃の幽門につながる。(→不正解)食道は胃の噴門につながります。幽門は胃の出口です。
2. 解答:上1/3が平滑筋である。(→不正解)食道の上1/3は横紋筋であり、下に行くにつれて平滑筋の割合が増えます。
3. 解答:生理的狭窄部位がある。(→正解)食道には、いくつかの生理的狭窄部位が存在します。
4. 解答:長さは約45cmである。(→不正解)成人の食道の長さは約25cmです。
問題13
心電図波形を以下に示す。
心室脈拍(ventricular tachycardia)はどれか。
1. (1)
2. (2)
3. (3)
4. (4)
解説:心室頻拍では、心電図において規則的で広いQRS波形が高速で繰り返されるのが特徴です。(4)の波形は、QRS波が非常に広く、規則的に高頻度で出現しているため、心室頻拍の典型的な特徴を示しています。
問題14
閉塞性黄疸(obstructive jaundice)の患者にみられる便の色はどれか。
1. 赤
2. 黄
3. 黑
4. 灰 白
解説:
1. 解答:赤(→不正解)赤色の便は、下部消化管からの出血を示唆します。
2. 解答:黄(→不正解)黄色の便は、正常な便の色に近いですが、閉塞性黄疸では見られません。
3. 解答:黒(→不正解)黒色の便は、上部消化管からの出血(タール便)を示唆します。
4. 解答:灰白(→正解)閉塞性黄疸では、胆汁が腸管に排出されないため、便の色が薄くなり、灰白色になります。
問題15
下垂手の原因はどれか。
1. 尺骨神経麻痺
2. 正中神経麻痺
3. 橈骨神経麻痺
4. 腓骨神経麻痺
解説:
1. 解答:尺骨神経麻痺(→不正解)尺骨神経麻痺では、手指の巧緻運動障害や感覚障害が見られますが、下垂手は主な症状ではありません。
2. 解答:正中神経麻痺(→不正解)正中神経麻痺では、手根管症候群や猿手変形が見られますが、下垂手は主な症状ではありません。
3. 解答:橈骨神経麻痺(→正解)橈骨神経麻痺は、手関節や手指の伸展に関わる神経の麻痺であり、下垂手の原因となります。
4. 解答:腓骨神経麻痺(→不正解)腓骨神経麻痺は、足関節の背屈や外反に関わる神経の麻痺であり、下垂足の原因となります。
問題16
前立腺肥大症患者(prostatic hyperplasia)の頻尿の原因。
1. 多尿
2. 残尿量の增加
3. 膀胱刺激症状
4.器質的膀胱容量の減少
解説:
1. 解答:多尿(→不正解)多尿は頻尿の原因の一つですが、前立腺肥大症に特有の原因ではありません。
2. 解答:残尿量の増加(→正解)前立腺肥大により尿道が圧迫され、排尿後に膀胱内に尿が残りやすくなるため、頻尿の原因となります。
3. 解答:膀胱刺激症状(→不正解)膀胱刺激症状は、膀胱炎などで見られる症状であり、前立腺肥大症に特有の原因ではありません。
4. 解答:器質的膀胱容量の減少(→不正解)器質的膀胱容量の減少は、膀胱の物理的な容量が減少することであり、前立腺肥大症に特有の原因ではありません。
問題17
尿中ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
1. 痛風(gout)
2. 肝硬変(cirrhosis)
3. 糖尿病(diabetes mellitus)
4. ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)
解説:
1. 解答:痛風(→不正解)痛風は、尿酸の代謝異常により関節に炎症が起こる疾患であり、尿中ケトン体とは直接的な関連はありません。
2. 解答:肝硬変(→不正解)肝硬変は、肝臓の慢性的な炎症により肝機能が低下する疾患ですが、尿中ケトン体とは直接的な関連はありません。
3. 解答:糖尿病(→正解)糖尿病では、インスリンの作用不足により糖の利用が阻害され、代わりに脂肪が分解されるため、ケトン体が産生され、尿中に排泄されます。
4. 解答:ネフローゼ症候群(→不正解)ネフローゼ症候群は、蛋白尿、低アルブミン血症、浮腫などを特徴とする疾患ですが、尿中ケトン体とは直接的な関連はありません。
問題18
抗癌剤の副作用(有害事象)骨髓抑制によるものはどれか。
1. 嘔吐
2. 脱毛
3. 血球減少
4. 神経障害
解説:
1. 解答:嘔吐(→不正解)嘔吐は、抗がん剤の直接的な刺激や消化管への影響によって起こることがありますが、骨髄抑制によるものではありません。
2. 解答:脱毛(→不正解)脱毛は、抗がん剤が毛母細胞に影響を与えることで起こりますが、骨髄抑制によるものではありません。
3. 解答:血球減少(→正解)骨髄抑制は、骨髄での血球産生が抑制されることであり、白血球、赤血球、血小板などの血球減少を引き起こします。
4. 解答:神経障害(→不正解)神経障害は、抗がん剤が神経細胞に影響を与えることで起こることがありますが、骨髄抑制によるものではありません。
問題19
骨盤底筋訓練が有効な尿失禁はどれか。
1. 溢流性尿失禁(overflow incontinence of urine)
2. 機能性尿失禁(functional incontinence of urine)
3. 切迫性尿失禁(urge incontinence of urine)
4.腹圧性尿失禁(stress incontinence of urine)
解説:
1. 解答:溢流性尿失禁(→不正解)溢流性尿失禁は、膀胱が過剰に充満し、尿が溢れ出る状態であり、骨盤底筋訓練は有効ではありません。
2. 解答:機能性尿失禁(→不正解)機能性尿失禁は、身体機能や認知機能の低下により排尿が困難になる状態であり、骨盤底筋訓練は直接的な効果はありません。
3. 解答:切迫性尿失禁(→不正解)切迫性尿失禁は、急な尿意を感じ、我慢できずに尿が漏れてしまう状態であり、骨盤底筋訓練は補助的な役割を果たしますが、最も有効な治療法ではありません。
4. 解答:腹圧性尿失禁(→正解)腹圧性尿失禁は、咳やくしゃみなどでお腹に力が入った時に尿が漏れてしまう状態であり、骨盤底筋訓練によって骨盤底筋を強化することで改善が期待できます。
問題20
看護師のボディメカニクスで正しいのはどれか。
1. 動作時の重心は高い位置に置く。
2. 立位では支持基底面を広くとる。
3. 重心線は支持基底面の外側に置く。
4. 足底と床の間の摩擦力を小さくする。
解説:
1. 解答:動作時の重心は高い位置に置く。(→不正解)重心は低い位置に置くことで、安定性が増し、転倒のリスクを減らすことができます。
2. 解答:立位では支持基底面を広くとる。(→正解)支持基底面を広くとることで、安定性が増し、バランスを保ちやすくなります。
3. 解答:重心線は支持基底面の外側に置く。(→不正解)重心線は支持基底面の内側に置くことで、安定した姿勢を保つことができます。
4. 解答:足底と床の間の摩擦力を小さくする。(→不正解)足底と床の間の摩擦力を大きくすることで、滑りにくくなり、安定性が増します。
問題21
病室の湿度で適切なのはどれか。
1. 10%
2. 30%
3. 50%
4. 70%
解説:
1. 解答:10%(→不正解)湿度が低すぎると、皮膚や粘膜が乾燥し、感染症のリスクが高まります。
2. 解答:30%(→不正解)30%も低すぎます。
3. 解答:50%(→正解)病室の適切な湿度は、40〜60%程度が推奨されます。適切な湿度を保つことで、患者の呼吸器系の負担を軽減し、快適な療養環境を提供することができます。
4. 解答:70%(→不正解)湿度が高すぎると、カビや細菌が繁殖しやすくなり、不快感が増します。
問題22
空気感染 (飛沫核感染) の予防策はどれか。
1. 消毒薬の噴霧
2. 病室の陽圧換気
3. N95マスクの着用
4. ラビング法の手指消毒
解説:
1. 解答:消毒薬の噴霧(→不正解)消毒薬の噴霧は、空気中の病原体を完全に除去することはできず、空気感染の予防には効果的ではありません。
2. 解答:病室の陽圧換気(→不正解)病室の陽圧換気は、病室内の空気を外部に漏らさないようにするためのもので、空気感染の予防には直接的な効果はありません。陰圧換気が空気感染予防には有効です。
3. 解答:N95マスクの着用(→正解)N95マスクは、微粒子を95%以上遮断する効果があり、空気感染の予防に有効です。
4. 解答:ラビング法の手指消毒(→不正解)ラビング法の手指消毒は、接触感染の予防には有効ですが、空気感染の予防には直接的な効果はありません。
問題23
成人の持続点滴静脈内注射の方法で適切なのはどれか。
1. 点滴筒には1/5の薬液を満たす。
2. 刺入部が見えないように固定する。
3. 刺入部は関節などの活動を妨げる部位を避ける。
4. 液面が刺入部から30cmの高さになるように輸液バッグをかける。
解説:
1. 解答:点滴筒には1/5の薬液を満たす。(→不正解)点滴筒には、通常1/2〜2/3程度の薬液を満たします。
2. 解答:刺入部が見えないように固定する。(→不正解)刺入部は、感染兆候の早期発見のために、定期的に観察できるように固定する必要があります。
3. 解答:刺入部は関節などの活動を妨げる部位を避ける。(→正解)関節などの活動を妨げる部位に刺入すると、血管が刺激されたり、カテーテルが抜けやすくなるため、避けるべきです。
4. 解答:液面が刺入部から30cmの高さになるように輸液バッグをかける。(→不正解)輸液バッグの高さは、滴下速度を調整するために調整しますが、30cmという具体的な数値に決まっているわけではありません。
問題24
体位ドレナージの目的はどれか。
1. 関節拘縮の予防
2. 痛みの軽減
3. 睡眠の導入
4. 排痰の促進
解説:
1. 解答:関節拘縮の予防(→不正解)関節拘縮の予防は、リハビリテーションや適切な体位変換によって行われます。
2. 解答:痛みの軽減(→不正解)痛みの軽減は、鎮痛剤の投与や安静によって行われます。
3. 解答:睡眠の導入(→不正解)睡眠の導入は、睡眠薬の投与や環境調整によって行われます。
4. 解答:排痰の促進(→正解)体位ドレナージは、重力を利用して肺や気管支に溜まった痰を排出しやすくする目的で行われます。
問題25
心静止の患者に投与する薬剤はどれか。
1. ドパミン
2. アトロピン
3. リドカイン
4. アドレナリン
解説:
1. 解答:ドパミン(→不正解)ドパミンは、血圧を上昇させる効果がありますが、心静止の第一選択薬ではありません。
2. 解答:アトロピン(→不正解)アトロピンは、徐脈に対して使用されることがありますが、心静止の第一選択薬ではありません。
3. 解答:リドカイン(→不正解)リドカインは、抗不整脈薬であり、心室細動や心室頻拍に対して使用されます。
4. 解答:アドレナリン(→正解)アドレナリンは、心静止の際の第一選択薬として使用されます。心臓の収縮力を高め、心拍再開を促す効果があります。
問題26
神経筋接合部にあるイオンチャネル型受容体にアセチルコリンが結合すると、あるイオンが筋細胞内に流入する。
このイオンはどれか。
1. 塩化物イオン
2. カリウムイオン
3. カルシウムイオン
4. ナトリウムイオン
解説:
1. 解答:塩化物イオン(→不正解)塩化物イオンは、神経細胞の抑制に関与することがありますが、神経筋接合部における筋細胞の興奮には直接関与しません。
2. 解答:カリウムイオン(→不正解)カリウムイオンは、神経細胞の再分極に関与しますが、神経筋接合部における筋細胞の興奮には直接関与しません。
3. 解答:カルシウムイオン(→不正解)カルシウムイオンは、筋収縮の過程で重要な役割を果たしますが、アセチルコリン受容体に結合することによるイオン流入とは異なります。
4. 解答:ナトリウムイオン(→正解)アセチルコリンが神経筋接合部のアセチルコリン受容体に結合すると、ナトリウムチャネルが開き、ナトリウムイオンが筋細胞内に流入し、脱分極を引き起こします。この脱分極が活動電位を発生させ、筋収縮につながります。
問題27
規則的な日常生活を送っている成人で、血中濃度が1日のうち起床時に最も高くなるのはどれか。
1. アドレナリン
2. コルチゾール
3. 成長ホルモン
4. メラトニン
解説:
1. 解答:アドレナリン(→不正解)アドレナリンは、ストレスや運動などの刺激によって分泌が促進されます。
2. 解答:コルチゾール(→正解)コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるホルモンで、血糖値の維持や免疫機能の調節に関与します。血中濃度は、概日リズムに従って変動し、起床時に最も高くなります。
3. 解答:成長ホルモン(→不正解)成長ホルモンは、睡眠中に分泌が促進されます。
4. 解答:メラトニン(→不正解)メラトニンは、睡眠を促すホルモンであり、夜間に分泌が促進されます。
問題28
胸管について正しいのはどれか。
1. 集めたリンパを左鎖骨下動脈に注ぐ。
2. 右側の頸リンパ本幹と合流する。
3. 毛細リンパ管網である。
4. 乳び槽から始まる。
解説:
1. 解答:集めたリンパを左鎖骨下動脈に注ぐ。(→正解)胸管は、全身から集められたリンパ液を左鎖骨下静脈に注ぎ込みます。
2. 解答:右側の頸リンパ本幹と合流する。(→不正解)胸管は、右側の頸リンパ本幹とは合流しません。
3. 解答:毛細リンパ管網である。(→不正解)毛細リンパ管網は、組織間液を吸収する最初のリンパ管であり、胸管はそれらが合流した後の太いリンパ管です。
4. 解答:乳び槽から始まる。(→正解)胸管は、腹部にある乳び槽から始まり、胸部を通って左鎖骨下静脈に繋がります。乳び槽は、腸で吸収された脂肪分を多く含むリンパ液(乳び)が集まる場所です。
問題29
嚥下反射に伴って起こるのはどれか。
1. 甲状腺の上下の動き
2. 肝臓の上下の動き
3. 声門の開放
4. 舌根の沈下
解説:
1. 解答:甲状腺の上下の動き(→正解)嚥下反射に伴い、喉頭全体が挙上するため、喉頭に接している甲状腺も一緒に上下に動きます。
2. 解答:肝臓の上下の動き(→不正解)嚥下反射は、消化管の上部(口腔、咽頭、食道)の運動であり、肝臓は腹腔内に位置するため、直接的な影響を受けません。
3. 解答:声門の開放(→不正解)嚥下反射時には、誤嚥を防ぐために声門が閉じます。
4. 解答:舌根の沈下(→不正解)嚥下反射時には、舌根が挙上し、咽頭後壁に押し付けられることで、食物を食道へ送り込みます。
問題30
胎生3週の発生過程にある胚子の横断面を図に示す。
A から分化するのはどれか。
1. 気管
2. 食道
3. 脊髄
4. 大動脈
解説:
1. 解答:気管(→不正解)気管は、内胚葉から分化します。
2. 解答:食道(→不正解)食道は、内胚葉から分化します。
3. 解答:脊髄(→正解)脊髄は、外胚葉から分化します。外胚葉は、神経管を形成し、脳や脊髄などの神経組織に分化します。
4. 解答:大動脈(→不正解)大動脈は、中胚葉から分化します。
問題31
重症筋無力症(myasthenia gravis)に合併する頻度が最も高いのはどれか。
1. 胸腺腫(thymoma)
2. 胸膜中皮腫(pleural mesothelioma)
3. 甲状腺腫瘍(thyroid tumor)
4. 悪性リンパ腫(malignant lymphoma)
解説:
1. 解答:胸腺腫(→正解)重症筋無力症は、自己免疫疾患であり、神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する抗体が産生されることで、筋力低下を引き起こします。胸腺は、免疫系の発達に関わる器官であり、重症筋無力症患者の約10〜15%に胸腺腫が合併します。
2. 解答:胸膜中皮腫(→不正解)胸膜中皮腫は、胸膜に発生する悪性腫瘍であり、重症筋無力症との関連は高くありません。
3. 解答:甲状腺腫瘍(→不正解)甲状腺腫瘍は、甲状腺に発生する腫瘍であり、重症筋無力症との関連はありますが、胸腺腫ほど頻度は高くありません。
4. 解答:悪性リンパ腫(→不正解)悪性リンパ腫は、リンパ組織に発生する悪性腫瘍であり、重症筋無力症との関連は低いと考えられています。
問題32
令和2年(2020年) の患者調査における入院医療で正しいのはどれか。
1. 都道府県別の受療率の差はない
2. 推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。
3. 年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。
4. 平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。
解説:
1. 解答:都道府県別の受療率の差はない(→不正解)都道府県によって、医療資源の分布や地域住民の健康状態などが異なるため、受療率には差があります。
2. 解答:推計患者数が最も多いのは循環器系疾患である。(→不正解)推計患者数が最も多いのは、精神及び行動の障害です。
3. 解答:年齢階級別の受療率が最も高いのは80歳代である。(→不正解)年齢階級別の受療率が最も高いのは、75〜79歳です。
4. 解答:平均在院日数が最も長いのは精神及び行動の障害である。(→正解)精神及び行動の障害は、慢性的な経過をたどることが多く、長期的な入院が必要となるため、平均在院日数が長くなります。
問題33
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で正しいのはどれか。
1. 20歳以上女性の喫煙率は7.6%
2. 20歳代女性のやせの割合は 10.5%
3. 20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は6.5g/日
4. 20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は400g/日
解説:
1. 解答:20歳以上女性の喫煙率は7.6%(→正解)令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査によると、20歳以上女性の喫煙率は7.6%です。
2. 解答:20歳代女性のやせの割合は 10.5%(→不正解)20歳代女性のやせの割合は約20%です。
3. 解答:20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は6.5g/日(→不正解)20歳以上女性の食塩摂取量の平均値は約9.3g/日です。
4. 解答:20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は400g/日(→不正解)20歳以上女性の野菜摂取量の平均値は約270g/日です。
問題34
患者の個別性を理解するために必要な概念はどれか。
1. ダイバーシティ
2. パターナリズム
3. プライマリヘルスケア
4. ソーシャルインクルージョン
解説:
1. 解答:ダイバーシティ(→正解)ダイバーシティとは、多様性のことであり、患者の個別性を理解するためには、年齢、性別、文化、価値観、生活背景など、様々な側面から患者を理解することが重要です。
2. 解答:パターナリズム(→不正解)パターナリズムとは、医療従事者が患者の意向を尊重せずに、一方的に治療方針を決定することであり、患者の個別性を無視した行為です。
3. 解答:プライマリヘルスケア(→不正解)プライマリヘルスケアとは、地域住民が身近な場所で受けられる基礎的な医療サービスのことであり、患者の個別性を理解することとは直接的な関係はありません。
4. 解答:ソーシャルインクルージョン(→不正解)ソーシャルインクルージョンとは、全ての人々が社会の一員として包み込まれ、支え合う社会を目指す考え方であり、患者の個別性を理解することとは直接的な関係はありません。
問題35
入院中のAさんは昨晩、体温が38.8°Cであったため解熱剤の坐薬を使用した。
今朝の検温では37.0°Cであった。 Aさんが「ずっとお風呂に入っていないから背中がかゆい」と話したため、看護師が確認すると背部に発汗がみられた。
客観的情報の記録で適切なのはどれか。
1. 背中がかゆい。
2. 背部に発汗がある。
3. 坐薬の効果があった。
4. 全身清拭を実施する。
解説:
1. 解答:背中がかゆい。(→不正解)「背中がかゆい」という情報は、Aさんの主観的な訴えであり、客観的情報ではありません。
2. 解答:背部に発汗がある。(→正解)「背部に発汗がある」という情報は、看護師が観察した客観的な事実であり、記録として適切です。
3. 解答:坐薬の効果があった。(→不正解)「坐薬の効果があった」という判断は、看護師の解釈であり、客観的情報ではありません。客観的情報としては、体温の変化(38.8°Cから37.0°Cへ低下)を記録します。
4. 解答:全身清拭を実施する。(→不正解)「全身清拭を実施する」という情報は、看護師の行ったケアの内容であり、客観的情報ではありません。
問題36
人体には使用しない消毒薬はどれか。
1. グルタラール
2. ポビドンヨード
3. 塩化ベンザルコニウム
4. クロルヘキシジングルコン酸塩
解説:
1. 解答:グルタラール(→正解)グルタラールは、医療器具の消毒に用いられる消毒薬であり、人体には刺激が強すぎるため使用されません。
2. 解答:ポビドンヨード(→不正解)ポビドンヨードは、手術部位の消毒や創傷の消毒などに広く用いられています。
3. 解答:塩化ベンザルコニウム(→不正解)塩化ベンザルコニウムは、手指の消毒や皮膚の消毒に用いられています。
4. 解答:クロルヘキシジングルコン酸塩(→不正解)クロルヘキシジングルコン酸塩は、手術部位の消毒や手指の消毒に用いられています。
問題37
リラクセーションを目的とした腹式呼吸の方法で適切なのはどれか。
1. 浅い呼吸を繰り返す。
2. 呼吸に意識を集中する。
3. 1分間に20回のペースで行う。
4. 吸気と呼気の時間の比率を2:1 とする。
解説:
1. 解答:浅い呼吸を繰り返す。(→不正解)浅い呼吸では、十分な換気が行われず、リラクセーション効果は期待できません。
2. 解答:呼吸に意識を集中する。(→正解)呼吸に意識を集中することで、自律神経のバランスが整い、リラクセーション効果が得られます。
3. 解答:1分間に20回のペースで行う。(→不正解)1分間に20回のペースは、呼吸数としては多すぎ、リラクセーション効果は期待できません。
4. 解答:吸気と呼気の時間の比率を2:1 とする。(→不正解)リラクセーションを目的とした腹式呼吸では、呼気を吸気よりも長くすることで、副交感神経を優位にし、リラクセーション効果を高めます。
問題38
高濃度の酸素吸入によって CO2 ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはどれか。
1. 無気肺(atelectasis)
2. 肺塞栓症(pulmonary embolism)
3. 間質性肺炎(interstitial pneumonia)
4. 慢性閉塞性肺疾患 <COPD>(chronic obstructive pulmonary disease
解説:
1. 解答:無気肺(→不正解)無気肺は、肺の一部または全体が虚脱した状態であり、高濃度の酸素吸入によるCO2ナルコーシスのリスクは高くありません。
2. 解答:肺塞栓症(→不正解)肺塞栓症は、肺動脈が血栓などで閉塞した状態であり、高濃度の酸素吸入によるCO2ナルコーシスのリスクは高くありません。
3. 解答:間質性肺炎(→不正解)間質性肺炎は、肺の間質に炎症が起こる疾患であり、高濃度の酸素吸入によるCO2ナルコーシスのリスクは高くありません。
4. 解答:慢性閉塞性肺疾患 <COPD>(→正解)COPD患者は、慢性的に高CO2血症の状態にあるため、高濃度の酸素を投与すると呼吸中枢の感受性が低下し、CO2ナルコーシスを引き起こす危険性があります。
問題39
左肘を固定するために三角巾を置く位置を図に示す。
適切なのはどれか。
正答:1
解説:左肘を固定するための三角巾の適切な位置を判断するには、以下のポイントが重要です。
◆三角巾の正しい使用法
・肘をしっかり支え、安定させる
・前腕全体をカバーし、肘の角度を適切に保つ(通常90度が理想)
・三角巾がしっかり首に結ばれており、腕の負担を軽減する
1. 解答:左肘がしっかり固定されている(→正解):三角巾が肘から手首まで適切に支えられており、肘が固定されている。正しい吊り方ができており、前腕全体をサポートしているため、適切。
2. 解答:腕が水平になっている(→不正解):通常、肘を90度に固定するのが基本であり、水平の状態は安定性に欠ける
3. 解答:肘がしっかり支えられていない(→不正解):三角巾の位置が低く、肘がサポートされていないため、適切ではない。
4. 解答:三角巾の結び方が不適切(→不正解):三角巾の配置が不自然であり、腕全体を適切に支えられていない。
問題40
新鮮凍結血漿の説明で正しいのはどれか。
1. 30~37°Cの湯で融解する。
2. 輸血には輸液セットを使用する。
3. 融解後は48時間以内に使用する。
4. 融解後に直ちに使用しない場合は 20~24°Cで保管する。
解説:
1. 解答:30~37°Cの湯で融解する。(→正解)新鮮凍結血漿は、速やかに融解するために30〜37°Cの湯煎で融解します。
2. 解答:輸血には輸液セットを使用する。(→不正解)輸血には、血液製剤専用の輸血セットを使用します。
3. 解答:融解後は48時間以内に使用する。(→不正解)融解後は、速やかに(6時間以内)使用する必要があります。
4. 解答:融解後に直ちに使用しない場合は 20~24°Cで保管する。(→不正解)融解後は、速やかに使用しない場合は、冷蔵庫(2〜6°C)で保管します。
問題41
一次救命処置 〈BLS〉 で回復体位はどれか。
解説:回復体位(リカバリーポジション)とは?
回復体位は、意識がなくても自発呼吸がある傷病者に適用される体位であり、以下の目的があります。
・気道を確保し、舌が喉に落ち込むことを防ぐ。
・嘔吐物や分泌物の誤嚥を防ぐ。
・血液や異物による窒息リスクを減少させる。1. 解答:仰向け(蘇生処置向け)(→不正解)舌根沈下や嘔吐物の誤嚥リスクがあり、回復体位には適さない。
2. 解答:横向き(回復体位として適切)(→正解)気道確保がしやすく、嘔吐物が排出されやすい状態になっているため適切。
3. 解答:足を高くした仰臥位(ショック体位)(→不正解)低血圧時などに用いる体位であり、回復体位としては不適切。
4. 解答:上体をやや起こした仰臥位(ファウラー位)(→不正解)呼吸困難時には有効だが、回復体位には適さない。
問題42
上部消化管内視鏡検査で適切なのはどれか。
1. 検査前日の就寝前に緩下薬を内服する。
2. 検査の12時間前から禁食とする。
3. 検査時の体位は右側臥位とする。
4. 終了直後から飲食は可能である。
解説:
1. 解答:検査前日の就寝前に緩下薬を内服する。(→不正解)上部消化管内視鏡検査では、下剤は通常使用しません。
2. 解答:検査の12時間前から禁食とする。(→正解)検査前は、胃の中を空にしておく必要があるため、通常、検査の12時間前から絶食とします。
3. 解答:検査時の体位は右側臥位とする。(→不正解)検査時の体位は、一般的に左側臥位とします。
4. 解答:終了直後から飲食は可能である。(→不正解)検査後は、咽頭麻酔の効果がなくなるまで(通常1〜2時間程度)飲食を控える必要があります。これは、誤嚥を防ぐためです。
問題43
成年後見制度で正しいのはどれか。
1. 地域生活支援事業の1つとして位置付けられる。
2. 後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。
3. 審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。
4. 法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。
解説:
1. 解答:地域生活支援事業の1つとして位置付けられる。(→正解)成年後見制度は、地域生活支援事業の1つとして位置づけられ、判断能力が不十分な方の権利擁護を目的としています。
2. 解答:後見の対象者は大体のことを自分で判断できる者である。(→不正解)成年後見制度の対象者は、判断能力が著しく低下している、または不十分な方です。
3. 解答:審判を受けるための申し立て先は社会福祉協議会である。(→不正解)成年後見制度の審判の申し立て先は、家庭裁判所です。
4. 解答:法定後見制度とは判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくことである。(→不正解)判断能力の低下に備えあらかじめ後見人を決めておくのは任意後見制度です。法定後見制度は、すでに判断能力が低下している方が対象となります。
問題44
要介護認定者であっても、訪問看護が医療保険で提供される疾患はどれか。
1. 糖尿病(diabetes mellitus)
2. 認知症(dementia)
3. 脳梗塞(cerebral infarction)
4. 多発性硬化症(multiple sclerosis)
解説:
1. 解答:糖尿病(→不正解)糖尿病は、介護保険が優先される疾患ですが、病状が悪化した場合や、特別な医療ニーズがある場合は医療保険が適用されることがあります。
2. 解答:認知症(→不正解)認知症は、介護保険が優先される疾患ですが、精神科訪問看護指示書が出ている場合などは医療保険が適用されます。
3. 解答:脳梗塞(→不正解)脳梗塞は、介護保険が優先される疾患ですが、急性増悪時や、リハビリテーション目的の場合など、医療保険が適用されることがあります。
4. 解答:多発性硬化症(→正解)多発性硬化症は、特定疾患に指定されており、医療保険での訪問看護が可能です。特定疾患は、進行性で治療が困難な疾患であり、医療ニーズが高いことから、医療保険が優先されます。
問題45
A さん (78歳、女性) は認知症(dementia)があり、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅰである。1人で暮らしており、かかりつけの医師から処方された複数の内服薬を 1日3回服用している。 嚥下障害はない。 Aさんは「薬がたくさんあって、 余る薬もあるのよ」 と訪問看護師に話した。
このときの服薬管理で適切なのはどれか。
1. 内服薬を一包化する。
2. 薬剤の形状を変更する。
3. 訪問看護師の訪問時に内服する。
4. 複数の内服薬を1つの箱にまとめて保管する。
解説:
1. 解答:内服薬を一包化する。(→正解)Aさんは認知症があり、服薬管理が困難になっているため、内服薬を一包化することで、飲み忘れや重複服用を防ぐことができます。
2. 解答:薬剤の形状を変更する。(→不正解)嚥下障害がないため、薬剤の形状を変更する必要はありません。
3. 解答:訪問看護師の訪問時に内服する。(→不正解)訪問看護師の訪問時に内服するだけでは、1日3回の服薬を確実に行うことができません。
4. 解答:複数の内服薬を1つの箱にまとめて保管する。(→不正解)複数の内服薬を1つの箱にまとめて保管するだけでは、服薬管理の改善にはつながりません。
問題46
介護保険制度のケアマネジメントで適切なのはどれか。
1. 地域の課題を抽出する。
2. 地域ケア会議を開催する。
3. 要介護状態区分を判定する。
4. 対象者のモニタリングを行う。
解説:
1. 解答:地域の課題を抽出する。(→不正解)地域の課題を抽出するのは、地域包括支援センターや市町村の役割です。
2. 解答:地域ケア会議を開催する。(→不正解)地域ケア会議は、多職種が連携して、地域包括ケアシステムの構築に向けて協議する場であり、ケアマネジメントとは異なります。
3. 解答:要介護状態区分を判定する。(→不正解)要介護状態区分を判定するのは、市町村の介護認定審査会です。
4. 解答:対象者のモニタリングを行う。(→正解)ケアマネジメントでは、ケアプランに基づいたサービスが適切に提供されているか、対象者の状況に変化がないかなどをモニタリングすることが重要です。
問題47
急性期の患者に起きる生体反応で正しいのはどれか。
1. エネルギー代謝が低下する。
2. 蛋白質の同化が異化を上回る。
3. カテコールアミンの分泌が亢進する。
4. 抗利尿ホルモン <ADH>の分泌が低下する。
解説:
1. 解答:エネルギー代謝が低下する。(→不正解)急性期には、生体の防御反応としてエネルギー代謝が亢進します。
2. 解答:蛋白質の同化が異化を上回る。(→不正解)急性期には、侵襲によって蛋白質の異化が亢進し、同化を上回ります。
3. 解答:カテコールアミンの分泌が亢進する。(→正解)急性期には、ストレスホルモンであるカテコールアミンの分泌が亢進し、心拍数や血圧の上昇、血糖値の上昇などを引き起こします。
4. 解答:抗利尿ホルモン 〈ADH〉の分泌が低下する。(→不正解)急性期には、体液を保持するために抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が亢進します。
問題48
セルフヘルプグループについて正しいのはどれか。
1. 医療従事者が運営する。
2. 営利を目的にした団体である。
3. 当事者同士の交流による心理的効果がある。
4. 在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。
解説:
1. 解答:医療従事者が運営する。(→不正解)セルフヘルプグループは、当事者同士が主体となって運営します。
2. 解答:営利を目的にした団体である。(→不正解)セルフヘルプグループは、非営利の団体です。
3. 解答:当事者同士の交流による心理的効果がある。(→正解)セルフヘルプグループは、同じような悩みや経験を持つ当事者同士が交流することで、孤立感を解消し、心理的なサポートを得ることができます。
4. 解答:在籍年数の長いメンバーの意見が重視される。(→不正解)セルフヘルプグループでは、メンバーの意見は平等に尊重されます。
問題49
終末期癌患者にみられる悪液質の徴候はどれか。
1. 体重減少
2. がん性疼痛
3. リンパ浮腫
4. 末梢神経障害
解説:
1. 解答:体重減少(→正解)悪液質は、がんの進行に伴い、代謝異常や炎症性サイトカインの産生亢進などにより、筋肉量や脂肪組織が減少する状態です。
2. 解答:がん性疼痛(→不正解)がん性疼痛は、がんによる神経の圧迫や炎症、治療による副作用などが原因で起こる痛みであり、悪液質の直接的な徴候ではありません。
3. 解答:リンパ浮腫(→不正解)リンパ浮腫は、リンパ系の機能障害によりリンパ液が滞留することで起こる浮腫であり、悪液質の直接的な徴候ではありません。
4. 解答:末梢神経障害(→不正解)末梢神経障害は、抗がん剤などの副作用や、がんによる神経の圧迫などが原因で起こる神経障害であり、悪液質の直接的な徴候ではありません。
問題50
がん患者の家族における社会的苦痛はどれか。
1. 「患者にはどのがん治療が適切なのか」
2. 「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」
3. 「患者のがん治療を代わることはできないのか」
4. 「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」
解説:
1. 解答:「患者にはどのがん治療が適切なのか」(→不正解)これは、情報不足による不安であり、心理的な苦痛に分類されます。
2. 解答:「なぜ自分の家族はがんに罹患したのか」(→不正解)これは、原因追求による苦悩であり、スピリチュアルな苦痛に分類されます。
3. 解答:「患者のがん治療を代わることはできないのか」(→不正解)これは、無力感からくる苦痛であり、心理的な苦痛に分類されます。
4. 解答:「治療の期間が長くなり、出費が続くと自分の生活はどうなるのか」(→正解)これは、経済的な負担や将来への不安など、社会的な要因からくる苦痛です。
問題51
A さん(27歳 男性) は、 突然の胸痛と呼吸困難があり、 救急外来を受診した。意識は清明。身長179cm、体重63kg、 胸郭は扁平である。 20歳から1日50本の喫煙をしている。 バイタルサインは、 体温36.1°C、 呼吸数22/分、 経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) 96% (room air) である。胸部CTを以下に示す。
Aさんの所見から考えられるのはどれか。
1. 酸素吸入が必要である。
2. 抗菌薬投与が必要である。
3. 右肺野の呼吸音は減弱している
4. 左胸腔内は液体成分で占められている。
解説:
◆胸部CT画像の評価
・画像を見ると、右側(Rt)において肺の虚脱を示唆する所見が認められる。
・右肺の虚脱(無気肺)または気胸が疑われる。
・特に、若年・痩せ型・喫煙歴があることから、自然気胸の可能性が高い。
◆臨床背景の評価
・27歳・男性・身長179cm・体重63kg → 痩せ型
・1日50本の喫煙歴 → 気腫性変化のリスクあり
・突然の胸痛・呼吸困難 → 自然気胸の典型的な症状
・SpO2 96% (room air) で安定 → 低酸素状態には至っていない1. 解答:酸素吸入が必要である。(→不正解)SpO2が96%と維持されており、酸素吸入は必須ではない。ただし、大きな気胸であれば酸素投与が推奨される場合もある。
2. 解答:抗菌薬投与が必要である。(→不正解)感染徴候(発熱・白血球増加など)がなく、細菌性肺炎などの感染症は示唆されない。
3. 解答:右肺野の呼吸音は減弱している(→正解)気胸がある場合、気体が胸腔内に貯留し、肺が虚脱するため、患側の呼吸音は減弱する。画像所見と臨床症状からも、右肺の虚脱が示唆される。
4. 解答:左胸腔内は液体成分で占められている。(→不正解)胸水貯留(液体成分)の所見はない。画像では、左側(Lt)に特に液体の貯留を示唆する白い陰影は認められない。
問題52
膵頭十二指腸切除術においてドレーンを留置する場所で正しいのはどれか。
1. Magendie <マジャンディー>孔
2. Winslow <ウインスロー>孔
3. Luschka <ルシュカ>孔
4. Monro <モンロー>孔
解説:
1. 解答:Magendie 〈マジャンディー〉孔(→不正解)Magendie孔は、脳室系の第四脳室にある正中口であり、脳脊髄液の流出路です。
2. 解答:Winslow 〈ウインスロー〉孔(→正解)Winslow孔は、小網の右端にある開口部であり、腹腔と小嚢(網嚢)を交通させています。膵頭十二指腸切除術後には、膵液瘻などの合併症のリスクがあるため、Winslow孔付近にドレーンを留置し、腹腔内の体液貯留を監視・排出します。
3. 解答:Luschka〈ルシュカ〉孔(→不正解)Luschka孔は、脳室系の第四脳室にある外側口であり、脳脊髄液の流出路です。
4. 解答:Monro〈モンロー〉孔(→不正解)Monro孔は、脳室系の側脳室と第三脳室を繋ぐ孔であり、脳脊髄液の流出路です。
問題53
自己血糖測定を行う患者への説明で正しいのはどれか。
1. 「皮下の間質液のグルコースを測定します」
2. 「耳たぶから検体を採取します」
3. 「採取部位の消毒は不要です」
4. 「低血糖が分かります」
解説:
1. 解答:「皮下の間質液のグルコースを測定します」(→不正解)自己血糖測定では、血液中のグルコース濃度を測定します。持続血糖測定(CGM)では、間質液中のグルコース濃度を測定します。
2. 解答:「耳たぶから検体を採取します」(→不正解)自己血糖測定では、指先から検体を採取するのが一般的です。
3. 解答:「採取部位の消毒は不要です」(→不正解)感染予防のため、採取部位は消毒用アルコールで消毒する必要があります。
4. 解答:「低血糖が分かります」(→正解)自己血糖測定を行うことで、高血糖だけでなく、低血糖の状態も把握することができます。
問題54
成人の骨髄検査の穿刺部位を図に示す。
正しいのはどれか。
1. (1)
2. (2)
3. (3)
4. (4)
解説:一般的な成人の骨髄検査では、腸骨稜(腰の骨)や胸骨が穿刺部位として用いられます。従って、図の中で該当するのは(3)となります。
問題55
脊髄造影を受ける患者への説明で正しいのはどれか。
1. 「検査前の食事制限はありません」
2. 「造影剤が硬膜外腔に注入されます」
3. 「検査後は頭痛の有無を確認します」
4. 「検査後はベッドを水平にします」
解説:
1. 解答:「検査前の食事制限はありません」(→不正解)検査前は、誤嚥防止のため、絶飲食とするのが一般的です。
2. 解答:「造影剤が硬膜外腔に注入されます」(→不正解)脊髄造影では、造影剤はくも膜下腔に注入されます。
3. 解答:「検査後は頭痛の有無を確認します」(→正解)脊髄造影後には、髄液漏による頭痛が起こることがあります。
4. 解答:「検査後はベッドを水平にします」(→不正解)髄液漏による頭痛を予防するため、検査後は数時間、頭部を高くした状態で安静にするのが一般的です。
問題56
老化に伴う消化器系の変化で正しいのはどれか。
1. 大腸の蠕動運動が低下する。
2. 膵液分泌量が増加する。
3. 唾液分泌量が増加する。
4. 胃粘膜が萎縮する。
解説:
1. 解答:大腸の蠕動運動が低下する。(→正解)加齢に伴い、腸管の筋力が低下し、蠕動運動が低下する。これにより、便秘になりやすくなる(特に高齢者では慢性便秘が多い)。また、腸管の神経調節機能も低下し、排便反射が鈍くなる。
2. 解答:膵液分泌量が増加する。(→不正解)加齢により膵臓の機能は低下し、膵液の分泌量も減少する。その結果、消化酵素(リパーゼ、アミラーゼ、トリプシンなど)の分泌も減少し、脂質や糖質、タンパク質の消化能力が低下する。
3. 解答:唾液分泌量が増加する。(→不正解)加齢により唾液腺の機能が低下し、唾液の分泌量は減少する。唾液量が減ることで、口腔内の乾燥(ドライマウス)を引き起こし、嚥下障害や虫歯、口腔内感染のリスクが上昇する。
4. 解答:胃粘膜が萎縮する。(→不正解)加齢に伴い胃粘膜が萎縮することは必ずしも起こるわけではない。萎縮性胃炎(慢性胃炎)がある場合には胃粘膜の萎縮が進むが、すべての高齢者で必ず起こるわけではないため、「老化に伴う消化器系の変化」としては不適切。
問題57
令和3年度 (2021年度)の高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査で、養介護施設従事者等による高齢者虐待について正しいのはどれか。
1. 虐待の種類は心理的虐待が最も多い。
2. 被虐待高齢者は女性が全体の90%を占める。
3. 発生要因は養介護施設従事者等のストレスの問題が最も多い。
4. 虐待件数は養介護施設従事者等による虐待より養護者によるものが多い。
解説:
1. 解答:虐待の種類は心理的虐待が最も多い。(→不正解)厚生労働省の調査によると、養介護施設従事者等による高齢者虐待の種類で最も多いのは「身体的虐待」です。心理的虐待は次に多いとされています。
2. 解答:被虐待高齢者は女性が全体の90%を占める。(→不正解)被虐待高齢者の性別割合は、女性が多いものの、全体の90%を占めるわけではありません。具体的な割合は年度や調査によって異なりますが、女性が約70~80%程度と報告されています。
3. 解答:発生要因は養介護施設従事者等のストレスの問題が最も多い。(→不正解)養介護施設従事者等による高齢者虐待の発生要因として最も多いのは、「教育・知識・介護技術等に関する問題」です。ストレスの問題も要因の一つですが、最も多いわけではありません。
4. 解答:虐待件数は養介護施設従事者等による虐待より養護者によるものが多い。(→正解)厚生労働省の調査によれば、養護者(家族等)による高齢者虐待の件数は、養介護施設従事者等による虐待件数よりも多いと報告されています。
問題58
医療ニーズが高い要介護者が「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを組み合わせて受けられる地域密着型サービスはどれか。
1. 短期入所療養介護
2. 看護小規模多機能型居宅介護
3. 地域密着型特定施設入所者生活介護
4. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム>
解説:
1. 解答:短期入所療養介護(→不正解)短期入所療養介護は、「泊まり」のサービスを提供するものですが、「通い」や「訪問」のサービスは含まれません。
2. 解答:看護小規模多機能型居宅介護(→正解)看護小規模多機能型居宅介護は、「通い」「訪問」「泊まり」のサービスを柔軟に組み合わせることができ、医療ニーズの高い要介護者も利用できる地域密着型サービスです。
3. 解答:地域密着型特定施設入所者生活介護(→不正解)地域密着型特定施設入所者生活介護は、「泊まり」のサービスを提供するものですが、「通い」や「訪問」のサービスは含まれません。
4. 解答:認知症対応型共同生活介護(グループホーム)(→不正解)認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の方が共同生活を送るための施設であり、「通い」や「訪問」のサービスは含まれません。
ポリファーマシーの説明で正しいのはどれか。
1. 医療者の指示どおりに服薬しない状況
2. 多剤併用による有害な事象が生じている状態
3. 認知機能の低下により服薬管理が困難な状態
4. 処方されている薬の内容を理解していない状況
解説:
1. 解答:医療者の指示どおりに服薬しない状況(→不正解)これはアドヒアランス(服薬遵守)の問題であり、ポリファーマシーとは異なります。
2. 解答:多剤併用による有害な事象が生じている状態(→正解)ポリファーマシーとは、多剤併用により、薬物相互作用や副作用などの有害な事象が生じている状態を指します。
3. 解答:認知機能の低下により服薬管理が困難な状態(→不正解)これは服薬アドヒアランスの問題に関連しますが、ポリファーマシーそのものではありません。
4. 解答:処方されている薬の内容を理解していない状況(→不正解)これも服薬アドヒアランスの問題に関連しますが、ポリファーマシーそのものではありません。
問題60
介護医療院の説明で正しいのはどれか。
1. 健康保険法に基づき設置される。
2. 入所対象者は要介護3以上である。
3. 要介護高齢者の長期療養生活施設である。
4. 看護職員数は入所者100人当たり3人である。
解説:
1. 解答:健康保険法に基づき設置される。(→不正解)介護医療院は、介護保険法に基づいて設置される施設です。
2. 解答:入所対象者は要介護3以上である。(→不正解)介護医療院の入所対象者は、要介護1以上の方です。
3. 解答:要介護高齢者の長期療養生活施設である。(→正解)介護医療院は、長期的な療養を必要とする要介護高齢者のための施設であり、医療と介護の両方を提供します。
4. 解答:看護職員数は入所者100人当たり3人である。(→不正解)介護医療院の看護職員数は、入所者に対する人員配置基準によって定められています。
問題61
最も新しく制定された法律はどれか。
1. 母子保健法
2. 児童虐待の防止等に関する法律
3. 子どもの貧困対策の推進に関する法律
4. 医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律
解説:
1. 解答:母子保健法(→不正解)母子保健法は、1947年に制定された法律です。
2. 解答:児童虐待の防止等に関する法律(→不正解)児童虐待の防止等に関する法律は、2000年に制定された法律です。
3. 解答:子どもの貧困対策の推進に関する法律(→不正解)子どもの貧困対策の推進に関する法律は、2013年に制定された法律です。
4. 解答:医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律(→正解)医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律は、2021年に制定された法律です。
問題62
一次性の夜尿症(nocturnal enuresis)で通院中の7歳の女児。
保護者への生活のアドバイスで適切なのはどれか。
1. 「1日に飲む水分の量を減らしましょう」
2. 「寝る直前に水分をしっかり飲ませましょう」
3. 「おねしょをしても叱らないようにしましょう」
4. 「夜中、決めた時間に起こして排尿を促しましょう」
解説:
1. 解答:「1日に飲む水分の量を減らしましょう」(→不正解)水分制限は、脱水のリスクがあるため、推奨されません。
2. 解答:「寝る直前に水分をしっかり飲ませましょう」(→不正解)寝る直前の水分摂取は、夜尿を悪化させる可能性があります。
3. 解答:「おねしょをしても叱らないようにしましょう」(→正解)おねしょを叱ることは、子どもの心理的な負担を増やし、症状を悪化させる可能性があります。
4. 解答:「夜中、決めた時間に起こして排尿を促しましょう」(→不正解)夜中に起こして排尿させることは、睡眠を妨げ、生活リズムを乱す可能性があります。
問題63
生後6~8か月ころの乳児で、親などの特定の人が自分の傍から離れたときに泣いたり後追いをしたりするのはどれか。
1. 分離不安
2. アニミズム
3. 自我の芽生え
4. アンビバレント
解説:
1. 解答:分離不安(→正解)分離不安とは、愛着のある対象(親など)と離れることに対する不安であり、乳幼児期によく見られる現象です。
2. 解答:アニミズム(→不正解)アニミズムとは、無生物にも心があると考える思考であり、幼児期に見られます。
3. 解答:自我の芽生え(→不正解)自我の芽生えとは、自分と他人を区別する意識が芽生えることであり、乳幼児期に見られます。
4. 解答:アンビバレント(→不正解)アンビバレントとは、相反する感情を同時に抱くことであり、精神医学の用語です。
問題64
A君(6歳、男児)は腹痛のため来院し、ネフローゼ症候群(nephrotic syndrome)と診断され入院した。
ステロイド治療が開始され、本日が7日目である。尿量の増加がみられ浮腫が軽減し、血圧は128/80mmHg、尿蛋白+であった。A君に説明する必要があるのはどれか。
1. 手指衛生
2. 床上安静
3. 水分摂取の制限
4. 蛋白質の摂取の制限
解説:
1. 解答:手指衛生(→正解)ステロイド治療中は免疫力が低下しやすいため、感染予防のために手指衛生の重要性を説明する必要があります。
2. 解答:床上安静(→不正解)症状が改善してきているため、床上安静の必要はありません。
3. 解答:水分摂取の制限(→不正解)浮腫が軽減してきているため、水分摂取の制限は不要です。
4. 解答:蛋白質の摂取の制限(→不正解)ネフローゼ症候群では、尿蛋白が排泄されるため、適切な蛋白質の摂取が必要です。
問題65
セクシュアリティに関する用語と説明の組合せで正しいのはどれか。
1. 性的指向 - 表現する性
2. セックス - 性愛の対象
3. ジェンダー - 生殖性の性
4. ジェンダーアイデンティティ - 自身の性別の認識
解説:
1. 解答:性的指向 - 表現する性(→不正解)性的指向とは、恋愛感情や性的欲求の対象となる性別のことです。表現する性とは、服装や言葉遣いなど、社会的に表現される性別のことです。
2. 解答:セックス - 性愛の対象(→不正解)セックスとは、生物学的な性別のことです。性愛の対象とは、恋愛感情や性的欲求の対象となる人物のことです。
3. 解答:ジェンダー - 生殖性の性(→不正解)ジェンダーとは、社会的に作られた性別のことです。生殖性の性とは、生殖機能に関わる性別のことです。
4. 解答:ジェンダーアイデンティティ - 自身の性別の認識(→正解)ジェンダーアイデンティティとは、自分自身の性別をどのように認識しているかということです。
問題66
プレコンセプションケアについて正しいのはどれか。
1. ケアの対象は女性に限定されている。
2. 母体保護法によって規定されている。
3. 国際連合 〈UN〉によって提唱されている。
4. 将来の妊娠に向けた健康の保持増進を目的としている。
解説:
1. 解答:ケアの対象は女性に限定されている。(→不正解)プレコンセプションケアは、女性だけでなく、男性も対象となります。
2. 解答:母体保護法によって規定されている。(→不正解)プレコンセプションケアは、母体保護法には規定されていません。
3. 解答:国際連合 〈UN〉によって提唱されている。(→不正解)プレコンセプションケアは、WHO(世界保健機関)によって提唱されています。
4. 解答:将来の妊娠に向けた健康の保持増進を目的としている。(→正解)プレコンセプションケアとは、将来の妊娠を考えている男女が、妊娠前から健康な状態を保つための取り組みのことです。
問題67
正期産の時期のノンストレステスト 〈NST〉で正常なのはどれか。
1. 20分に2回以上の一過性頻脈がある。
2. 胎児心拍数基線が80 bpm である。
3. 基線細変動が5bpmである。
4. 一過性徐脈がある。
解説:
1. 解答:20分に2回以上の一過性頻脈がある。(→正解)ノンストレステスト(NST)で正常な所見は、20分間に2回以上の一過性頻脈が見られることです。
2. 解答:胎児心拍数基線が80 bpm である。(→不正解)正常な胎児心拍数基線は、110〜160bpmです。
3. 解答:基線細変動が5bpmである。(→不正解)正常な基線細変動は、5〜25bpmです。
4. 解答:一過性徐脈がある。(→不正解)一過性徐脈は、胎児機能不全の兆候である可能性があります。
問題68
子宮復古不全(subinvolution of the uterus)の要因はどれか。
1. 胎児発育不全(fetal growth restriction)〈FGR〉
2. 卵膜の子宮内遺残
3. 分娩直後の授乳
4. 膀胱炎(cystitis)
解説:
1. 解答:胎児発育不全〈FGR〉(→不正解)胎児発育不全は、胎児の成長が正常よりも遅い状態であり、子宮復古不全の直接的な要因ではありません。
2. 解答:卵膜の子宮内遺残(→正解)卵膜や胎盤の一部が子宮内に残存すると、子宮収縮が妨げられ、子宮復古不全の原因となります。
3. 解答:分娩直後の授乳(→不正解)分娩直後の授乳は、オキシトシンの分泌を促し、子宮収縮を促進するため、子宮復古を促進します。
4. 解答:膀胱炎(→不正解)膀胱炎は、膀胱の炎症であり、子宮復古不全の直接的な要因ではありません。
問題69
出生直後の新生児の計測方法で正しいのはどれか。
1. 身長は側臥位で計測する。
2. 体重はオムツをつけて計測する。
3. 頭囲は後頭結節とオトガイの周囲を計測する。
4. 胸囲は肩甲骨直下と左右の乳頭を通る周囲を計測する。
解説:
1. 解答:身長は側臥位で計測する。(→不正解)新生児の身長は 仰臥位(あおむけ) で計測するのが正しい方法です。新生児体重計に付属している計測板や専用の計測シートを用い、 頭頂部を固定しながら足を伸ばして 測ります。側臥位(横向き)では正確な測定が難しくなるため、不適切です。
2. 解答:体重はオムツをつけて計測する。(→不正解)新生児の体重は 裸で計測する のが原則です。オムツをつけたままだと、その重さが加算され、正確な体重を測定できません。病院では通常、オムツや衣類を脱がせてから、専用の体重計で測定します。
3. 解答:頭囲は後頭結節とオトガイの周囲を計測する。(→不正解)頭囲の測定は、 後頭結節(最も突出した後頭部)と眉の上(前頭結節)を通る位置で計測します。オトガイ(あごの部分)を通ると測定位置がずれてしまい、正確な数値が得られません。
4. 解答:胸囲は肩甲骨直下と左右の乳頭を通る周囲を計測する。(→正解)胸囲の測定位置は 肩甲骨のすぐ下と、左右の乳頭を通る位置 で行います。
胸囲は、頭囲とともに発育の指標として重要であり、正確に測る必要があります。
問題70
精神科病院入院患者の身体的拘束中に発生しやすい合併症はどれか。
1. 糖尿病(diabetes mellitus)
2. 足白癬(tinea pedis)
3. 悪性症候群(malignant syndrome)
4. 肺血栓塞栓症(pulmonary thromboembolism)
解説:
1. 解答:糖尿病(→不正解)糖尿病は、生活習慣病であり、身体的拘束の直接的な合併症ではありません。
2. 解答:足白癬(→不正解)足白癬は、真菌感染症であり、身体的拘束の直接的な合併症ではありません。
3. 解答:悪性症候群(→不正解)悪性症候群は、抗精神病薬の副作用であり、身体的拘束の直接的な合併症ではありません。
4. 解答:肺血栓塞栓症(→正解)身体的拘束により、長時間の不動状態が続くと、下肢の血流が悪くなり、血栓ができやすくなります。血栓が肺に移動すると、肺血栓塞栓症を引き起こす可能性があります。
問題71
知的障害(intellectual disability (mental retardation)) 〈精神遅滞〉について正しいのはどれか。
1. 成人期に発症する。
2. 退行現象の1つである。
3. 統合失調症(schizophrenia)が原因となる。
4. 知的機能と適応機能が障害される。
解説:
1. 解答:成人期に発症する。(→不正解)知的障害は、発達期(通常は18歳未満)に発症します。
2. 解答:退行現象の1つである。(→不正解)退行現象とは、発達段階よりも前の段階に戻ってしまう現象であり、知的障害とは異なります。
3. 解答:統合失調症が原因となる。(→不正解)統合失調症は、精神疾患の1つであり、知的障害の原因とはなりません。
4. 解答:知的機能と適応機能が障害される。(→正解)知的障害とは、知的機能(知能指数など)と適応機能(日常生活能力など)の両方が障害されている状態を指します。
問題72
社会生活技能訓練 〈SST〉 について正しいのはどれか。
1. 認知行動療法の1つである。
2. 生活リズムの改善が目的である。
3. レクリエーション活動を中心に行う。
4. アウトリーチによる支援が原則である。
解説:
1. 解答:認知行動療法の1つである。(→正解)社会生活技能訓練(SST)は、認知行動療法の1つであり、社会生活に必要な技能を習得することを目的としています。
2. 解答:生活リズムの改善が目的である。(→不正解)生活リズムの改善は、SSTの目的の1つではありますが、主な目的ではありません。
3. 解答:レクリエーション活動を中心に行う。(→不正解)レクリエーション活動は、SSTの要素の1つではありますが、中心的な活動ではありません。
4. 解答:アウトリーチによる支援が原則である。(→不正解)アウトリーチとは、支援を必要とする人のもとへ出向いて支援を行うことですが、SSTでは必ずしもアウトリーチによる支援を行うわけではありません。
問題73
精神科病院での行動制限で正しいのはどれか。
1. 家族の同意により身体的拘束を決定する。
2. 行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。
3. 12 時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。
4. 暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。
解説:
1. 解答:家族の同意により身体的拘束を決定する。(→不正解)身体的拘束は、患者本人の意思を尊重し、医師の判断に基づいて慎重に決定する必要があります。
2. 解答:行動制限最小化委員会は患者の隔離の具体的な内容を決定する。(→不正解)行動制限最小化委員会は、行動制限の必要性や方法などを検討し、適切な実施を促すための組織です。
3. 解答:12 時間を超える隔離については、精神保健指定医の判断が必要である。(→正解)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づき、12時間を超える隔離を行う場合は、精神保健指定医の判断が必要です。
4. 解答:暴力行為があった場合は、当該患者の精神症状が落ち着くまで身体的拘束をする。(→不正解)身体的拘束は、患者本人の安全を確保するための最終手段であり、精神症状が落ち着くまで漫然と継続することは適切ではありません。
問題74
看護師の特定行為で正しいのはどれか。
1. 都道府県が指定する研修機関で研修を行う。
2. 手順書は看護師が作成する。
3. 医師法に基づいている。
4. 診療の補助である。
解説:
1. 解答:都道府県が指定する研修機関で研修を行う。(→不正解)特定行為研修は、厚生労働大臣が指定する研修機関で行われます。
2. 解答:手順書は看護師が作成する。(→不正解)手順書は、医師または歯科医師が作成します。
3. 解答:医師法に基づいている。(→不正解)特定行為は、保健師助産師看護師法に基づいて行われます。
4. 解答:診療の補助である。(→正解)特定行為は、医師または歯科医師の指示の下に行われる診療の補助であり、一定の条件を満たした看護師が行うことができます。
問題75
診療に関する諸記録に看護記録が含まれることを規定しているのはどれか。
1. 医師法
2. 医療法施行規則
3. 個人情報の保護に関する法律
4. 保健師助産師看護師法施行規則
解説:
1. 解答:医師法(→不正解)医師法は、医師の業務や資格などについて規定する法律です。
2. 解答:医療法施行規則(→正解)医療法施行規則は、医療法に基づいて、診療録や看護記録などの診療に関する諸記録の作成・保管について規定しています。
3. 解答:個人情報の保護に関する法律(→不正解)個人情報の保護に関する法律は、個人情報の取り扱いについて規定する法律です。
4. 解答:保健師助産師看護師法施行規則(→不正解)保健師助産師看護師法施行規則は、保健師、助産師、看護師の業務や資格などについて規定する規則です。
問題76
ワーク・ライフ・バランスの取り組みで正しいのはどれか。
1. 働き方の標準化を図る取り組みである。
2. 女性のライフサイクルに特化した取り組みである。
3. 自己啓発や社会活動にも適応される取り組みである。
4. キャリアを主体的に設計し実現していく取り組みである。
解説:
1. 解答:働き方の標準化を図る取り組みである。(→不正解)ワーク・ライフ・バランスは、個々の状況に合わせた柔軟な働き方を推進するものであり、標準化とは異なります。
2. 解答:女性のライフサイクルに特化した取り組みである。(→不正解)ワーク・ライフ・バランスは、女性だけでなく、男性も対象となります。
3. 解答:自己啓発や社会活動にも適応される取り組みである。(→正解)ワーク・ライフ・バランスは、仕事とプライベートの両立を支援するものであり、自己啓発や社会活動なども含まれます。
4. 解答:キャリアを主体的に設計し実現していく取り組みである。(→不正解)キャリア形成は、ワーク・ライフ・バランスの要素の1つではありますが、主な目的ではありません。
問題77
避難所生活において、身体活動が低下し続けている高齢者に最も起こりやすいのはどれか。
1. 感染
2. 脱水
3. せん妄
4. 生活不活発病(disuse syndrome)
解説:
1. 解答:感染(→不正解)感染は、衛生環境の悪化や免疫力低下など、様々な要因で起こりえます。
2. 解答:脱水(→不正解)脱水は、水分摂取不足や発熱、下痢などによって起こりえます。
3. 解答:せん妄(→不正解)せん妄は、認知機能の低下や環境の変化などによって起こりえます。
4. 解答:生活不活発病(→正解)生活不活発病とは、身体活動の低下によって、心身の機能が低下する状態を指します。高齢者は、避難所生活での運動不足や社会的交流の減少により、生活不活発病に陥りやすいです。生活不活発病は、筋力低下、関節拘縮、認知機能低下、うつ状態などを引き起こし、ADL(日常生活動作)の低下に繋がります。
急性の化膿性炎症で最初に血管外に遊走し炎症の中心となるのはどれか。
1. 血小板
2. 好酸球
3. 好中球
4. 赤血球
5. リンパ球
解説:
1. 解答:血小板(→不正解)血小板は、止血に関与しますが、炎症の初期には中心的な役割を果たしません。
2. 解答:好酸球(→不正解)好酸球は、寄生虫感染やアレルギー反応に関与しますが、急性の化膿性炎症の初期には中心的な役割を果たしません。
3. 解答:好中球(→正解)好中球は、白血球の一種であり、細菌感染などの急性の化膿性炎症において、最も早く血管外に遊走し、貪食作用によって病原体を排除する役割を担います。
4. 解答:赤血球(→不正解)赤血球は、酸素の運搬に関与しますが、炎症には直接関与しません。
5. 解答:リンパ球(→不正解)リンパ球は、慢性炎症や免疫反応に関与しますが、急性の化膿性炎症の初期には中心的な役割を果たしません。
問題79
過剰に摂取すると試験紙法による尿潜血検査が偽陰性となるのはどれか。
1. 葉酸
2. ビタミンA
3. ビタミンB1
4. パントテン酸
5. アスコルビン酸
解説:
1. 解答:葉酸(→不正解)葉酸は、ビタミンB群の一種であり、尿潜血検査に影響を与えることはありません。
2. 解答:ビタミンA(→不正解)ビタミンAは、尿潜血検査に影響を与えることはありません。
3. 解答:ビタミンB1(→不正解)ビタミンB群は、尿潜血検査に影響を与えることはありません。
4. 解答:パントテン酸(→不正解)パントテン酸は、ビタミンB群の一種であり、尿潜血検査に影響を与えることはありません。
5. 解答:アスコルビン酸(→正解)アスコルビン酸(ビタミンC)は、強力な還元作用を持つため、過剰に摂取すると尿中の酸化物質を還元し、試験紙法による尿潜血検査で偽陰性となることがあります。
問題80
II型アレルギーで起こる疾患はどれか。
1. 糸球体腎炎(glomerulonephritis)
2. 関節リウマチ(rheumatoid arthritis)
3. アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis)
4. アレルギー性結膜炎(allergic conjunctivitis)
5. 特発性血小板減少性紫斑病 (idiopathic thrombocytopenic purpura)〈ITP〉
解説:
1. 解答:糸球体腎炎(→不正解)糸球体腎炎は、Ⅲ型アレルギー(免疫複合体型)で起こることがあります。
2. 解答:関節リウマチ(→不正解)関節リウマチは、Ⅳ型アレルギー(細胞性免疫型)で起こることがあります。
3. 解答:アトピー性皮膚炎(→不正解)アトピー性皮膚炎は、Ⅰ型アレルギー(即時型)で起こることがあります。
4. 解答:アレルギー性結膜炎(→不正解)アレルギー性結膜炎は、Ⅰ型アレルギー(即時型)で起こることがあります。
5. 解答:特発性血小板減少性紫斑病 〈ITP〉(→正解)特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は、Ⅱ型アレルギー(細胞傷害型)で起こる疾患であり、自己抗体が血小板を攻撃し、血小板が減少することで出血しやすくなります。
問題81
伝えたいことがあるにも関わらず、ろれつが回らず正しく発音することが困難になるのはどれか。
1. 喚語困難
2. 構音障害
3. 吃音
4. 錯語
5. 嗄声
解説:
1. 解答:喚語困難(→不正解)喚語困難とは、物の名前が出てこない状態を指します。
2. 解答:構音障害(→正解)構音障害とは、発音に必要な器官(舌、口唇、声帯など)の麻痺や運動障害によって、ろれつが回らず、正しく発音することが困難になる状態を指します。
3. 解答:吃音(→不正解)吃音とは、発音がスムーズに出ない、言葉が詰まる、繰り返すなどの症状を指します。
4. 解答:錯語(→不正解)錯語とは、言葉を言い間違える、意味の異なる言葉を使ってしまう状態を指します。
5. 解答:嗄声(→不正解)嗄声とは、声がかすれる状態を指します。
問題82
口渇、多飲多尿を主訴とする患者が、夜間の排尿が頻回で不眠を訴えている。
1日の尿量は5Lほどで、尿比重は1.005、尿浸透圧は110mOsm/kgであった。
この症状の原因と考えられるホルモンの内分泌器官はどれか。
1. 下垂体後葉
2. 甲状腺
3. 膵臓
4. 副甲状腺
5. 副腎
解説:
1. 解答:下垂体後葉(→正解)下垂体後葉からは、バソプレシン(抗利尿ホルモン:ADH)が分泌されます。ADHは、腎臓での水の再吸収を促進し、尿量を減少させる働きがあります。ADHの分泌が低下すると、尿崩症となり、口渇、多飲多尿、夜間頻尿などの症状が現れます。尿比重が低く、尿浸透圧が低いことも、ADH分泌低下を示唆します。
2. 解答:甲状腺(→不正解)甲状腺からは、甲状腺ホルモンが分泌され、代謝を調節する働きがあります。
3. 解答:膵臓(→不正解)膵臓からは、インスリンやグルカゴンが分泌され、血糖値を調節する働きがあります。
4. 解答:副甲状腺(→不正解)副甲状腺からは、パラトルモンが分泌され、血中カルシウム濃度を調節する働きがあります。
5. 解答:副腎(→不正解)副腎からは、コルチゾールやアルドステロンなどが分泌され、血糖値や血圧、電解質バランスなどを調節する働きがあります。
問題83
血液凝固因子はどれか。 2つ選べ。
1. トロンボプラスチン
2. エリスロポエチン
3. ウロビリノゲン
4. フィブリノゲン
5. プラスミノゲン
解説:
1. 解答:トロンボプラスチン(→正解)トロンボプラスチン(第Ⅲ因子)は、組織因子とも呼ばれ、外因性の凝固経路を開始する因子です。
2. 解答:エリスロポエチン(→不正解)エリスロポエチンは、腎臓で産生されるホルモンで、赤血球の産生を促進します。
3. 解答:ウロビリノゲン(→不正解)ウロビリノゲンは、ビリルビンが腸内細菌によって代謝されたもので、尿や便中に排泄されます。
4. 解答:フィブリノゲン(→正解)フィブリノゲン(第Ⅰ因子)は、肝臓で産生されるタンパク質で、トロンビンの作用によりフィブリンとなり、血栓の主要な構成成分となります。
5. 解答:プラスミノゲン(→不正解)プラスミノゲンは、線維素溶解(線溶)系の因子で、プラスミンに変換され、フィブリンを分解します。
問題84
同種造血幹細胞移植の前に行われる全身放射線照射の目的はどれか。 2つ選べ。
1. 感染の予防
2. 拒絶反応の防止
3. 抗癌薬の活性化
4. 腫瘍細胞の根絶
5. 移植片対宿主病 〈GVHD〉(graft-versus-host disease)の予防
解説:
1. 解答:感染の予防(→不正解)全身放射線照射は、感染を予防する目的では行われません。
2. 解答:拒絶反応の防止(→正解)全身放射線照射は、患者自身の免疫細胞を抑制することで、移植された造血幹細胞に対する拒絶反応を防止する目的で行われます。
3. 解答:抗癌薬の活性化(→不正解)全身放射線照射は、抗癌薬を活性化する目的では行われません。
4. 解答:腫瘍細胞の根絶(→正解)全身放射線照射は、患者自身の体内に残存する腫瘍細胞を根絶する目的で行われます。
5. 解答:移植片対宿主病 〈GVHD〉の予防(→不正解)全身放射線照射は、GVHDを予防する直接的な効果はありません。GVHDの予防には、免疫抑制剤などが用いられます。
問題85
肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)で正しいのはどれか。 2つ選べ。
1. 早期から黄疸が出現する。
2. 原発性肝癌(primary liver cancer)の中で最も頻度が高い。
3. 診断に腹部超音波検査が用いられる。
4. 特異性の高い腫瘍マーカーは CEA である。
5. 肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。
解説:
1. 解答:早期から黄疸が出現する。(→不正解)肝細胞癌は、早期には症状が出にくいことが多く、黄疸は進行してから出現することがあります。
2. 解答:原発性肝癌の中で最も頻度が高い。(→正解)肝細胞癌は、原発性肝癌の中で最も頻度が高く、約90%を占めます。
3. 解答:診断に腹部超音波検査が用いられる。(→正解)腹部超音波検査は、肝細胞癌のスクリーニングや診断に広く用いられています。
4. 解答:特異性の高い腫瘍マーカーは CEA である。(→不正解)肝細胞癌に特異性の高い腫瘍マーカーは、AFP(α-フェトプロテイン)やPIVKA-II(プロトロンビン誘導体)です。CEAは、大腸癌などで上昇することがあります。
5. 解答:肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌である。(→不正解)肝内胆管の細胞が腫瘍化して発生する癌は、胆管細胞癌です。
問題86
片側性の末梢性顔面神経麻痺(peripheral facial palsy)の症状はどれか。 2つ選べ。
1. 眼瞼が下垂する。
2. 顔面の知覚が鈍い。
3. 口角が垂れ下がる。
4. 物が二重に見える。
5. 額にできるしわに左右差がある。
解説:
1. 解答:眼瞼が下垂する。(→不正解)眼瞼下垂は、動眼神経麻痺や重症筋無力症などでみられる症状です。
2. 解答:顔面の知覚が鈍い。(→不正解)顔面神経は、顔面の表情筋の運動を支配しており、知覚には関与しません。顔面の知覚は、三叉神経が支配しています。
3. 解答:口角が垂れ下がる。(→正解)末梢性顔面神経麻痺では、顔面の表情筋が麻痺するため、口角が垂れ下がります。
4. 解答:物が二重に見える。(→不正解)物が二重に見えるのは、外眼筋の麻痺による複視であり、動眼神経、滑車神経、外転神経などの障害でみられます。
5. 解答:額にできるしわに左右差がある。(→正解)末梢性顔面神経麻痺では、額の筋肉も麻痺するため、額にできるしわに左右差が生じます。
問題87
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律 〈障害者総合支援法〉に基づく障害福祉サービスはどれか。 2つ選べ。
1. 訪問介護
2. 訪問看護
3. 療養介護
4. 重度訪問介護
5. 訪問リハビリテーション
解説:
1. 解答:訪問介護(→不正解)訪問介護は、介護保険法に基づくサービスです。
2. 解答:訪問看護(→不正解)訪問看護は、医療保険または介護保険に基づくサービスです。
3. 解答:療養介護(→正解)療養介護は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスであり、医療と介護を必要とする方に提供されます。
4. 解答:重度訪問介護(→正解)重度訪問介護は、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスであり、重度の肢体不自由者や知的障害者、精神障害者などに、居宅での生活全般を支援するサービスです。
5. 解答:訪問リハビリテーション(→不正解)訪問リハビリテーションは、医療保険または介護保険に基づくサービスです。
問題88
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 <感染症法〉で、2類感染症に分類されるのはどれか。 2つ選べ。
1. ポリオ(poliomyelitis)〈急性灰白髄炎〉
2. 細菌性赤痢(shigellosis)
3. 狂犬病(rabies)
4. 百日咳(pertussis, whooping cough)
5. 結核(tuberculosis)
解説:
1. 解答:ポリオ〈急性灰白髄炎〉(→正解)ポリオは感染症法において2類感染症に分類されています。2類感染症は感染力及び罹患した場合の重篤性からみた危険性が高い感染症とされています。
2. 解答:細菌性赤痢(→正解)細菌性赤痢は3類感染症に分類されています。3類感染症は特定の職業への就業によって感染症の集団発生を起こし得る感染症とされています。
3. 解答:狂犬病(→不正解)狂犬病は4類感染症に分類されています。
4. 解答:百日咳(→不正解)百日咳は、5類感染症に分類されます。
5. 解答:結核(→正解)結核は、2類感染症に分類されます。
2類感染症には、ポリオ(急性灰白髄炎)と結核の他に、重症急性呼吸器症候群(SARS)、ジフテリア、中東呼吸器症候群(MERS)、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)が含まれます。これらの感染症は、感染力が強く、罹患した場合の重篤性が高いため、厳重な管理と対策が必要とされています。
問題89
日常生活自立支援事業のサービス内容で正しいのはどれか。 2つ選べ。
1. 住民票の届出
2. 福祉用具の貸与
3. 入院時の身元保証
4. 自家用車の売買契約
5. 銀行口座から現金の引き出し
解説:
1. 解答:住民票の届出(→正解)日常生活自立支援事業では、福祉サービスの利用や金銭管理に関する支援の一環として、住民票の届出に関する支援を行います。
2. 解答:福祉用具の貸与(→不正解)福祉用具の貸与は、日常生活自立支援事業のサービス内容には含まれません。
3. 解答:入院時の身元保証(→不正解)入院時の身元保証は、日常生活自立支援事業のサービス内容には含まれません。
4. 解答:自家用車の売買契約(→不正解)自家用車の売買契約は、日常生活自立支援事業のサービス内容には含まれません。
5. 解答:銀行口座から現金の引き出し(→正解)日常生活自立支援事業では、福祉サービスの利用や金銭管理に関する支援の一環として、銀行口座から現金の引き出しに関する支援を行います。
問題90
ドパミン受容体が遮断されることで出現する症状はどれか。 2つ選べ。
1. 幻聴
2. 口渇
3. 妄想
4. 筋強剛
5. アカシジア
解説:
1. 解答:幻聴(→不正解)幻聴は、ドパミン過剰仮説に基づき、ドパミン受容体を遮断する抗精神病薬によって改善されることがあります。
2. 解答:口渇(→不正解)口渇は、抗コリン作用のある薬剤の副作用として現れることがあります。
3. 解答:妄想(→不正解)妄想は、ドパミン過剰仮説に基づき、ドパミン受容体を遮断する抗精神病薬によって改善されることがあります。
4. 解答:筋強剛(→正解)ドパミン受容体の遮断により、パーキンソン症状の一つである筋強剛が現れることがあります。
5. 解答:アカシジア(→正解)ドパミン受容体の遮断により、アカシジア(静坐不能)という、じっとしていられない、そわそわするなどの症状が現れることがあります。
次の文を読み 91~93の問いに答えよ。
Aさん (73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞(cerebral infarction)で入院した。
Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。 4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。 退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、 退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。
問題91
このとき、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報として最も適切なのはどれか。
1. 服薬の状況
2. 食事の摂取量
3. 右上下肢の筋力
4. 他者との交流の頻度
解説:
1. 解答:服薬の状況(→不正解)服薬状況も重要な情報ですが、転倒に直接影響する要因としては優先度が低いと考えられます。
2. 解答:食事の摂取量(→不正解)食事の摂取量も健康状態を把握する上で重要な情報ですが、転倒に直接影響する要因としては優先度が低いと考えられます。
3. 解答:右上下肢の筋力(→正解)Aさんは左半身に麻痺があるため、右上下肢の筋力は、歩行の安定性やバランスに大きく影響します。
4. 解答:他者との交流の頻度(→不正解)他者との交流の頻度も精神的な健康を保つ上で重要ですが、転倒に直接影響する要因としては優先度が低いと考えられます。
問題92
退院から2か月後、 Aさんは杖歩行が安定し、時間をかけて調理や買い物を自分で行うようになった。 看護師が訪問したとき、Aさんから「最近トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうことがあるんです。 恥ずかしいので排泄だけは人の世話になりたくないんです。 良い方法があれば教えてください」と相談された。
このときの訪問看護師のAさんへの助言で最も適切なのはどれか。
1.「パンツ型オムツを使ってみましょう」
2. 「ポータブルトイレを使ってみましょう」
3. 「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」
4.「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」
解説:
1. 解答:「パンツ型オムツを使ってみましょう」(→不正解)オムツの使用は、最終的な手段であり、まずは他の方法を検討すべきです。
2. 解答:「ポータブルトイレを使ってみましょう」(→不正解)ポータブルトイレは、夜間などトイレまで移動するのが困難な場合に有効ですが、まずは排尿間隔を把握することが重要です。
3. 解答:「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」(→不正解)水分制限は、脱水のリスクがあるため、安易に勧めるべきではありません。
4. 解答:「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」(→正解)まずは、排尿日誌などを活用して、ご自身の排尿間隔を把握し、尿意がなくても定期的にトイレに行くように促すことが適切です。
問題93
退院から3か月後、 Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。 「買い物や調理が面倒になって、 同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、 最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。
訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1. 食事内容を見直す。
2. 腹部の温罨法を勧める。
3. 市販の浣腸液の使用を勧める。
4. 主治医に緩下薬の処方を相談する。
解説:
1. 解答:食事内容を見直す。(→正解)Aさんの生活状況から、食物繊維の摂取不足や水分不足が考えられます。まずは、食事内容を見直し、食物繊維や水分を積極的に摂取するように促すことが適切です。
2. 解答:腹部の温罨法を勧める。(→不正解)腹部の温罨法は、便秘の症状を緩和する効果があるかもしれませんが、根本的な解決にはなりません。
3. 解答:市販の浣腸液の使用を勧める。(→不正解)市販の浣腸液の使用は、一時的な便秘解消には有効ですが、常用すると腸の機能を低下させる可能性があるため、安易に勧めるべきではありません。
4. 解答:主治医に緩下薬の処方を相談する。(→不正解)緩下薬の処方は、食事内容の見直しや生活習慣の改善を試みても効果がない場合に検討すべきです。
次の文を読み 94~96の問いに答えよ。
Aさん (56歳、女性、主婦) は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症(cholelithiasis)と診断され、腹腔鏡下胆嚢摘出術の目的で入院した。看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。 Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、 自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。
問題94
Aさんの妹が発症した合併症はどれか。
1. 肺炎(pneumonia)
2. 胆汁瘻
3. 皮下気腫
4. 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)
解説:
1. 解答:肺炎(→不正解)肺炎は、術後の呼吸器合併症として起こりえますが、3週間以上食事もできないほどの重症化は稀です。
2. 解答:胆汁瘻(→正解)胆汁瘻は、胆嚢摘出術後に胆管から胆汁が漏れ出す合併症であり、腹痛、発熱、黄疸などを引き起こします。重症の場合、再手術が必要となり、長期の入院が必要となることがあります。
3. 解答:皮下気腫(→不正解)皮下気腫は、気腹手術の際に炭酸ガスが皮下組織に漏れ出すことで起こりますが、通常は自然に吸収され、長期の食事制限が必要となることはありません。
4. 解答:深部静脈血栓症(→不正解)深部静脈血栓症は、術後の血栓形成のリスク因子がある場合に起こりえますが、3週間以上食事もできないほどの重症化は稀です。
問題95
Aさんは、 全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆嚢摘出術を受けている。
手術中のAさんに最も生じやすいのはどれか。
1. 体温の上昇
2. 心拍出量の上昇
3. 腹腔内圧の低下
4. 動脈血二酸化炭素分圧 〈PaCO2〉の上昇
解説:
1. 解答:体温の上昇(→不正解)手術中は、体温低下を防ぐために加温が行われることが一般的です。
2. 解答:心拍出量の上昇(→不正解)気腹法により腹腔内圧が上昇すると、静脈還流量が減少し、心拍出量が低下することがあります。
3. 解答:腹腔内圧の低下(→不正解)気腹法では、腹腔内に二酸化炭素を注入し、腹腔内圧を上昇させることで手術操作のスペースを確保します。
4. 解答:動脈血二酸化炭素分圧 〈PaCO₂〉の上昇(→正解)気腹法では、腹腔内に注入された二酸化炭素が血中に吸収され、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)が上昇しやすくなります。
問題96
A さんの術後の経過は良好で、 退院した。 その後の外来受診で「下痢をすることが多いです」という訴えがあった。
下痢を予防するために控えるもので正しいのはどれか。
1. 塩分
2. 脂質
3. 糖質
4. 蛋白質
解説:
1. 解答:塩分(→不正解)塩分は、下痢に直接的な影響を与えるわけではありません。
2. 解答:脂質(→正解)胆嚢摘出術後は、胆汁の分泌量が減少し、脂質の消化吸収が低下するため、下痢を起こしやすくなります。
3. 解答:糖質(→不正解)糖質は、下痢に直接的な影響を与えるわけではありません。
4. 解答:蛋白質(→不正解)蛋白質は、下痢に直接的な影響を与えるわけではありません。
次の文を読み 97~99の問いに答えよ。
Aさん(50歳、女性、会社員) は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。 救命救急センター到着時のバイタルサインは、 体温 36.7°C、呼吸数 20/分、脈拍 88/分、血圧168/88 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 〈SpO₂〉 98%(room air)であった。 閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。
問題97
Aさんの意識レベルは、 ジャパン・コーマ・スケール 〈JCS〉 で評価するとどれか。
1. II-10
2. II-20
3. III-100
4. III-200
解説:
この問題では、Aさんの意識レベルをジャパン・コーマ・スケール(JCS)で評価する必要があります。まず、Aさんの状態について確認しましょう。【Aさんの状態】
◆症状:激しい頭痛、倒れる、意識を失って救急搬送。
◆バイタルサイン:
・体温:36.7°C(正常)
・呼吸数:20/分(正常)
・脈拍:88/分(正常)
・血圧:168/88 mmHg(高め)
・SpO2:98%(正常)
◆意識状態:
・閉眼している状態。
・大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼し、眠り込んでしまう。【ジャパン・コーマ・スケール(JCS)の分類】
◆JCSは、意識レベルを次のように分類します。
・I(正常意識):正常な意識。
・II(軽度意識障害):少し意識が鈍くなるが、強い刺激には反応する。
・II-10:軽い刺激で開眼するが、意識はぼんやりしている。
・II-20:声をかけても反応が遅れることがあるが、強い刺激には開眼する。
・III(昏睡状態):昏睡状態で、刺激に対する反応が非常に鈍いかほとんどない。
・III-100:強い刺激には反応があるが、非常に鈍い。
・III-200:ほとんど反応がなく、深い昏睡状態。
◆Aさんの状態に対する評価
Aさんは閉眼している状態ですが、大声で話しかけると開眼します。ただし、すぐに再び閉眼して眠り込んでしまいます。このことから、意識が少し鈍く、反応は遅いが強い刺激には開眼することがわかりますので、Aさんの意識レベルはII-20に該当すると判断→正解は解答2と言えます。
問題98
Aさんは、CT検査の結果、 脳動脈瘤(cerebral aneurysm)の破裂によるくも膜下出血(subarachnoid hemorrhage)と診断され、 クリッピング術を受けてICUに入室した。 入室時のバイタルサインは、体温36.8°C、呼吸数 22/分、脈拍78/分、血圧 126/60mmHg、 フェイスマスクによる酸素投与下(5L/分)で経皮的動脈血酸素飽和度 <SpO2>98%であった。 3時間後、Aさんは開眼して「頭が痛い」と訴えた。 バイタルサインに変化はなく、 脳槽ドレーンからは淡血性の排液がみられている。
このときの看護師の判断で正しいのはどれか。
1. 端座位にする。
2. 枕を高くする。
3. 鎮痛薬の適応である。
4. ドレーンをクランプする。
解説:
1. 解答:端座位にする。(→不正解)くも膜下出血術後の患者さんに対して、急な体位変換は再出血のリスクを高める可能性があります。
2. 解答:枕を高くする。(→不正解)くも膜下出血術後の患者さんに対して、枕を高くすることは、頭蓋内圧を上昇させる可能性があるため、注意が必要です。
3. 解答:鎮痛薬の適応である。(→正解)Aさんは、頭痛を訴えており、術後の痛みである可能性が高いため、鎮痛薬の投与を検討する必要があります。
4. 解答:ドレーンをクランプする。(→不正解)脳槽ドレーンは、髄液を排出することで頭蓋内圧をコントロールする目的で留置されており、クランプすると頭蓋内圧が上昇する可能性があるため、医師の指示なしにクランプすべきではありません。
問題99
A さんの回復は順調で、 後遺症なく退院した。 退院1か月後の外来で、 A さんに生活状況を聞くと、 会話に対する反応は鈍く 「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。 家族は「最近物忘れが激しく、 歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がAさんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。 家族は「入院前と変わらない字で書けています」 と言った。
Aさんに起こっている可能性が高いのはどれか。
1. 脳血管攣縮
2. 正常圧水頭症(normal pressure hydrocephalus)
3. 脳動脈瘤の破裂(cerebral aneurysm)
4. Parkinson 〈パーキンソン〉病
解説:
1. 解答:脳血管攣縮(→不正解)脳血管攣縮は、くも膜下出血後4〜14日頃に起こりやすい合併症であり、数か月後に起こる可能性は低いと考えられます。
2. 解答:正常圧水頭症(→正解)正常圧水頭症は、くも膜下出血後に起こることがあり、認知機能障害、歩行障害、尿失禁の3つの症状を特徴とします。
3. 解答:脳動脈瘤の破裂(→不正解)脳動脈瘤の破裂は、くも膜下出血の原因となりますが、今回のケースでは、すでにクリッピング術を受けており、再破裂の可能性は低いと考えられます。
4. 解答:Parkinson 〈パーキンソン〉病(→不正解)パーキンソン病は、進行性の神経変性疾患であり、振戦、筋固縮、無動、姿勢反射障害などの症状を特徴とします。Aさんの症状からは、パーキンソン病の可能性は低いと考えられます。
次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん (87歳、女性)は1人で暮らしている。 難聴のため補聴器を使用している。自宅で転倒して痛みで起き上がれなくなり、 救急搬送され入院した。 搬送先の病院で右大腿骨頸部骨折と診断され、 全身麻酔下で人工骨頭置換術を受けた。 術後は前腕部に点滴静脈内注射と右大腿の創部に吸引式ドレーンが一本挿入されている。手術直後の検査所見:赤血球410万/μL、 白血球7800/μL、 Hb 12.0g/dL、 総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.0g/dL、 尿素窒素20 mg/dL、Na145 mEq/L、K3.8mEq/L。術後のドレーン出血量は少量である。 創部痛に対して非ステロイド性抗炎症薬の坐薬と内服が処方され、手術当日の21時に坐薬を使用した。
問題100
術後1日。朝6時のAさんのバイタルサインは、 体温 36.5°C、 呼吸数 18/分、脈拍 64/分、血圧 120/82 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度 〈SpO2〉 97% (room air)であった。膀胱留置カテーテルが挿入されていて夜間の尿の流出は良好であった。腸蠕動音が確認できたため朝食が開始された。 食事時にAさんが顔をしかめていたため、夜勤の看護師が鎮痛薬の内服を勧めたがAさんは「痛みはそれほど強くない」と言った。 朝食後に点滴静脈内注射と吸引式ドレーンが抜去された。午前9時の看護師の観察項目で優先度が高いのはどれか。
1. 意識レベル
2. 酸素飽和度
3. 創部痛
4. 血圧
5. 尿量
解説:
1. 解答:意識レベル(→不正解)Aさんの意識レベルは、術後1日の時点で安定しているため、優先度は低いと考えられます。
2. 解答:酸素飽和度(→不正解)Aさんの酸素飽和度は、術後1日の時点で97%と良好であるため、優先度は低いと考えられます。
3. 解答:創部痛(→正解)Aさんは、食事時に顔をしかめており、創部痛がある可能性があります。痛みの程度や性状を把握し、適切な鎮痛対策を行うことが重要です。
4. 解答:血圧(→不正解)Aさんの血圧は、術後1日の時点で安定しているため、優先度は低いと考えられます。
5. 解答:尿量(→不正解)Aさんは、膀胱留置カテーテルが挿入されており、尿の流出は良好であるため、優先度は低いと考えられます。
問題101
術後1日。 午前中に看護師がAさんのバイタルサインを測定しているときは眠っていた。 昼食後に看護師が訪室すると、 Aさんは多弁で、落ち着かない様子がみられた。看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。 2つ選べ。
1. 医師に抗不安薬の処方を依頼する。
2. ベッド上で安静に過ごしてもらう。
3. 膀胱留置カテーテルを抜去する。
4. ベッド周囲をカーテンで囲む。
5. 補聴器の装着を確認する。
解説:Aさんは手術後1日目で、午前中は眠っており、昼食後に多弁で落ち着かない様子が見られました。このような症状は、術後のせん妄の兆候である可能性が高いです。せん妄は、特に高齢者や手術後の患者に見られやすい急性の意識障害であり、環境的な変化や身体的な不調(痛み、薬物、副作用など)が引き金になることがあります。1. 解答:医師に抗不安薬の処方を依頼する。(→不正解)抗不安薬はせん妄に対する直接的な治療にはなりません。むしろ、まずはAさんの状態がせん妄かどうかを評価し、原因を特定することが重要です。せん妄が疑われる場合、まずは環境や身体的要因(痛み、薬の副作用、感染症など)を調整することが先決です。薬物に頼る前に、非薬物的なアプローチ(環境の調整、コミュニケーションの強化など)を試みるべきです。
2. 解答:ベッド上で安静に過ごしてもらう。(→正解)Aさんが術後1日目で多弁で落ち着かない様子が見られる場合、安静を保つことが一つの適切な対応です。過剰な刺激を避けるため、安静にすることが症状の悪化を防ぐ場合があります。また、安静にすることで体の回復を助け、混乱を軽減することができることがあります。
3. 解答:膀胱留置カテーテルを抜去する。(→不正解)膀胱留置カテーテルは、術後の管理において必要な場合があります。Aさんが落ち着かない様子を見せているからといって、カテーテルを抜去することは推奨されません。カテーテルが不快感を引き起こしている可能性はありますが、その場合は医師と相談し、適切に評価を行った後に決定するべきです。
4. 解答:ベッド周囲をカーテンで囲む。(→不正解)落ち着かない様子が見られるAさんに対して、カーテンで囲むことは逆効果になる可能性があります。環境を閉鎖的にすることが不安感を強め、混乱を招く可能性があります。むしろ、Aさんが周囲の環境を理解しやすいように、開放的で安心感のある環境を提供することが望ましいです。
5. 解答:補聴器の装着を確認する。(→正解)Aさんは難聴があるため、コミュニケーションがうまく取れないことが混乱や不安を招いている可能性があります。補聴器が適切に装着されているかを確認することは、Aさんの落ち着かない様子を軽減するために重要です。補聴器が正しく装着されていないと、周囲の話や指示が伝わらず、さらに不安を強めることがあります。
問題102
術後2週。 Aさんは杖歩行の練習をしている。 見守りをする看護師に「早く家に帰りたいけど、 また転びそうで怖いし、 元のように歩ける自信がない」 と話した。Aさんへの声かけで最も適切なのはどれか。
1. 「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」
2. 「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」
3. 「少しずつでも良くなっていますよ。焦らずに練習しましょう」
4. 「ご家族もAさんが帰ってくるのを楽しみに待っていますよ」
解説:
1. 解答:「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」(→不正解)リハビリテーションの回数を増やすことも有効ですが、Aさんの不安な気持ちに寄り添うことがより重要です。
2. 解答:「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」(→不正解)カルシウム摂取は、骨折の治癒を促進する上で重要ですが、Aさんの不安な気持ちに寄り添うことがより重要です。
3. 解答:「少しずつでも良くなっていますよ。焦らずに練習しましょう」(→正解)Aさんの不安な気持ちに寄り添い、これまでの努力を認めつつ、焦らずにリハビリテーションに取り組むように励ますことが適切です。
4. 解答:「ご家族もAさんが帰ってくるのを楽しみに待っていますよ」(→不正解)家族の期待を伝えることも有効ですが、Aさんの不安な気持ちに寄り添うことがより重要です。
Aさん (76歳 男性) は妻 (72歳)と2人で暮らしている。 ベッドからトイレに起きようとしたところ右上下肢にしびれと脱力感があり、 動けなくなったため救急車で来院した。頭部CTで左中大脳動脈領域のラクナ梗塞(lacunar infarction)と診断され、 緊急入院し血栓溶解療法が施行された。
既往歴: 53歳で高血圧症(hypertension)と診断され内服治療を継続している。
生活歴:60歳まで食品会社に勤務していた。
入院時の身体所見: 身長168cm、体重65kg、 体温 37.2°C、 呼吸数20/分、 脈拍78/分、整、血圧210/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度<SpO2〉 97% (room air)、 右上下肢麻痺を認めた。
入院時の検査所見: 白血球 3,600/μL、赤血球420万/μL、 Hb 11.2g/dL、 総蛋白 6.2g/dL、アルブミン 3.6g/dL、 空腹時血糖108mg/dL、CRP 0.1mg/dL。
問題103
入院2日、 Aさんは全身状態が落ち着いてきたため、主治医から離床開始の指示があった。 Aさんの離床開始時の観察項目で優先度が高いのはどれか。
1. 血圧
2. 見当識障害
3. 下肢の知覚障害
4. 夜間の睡眠状況
解説:
1. 解答:血圧(→正解)
-脳梗塞患者の離床開始時には、血圧の変動が最も重要な観察項目となる。急激な血圧低下は脳血流を減少させ、症状を悪化させる可能性がある。また、Aさんは高血圧症の既往があり、入院時の血圧も210/88mmHgと高値であったため、血圧管理が特に重要である。
2. 解答:見当識障害(→不正解)
- 重要な観察項目ではあるが、離床開始時の最優先項目ではない。
3. 解答: 下肢の知覚障害(→不正解)
- 観察すべき項目ではあるが、血圧ほど緊急性や重要性は高くない。
4. 解答: 夜間の睡眠状況(→不正解)
- 患者の全体的な回復状況を把握する上で重要だが、離床開始時の最優先観察項目ではない。
問題104
入院5日。 Aさんは座位訓練の後、車椅子に座って食事を摂取することになっ
た。食事動作は自助具を使用すれば少しずつ自分で摂取できるようになったが、 時 間が経過すると上体が右側に傾くため、 体幹の右側にクッションを入れて食事をしている。Aさんが安定して食事ができるための援助で適切なのはどれか。
1. 座位時間を徐々に短縮する。
2. テーブルの高さを高くする。
3. 背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする。
4.Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する。
解説:
1. 解答: 座位時間を徐々に短縮する(→不正解)
- 座位時間を短縮することは、ADLの向上や食事摂取の改善につながらない。
2. 解答: テーブルの高さを高くする(→不正解)
- テーブルを高くすることで、かえって食事動作が困難になる可能性がある。
3. 解答: 背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする(→正解)
- 軽い前傾姿勢は、体幹の安定性を高め、右側への傾きを軽減する。また、食事動作の円滑化にもつながる。
4. 解答: Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する(→不正解)
- 患者自身に意識的に姿勢を修正させることは、疲労を増加させ、食事に集中できなくなる可能性がある。
問題105
入院2週、 Aさんは自宅への退院を目指し、回復期リハビリテーション病棟へ
転棟することになった。 Aさんは、座位姿勢での右側への傾きが徐々に改善され、食事や作業療法の時間は車椅子での座位保持が可能になってきた。 Aさんは看護 師の介助で車椅子に移乗が可能となり、車椅子でトイレに移動できるようになった。看護師はAさんのADLの拡大を目標に、 看護計画を修正することにした。 障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度) 判定基準における評価で、 Aさんの生活状況はどれか。
1. ランク J
2. ランク A
3. ランク B
4. ランク C
解説:
1. 解答:ランク J(→不正解)
- ランク J は「何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立している」状態を指す。Aさんの現状とは合致しない。
2. 解答: ランク A(→正解)
- ランク A は「屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出できない」状態を指す。Aさんは車椅子での移動が可能で、介助で移乗できるようになっており、この状態に最も近い。
3. 解答: ランク B(→不正解)
- ランク B は「屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体であるが、座位を保つ」状態を指す。Aさんは車椅子での移動が可能なため、この状態よりも自立度が高い。
4. 解答: ランク C(→不正解)
- ランク C は「1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する」状態を指す。Aさんの状態はこれよりもはるかに自立度が高い。
次の文を読み、106~108の問いに答えよ。
Aちゃん (1歳4か月、女児)は、午前9時ころ、 ポータブル型のゲーム機用の直径10mmのボタン型電池を誤飲し、 午前10時に両親に付き添われ外来を受診した。 看護師がAちゃんを観察すると、 機嫌は良くバイタルサインも安定していた。 A ちゃんに成長や発達の遅れはない。待合室にはAちゃんの他に3人の患児が診察を待っていた。 それぞれは以下のとおりである。 B君(1歳3か月、男児): 今朝、カーペットの敷かれたフロアで歩行中に転倒。 バイ
タルサインは正常、 顔色良好。 母親に抱っこされて遊んでいる。 Cちゃん (3歳、女児): 体温 39.5°C、呼吸数23/分、 脈拍100/分、鼻汁多量、 機嫌良好、顔色良好。D君 (9か月、 男児) : 自宅で痙攣したため受診。 初めての痙攣で、 5分間継続したが、受診時には止まっている。 待合室にて3回の嘔吐。 体温38.7°C。声かけで開眼するが、すぐにうとうとする。
問題106
このときの看護師のトリアージで診察を受ける優先度が高いのはどれか。
1. Aちゃん
2. B君
3. Cちゃん
4. D君
解説:
1. 解答:Aちゃん(→正解):Aちゃん(1歳4か月、女児)はボタン型電池を誤飲したため、緊急の対応が必要です。誤飲した電池が食道や胃に残っている場合、化学的な火傷や消化管の穿孔などの危険性が高く、早急に対応しなければならない状況です。特にボタン型電池は、消化管内で長時間留まると重篤な合併症を引き起こす可能性があり、トリアージの優先度は高いです。Aちゃんは機嫌は良好でバイタルサインも安定しているものの、誤飲という重大なリスクがあるため、最優先で診察を受けるべきです。
2.解答:B君 (→不正解)B君(1歳3か月、男児)は転倒しただけで、バイタルサインが正常で顔色も良好です。大きな外傷がなければ、診察優先度は低いです。
3. 解答:Cちゃん(→不正解)Cちゃん(3歳、女児)は発熱していますが、機嫌が良く顔色も良好で、風邪のような症状です。発熱があるものの、重篤な状態ではなく、診察の優先度は中程度です。
4. 解答:D君(→正解)D君(9か月、男児)は初めての痙攣がありましたが、痙攣は止まっており、受診時には意識もある程度回復しています。嘔吐もありますが、痙攣後の意識障害が続いていないため、緊急性は低いものの、注意深い観察が必要です。
問題107
Aちゃんは、 腹部エックス線撮影で胃内にボタン型電池が認められ、全身麻酔下での内視鏡でボタン型電池を摘出し、消化管粘膜に大きな問題はなかった。 摘出後、小児病棟に1泊入院した。 小児病棟に入院1時間後、看護師が訪室すると Aちゃんは覚醒しており、図のように「ママー、 ママー」と言いながら大声で泣き、ベッドから両親の方に手を伸ばしている。両親は戸惑った様子で、ベッドの傍に立っている。
このときの看護師による安全な療養環境の整備で適切なのはどれか。 2つ選べ。
1. ぬいぐるみを取り除く。
2. 毛布をベッド柵にかける。
3. 柵を半分の高さまで降ろす。
4. 点滴ルートの長さを延長する。
5. 点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。
解説:
解答1:ぬいぐるみを取り除く。(→正解)Aちゃんが覚醒して泣いている状態で、ベッド周りにぬいぐるみがあると、落ち着かない環境になる可能性があります。特に、幼児は好奇心が強いため、ぬいぐるみを使って手や体を引っ張ったり、誤って転倒したりするリスクを減らすためにも、ぬいぐるみは取り除くことが適切です。
解答2:毛布をベッド柵にかける。(→不正解)毛布を柵にかけることは、Aちゃんが手を伸ばしたり、動き回ったりする際に毛布に引っかかるリスクがあるため、必ずしも安全とは言えません。毛布は整理して、引っかからないようにした方が安全です。
解答3:柵を半分の高さまで降ろす。(→不正解)ベッド柵は安全を確保するために使うもので、半分に降ろすことは逆に転落のリスクを高める可能性があります。通常、柵はしっかりと全高を保つべきです。
解答4:点滴ルートの長さを延長する。(→正解)Aちゃんがベッドから動こうとしたり、手を伸ばして動き回ることを防ぐためには、点滴ルートの長さを適切に調整し、動き回った際に点滴が引っ張られないようにすることが重要です。これにより、点滴が外れるリスクを減らし、安全な療養環境を保てます。
解答5:点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。(→不正解)点滴スタンドを手の届くところに置くことは逆効果です。Aちゃんがそれに手を伸ばしてしまうと、点滴のラインが外れるなどのトラブルを引き起こす可能性があるため、点滴スタンドは手の届かない場所に設置するべきです。
問題108
両親に伝える内容で最も適切なのはどれか。
1. Aちゃんから目を離さないこと
2. Aちゃんにやってはいけないことを教えること
3. 家の中でのAちゃんの行動範囲を柵で区切ること
4. 大きさが4cmよりも小さいものはAちゃんの手が届かないところに置くこと
解説:
解答1(→不正解):現実的にずっと目を離さないことは困難であり、予防策として適切ではない。
解答2(→不正解):1歳4か月の子どもは、まだ危険性を十分に理解できないため、教育よりも環境整備が重要。
解答3(→不正解):柵を設けることも有効だが、誤飲の予防には直接関係しない。
解答4(→正解):4cm以下のものは誤飲のリスクが高いため、子どもの手が届かないところに置くことが重要。
次の文を読み 109~111の問いに答えよ。
A さん (41歳、初妊婦、会社員) は夫 (42歳、会社員)と2人で暮らしている。身長は 158cm、非妊時体重 55kg である。 Aさんは妊娠16週3日に妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。 妊婦健康診査後 「夫から、 高齢妊娠だから安静にするよう言われ、 夫が家事をしてくれています。 妊娠前はバスケットボールを週に3回、毎日夕方に夫とウォーキングをしていました。 今は仕事に行く以外は、家でなるべく動かないようにしています」とAさんが看護師に話した。
問題109
A さんへの活動に関する助言で適切なのはどれか。
1. 「仕事は辞めましょう」
2. 「ウォーキングを再開しましょう」
3. 「週1回バスケットボールをやりましょう」
4. 「ご家族の言うように安静にしていましょう」
解説:
解答1(→不正解):特別な合併症がない場合、妊娠中も仕事を続けることは可能であり、退職を勧める必要はない。
解答2(→正解):適度な運動は妊娠中の健康維持に役立つため、ウォーキングの再開が適切。
解答3(→不正解):バスケットボールは接触や転倒のリスクがあり、妊娠中には推奨されない。
解答4(→不正解):高齢妊娠でも特に問題がない場合、過度な安静は必要なく、適度に動くことが推奨される。
Aさんは妊娠24週0日に妊婦健康診査を受けた。 体重60kg (妊娠20週の体重
は 58kg)。血圧138/88mmHg、Hb 10.1 g/dL、 Ht 31 %、 尿蛋白(-)、 尿糖(±)
であった。 Aさんは「足が重い気がします」と話すが、 脛骨上の圧痕は認めなかっ
た。 このときのアセスメントで適切なのはどれか。
1. 体重増加が過剰である。
2. 妊娠性貧血(anemia of pregnancy)である。
3. 高血圧である。
4. 浮腫がある。
解説:
解答1:体重増加が過剰である。(×不正解)
→ 妊娠20週から24週までの4週間で2kgの体重増加は正常範囲内です。妊娠中期(14~28週)の推奨体重増加は週に0.3~0.5kgとされています。解答2:妊娠性貧血(anemia of pregnancy)である。(〇正解)
→ Hb 10.1 g/dL、Ht 31%は妊娠性貧血の診断基準(Hb 11.0 g/dL未満、Ht 33%未満)に該当します。妊娠中は血漿量の増加に赤血球量の増加が追いつかず、生理的に貧血傾向になります。解答3:高血圧である。(×不正解)
→ 血圧138/88mmHgは正常高値血圧の範囲内です。妊娠高血圧症候群の診断基準(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上)には該当しません。解答4:浮腫がある。(×不正解)
→ 「脛骨上の圧痕は認めなかった」とあるため、明らかな浮腫は認められません。「足が重い気がします」という自覚症状はありますが、客観的な浮腫の所見はありません。
問題111
Aさんは夫に付き添われ、 妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。 妊婦健康診査では、体重65kg、 血圧126/76mmHg。 尿蛋白(-)、 尿糖 (-)。 浮腫(土)。子宮底長30cm、 腹囲88cm で異常を認めなかった。 その後、Aさんは看護師に「夕方になると足がだるくなり、 膝の裏を見たら、 血管が膨らんで、青く浮き出ていました」と言う。 Aさんへの指導で適切なのはどれか。
1. 「体重を減らしましょう」
2. 「腹帯を強く巻きましょう」
3. 「できるだけ立っていましょう」
4. 「弾性ストッキングを着用しましょう」
解説:
解答1:「体重を減らしましょう」(×不正解)
→ 妊娠後期の体重減少は胎児の発育に悪影響を与える可能性があるため、適切ではありません。解答2:「腹帯を強く巻きましょう」(×不正解)
→ 腹帯を強く巻くことで静脈還流が妨げられ、下肢の静脈瘤や浮腫を悪化させる可能性があります。解答3:「できるだけ立っていましょう」(×不正解)
→ 長時間の立位は下肢の静脈うっ滞を悪化させ、静脈瘤や浮腫を増悪させる可能性があります。解答4:「弾性ストッキングを着用しましょう」(〇正解)
→ Aさんの症状は下肢静脈瘤を示唆しています。弾性ストッキングの着用は、静脈還流を促進し、静脈瘤や浮腫の軽減に効果があります。また、深部静脈血栓症の予防にも有効です。
次の文を読み 112~114の問いに答えよ。
Aさん(36歳、 経産婦) は、 夫 (35歳)、 男児 (3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経膣分娩で出産した。 1分後の Apgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApar〈アプガー〉 スコア10点であった。産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、 悪露は赤色であった。 「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。
問題112
このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。 2つ選べ。
1. 「痛み止めは使用できません」
2. 「授乳をすると痛みが和らぎます」
3. 「経産婦のほうが痛みを強く感じます」
4.「産後5日くらいまで痛みは続きます」
5.「子宮が元の大きさに戻るための痛みです」
解説:
解答1. 痛み止めは使用できません(→不正解):痛みが強い場合は、医師の指示のもとで鎮痛剤を使用することができます。
解答2. 授乳をすると痛みが和らぎます(→不正解):授乳によって子宮収縮が促され、後陣痛が強くなることがあります。
解答3. 経産婦のほうが痛みを強く感じます(→正解):経産婦は初産婦に比べて子宮収縮が強いため、後陣痛を強く感じることがあります。
解答4. 産後5日くらいまで痛みは続きます(→不正解):後陣痛の期間には個人差がありますが、一般的には産後2~3日程度で軽減します。
解答5. 子宮が元の大きさに戻るための痛みです(→正解):後陣痛は、分娩によって大きくなった子宮が元の大きさに戻るために収縮することで起こる痛みです。後陣痛は、子宮収縮に伴う生理的な現象ですが、痛みが強い場合は、休息や温罨法、鎮痛剤の使用などで緩和することができます。
問題113
産褥3日、乳房は緊満、 乳管開通は左右とも5、6本、 射乳がある。 1日8回授乳をしている。 児の体重は3,080gで前日よりも20g減少している。「母乳で育てたいと思っていたけど、 乳房が張って授乳がうまくできないです」と話す。 このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。
1. 「水分を多めに摂りましょう」
2. 「時間を決めて授乳をしましょう」
3. 「乳房の張りは2週間程度続きます」
4. 「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」
解説:
解答1. 水分を多めに摂りましょう(→不正解):水分摂取は母乳の生成を促しますが、乳房緊満の原因にはなりません。
解答2. 時間を決めて授乳をしましょう(→不正解):乳房緊満がある場合は、児の欲しがるサインに合わせて頻回授乳を行うことが重要です。
解答3. 乳房の張りは2週間程度続きます(→不正解):適切なケアを行えば、乳房の張りは数日で改善します。
解答4. 授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう(→正解):乳輪部を柔らかくすることで、児が乳首をくわえやすくなり、授乳がスムーズに行えます。乳房緊満は、産褥初期に起こりやすいトラブルであり、適切なケアを行わないと乳腺炎の原因となることがあります。乳房マッサージや搾乳、頻回授乳などが有効です。
問題114
日齢4、Aさんの児の体重は3,100g。 体温 37.1°C、 呼吸数 48/分、 心拍数130/分。 経皮ビリルビン 10.0mg/dL。 排尿9回/日、 排便 8回/日。児のアセスメントで正しいのはどれか。
1. 経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である。
2. 生理的体重減少の範囲を超えている。
3. バイタルサインは正常である。
4. 排尿回数が少ない。
解説:
解答1. 経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である(→不正解):経皮ビリルビン値が10.0mg/dLの場合、光線療法の基準値は、在胎週数や出生後の時間によって異なりますが、添付資料がないため一概に必要とは言えません。
解答2. 生理的体重減少の範囲を超えている(→不正解):出生体重3,200gから日齢4で3,100gに減少しているため、体重減少は100gであり、生理的体重減少(出生体重の10%以内)の範囲内です。
解答3. バイタルサインは正常である(→正解):新生児の正常な体温は36.5~37.5℃、呼吸数は40~60回/分、心拍数は120~160回/分であるため、児のバイタルサインは正常範囲内です。
解答4. 排尿回数が少ない(→不正解):新生児の排尿回数は、日齢が進むにつれて増加しますが、日齢4で9回/日は正常範囲内です。新生児の生理的体重減少は、生後数日間に見られる一過性の体重減少であり、哺乳量の増加とともに改善します。
次の文を読み 115~117の問いに答えよ。
Aさん(30歳 男性) は統合失調症(schizophrenia)で内服治療をしていた。 最近、 部屋にこもり、精神科受診以外は外出しなくなった。 ある日、 母親がAさんの部屋で大量の薬を見つけ、確認すると 「薬は飲みたくない」と話した。 受診に付き添った母親は「Aは昼間に寝ていて、夜に窓を開けて、 隣の家に向かって『悪口を言うな』『監視するな』と大声で怒鳴る」と主治医に話した。 Aさんと母親の強い希望があり、精神科病棟に入院することになり、薬物療法が開始された。 入院3日、夜間の巡視のたびにAさんは起きていて 「隣の人が自分を監視している」「皆が悪口を言っている」 と小さな声で看護師に話した。 日中はホールで眠そうにしていることもあり、 レクリエーションには「疲れた」と言って参加しない。 他の患者と話すことはあるがトラブルはない。 歯磨きや身だしなみは、声をかけると行う。
問題115
A さんのセルフケアの観察項目で優先度が高いのはどれか。
1. 孤独と付き合いのバランス
2. 活動と休息のバランス
3. 安全を保つ能力
4. 個人衛生
解説:
解答1:孤独と付き合いのバランス(→不正解)
Aさんが孤独と付き合うバランスが重要ですが、現在の状況ではそれほど優先的に考えるべき問題ではありません。Aさんは他の患者と会話することがあり、トラブルもないため、孤独に関しては今後の観察の一環として考慮されるべきです。解答2:活動と休息のバランス(→正解)
Aさんは日中に眠そうにしており、レクリエーションに参加することを避ける傾向にあります。これは活動と休息のバランスが崩れていることを示唆しています。精神疾患においては、活動と休息のバランスが重要です。Aさんの場合、活動の少なさや過度な休息が回復の妨げになる可能性があるため、最も優先的に観察すべき項目となります。解答3:安全を保つ能力(→不正解)
Aさんには「隣の人が自分を監視している」などの妄想症状がありますが、現在の状況では物理的な危険性は確認されていません。安全を保つ能力も重要ですが、最優先ではありません。解答4:個人衛生(→不正解)
Aさんは歯磨きや身だしなみを声をかけると行うことができるため、個人衛生に問題はないと考えられます。現在の優先度としては低い項目です。
問題116
入院14日、Aさんは他の患者や看護師と話をする機会が増えた。「B看護師に私の悪口を言うのをやめるように言ってほしい」と訴え、受け持ち看護師が話を聞いていると興奮して声が大きくなることがあった。 受け持ち看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。
1. 「悪口を言うのはB看護師ですか」
2. 「悪いことは考えないほうがいいですよ」
3. 「B 看護師はAさんの悪口は言っていません」
4. 「悪口を言われるとAさんはどんな気持ちになりますか」
解説:
解答1. 「悪口を言うのはB看護師ですか」(→不正解):これはAさんの妄想を確認する形となり、直接的な対話が進まず、Aさんをさらに不安にさせる可能性があります。適切ではありません。解答2. 「悪いことは考えないほうがいいですよ」(→不正解):Aさんの考えを否定するような発言は、信頼関係を築くうえで逆効果になることが多いです。Aさんの感じていることを尊重し、理解することが大切です。解答3. 「B 看護師はAさんの悪口は言っていません」(→不正解):Aさんの妄想を否定することは、かえって反発を招くことがあります。現実を押し付けず、共感的なアプローチが求められます。解答4. 「悪口を言われるとAさんはどんな気持ちになりますか」(→正解):Aさんの妄想を否定することは、かえって反発を招くことがあります。現実を押し付けず、共感的なアプローチが求められます。
問題117
入院1か月、 Aさんは夜間、 眠れるようになり、 妄想や幻聴の症状が軽減した。 看護師がAさんに薬を自己中断した理由を尋ねたところ「いろいろとストレスが溜まると何もしたくなくなり、薬を飲むことも面倒でした。 今回の入院で飲み続けたら嫌な症状もなくなってきました。 薬は飲んだほうがよいですね。 これからはストレスを感じても乗り越えていけそうです」と話した。 Aさんの考えに当てはまる概念はどれか。
1. カタルシス
2. レジリエンス
3. コンコーダンス
4. コンプライアンス
解説:
解答1. カタルシス(→不正解):感情の浄化作用を指しますが、Aさんの発言は感情の発散だけでなく、今後の行動への決意を示しています。
解答2. レジリエンス(→正解):困難な状況から立ち直る力、回復力を意味します。Aさんは過去に薬を中断しましたが、今回の入院を通して薬物療法の重要性を理解し、今後も治療を継続する意思を示しており、レジリエンスの概念に当てはまります。
解答3. コンコーダンス(→不正解):患者と医療者が治療方針を共有し、合意に基づいた治療を行うことを指します。Aさんは薬物療法の重要性を理解しましたが、これはコンコーダンスの結果ではなく、Aさん自身の認識の変化によるものです。
解答4. コンプライアンス(→不正解):患者が医療者の指示に従って治療を行うことを指します。Aさんは過去に薬を中断しており、コンプライアンスが高いとは言えません。レジリエンスは、精神疾患を持つ患者が治療を継続し、社会生活を送る上で重要な要素となります。
Aさん (64歳、男性、外国籍)は、1年前に日本に移住し、 娘 (36歳、会社員)と娘の夫 (42歳、会社員、日本人)と3人家族である。 娘の夫は海外に長期出張中で、娘は日本語での簡単な日常会話はできるが、 Aさんはほとんど日本語が理解できない。Aさんは、2か月前から時々腰痛があり、市販薬で様子を見ていたが、徐々に腰痛が強くなり、 娘に付き添われて受診した。 検査の結果、 肺癌(lung cancer)と診断され、胸膜と腰椎への転移が見つかり、 疼痛コントロールの目的で入院した。
問題118
病状について医師から説明を受けることになったが、娘から 「夫はしばらく帰ってこないし、私は難しいことは分からないのでどうしたらいいですか」と質問を受けた。看護師の助言で適切なのはどれか。
1. 「ご主人に帰国してもらいましょう」
2. 「医療通訳の方に同席してもらいましょう」
3. 「娘さんからAさんにお話しされてはいかがですか」
4. 「通訳できる知人を探して、同席してもらいましょう」
解説:
解答1. 「ご主人に帰国してもらいましょう」(→不正解):ご主人の帰国には時間がかかる可能性があり、緊急性のある状況には対応できません。
解答2. 「医療通訳の方に同席してもらいましょう」(→正解):Aさんは日本語が理解できないため、医療通訳の同席が最も適切です。医療通訳は、医療に関する専門知識を持っており、正確な情報伝達を支援できます。
解答3. 「娘さんからAさんにお話しされてはいかがですか」(→不正解):娘は簡単な日常会話はできますが、病状のような難しい内容を正確に伝えることは難しい可能性があります。
解答4. 「通訳できる知人を探して、同席してもらいましょう」(→不正解):知人が医療に関する専門知識を持っているとは限らず、正確な情報伝達が保証されません。医療現場では、患者が十分な情報を理解した上で意思決定を行えるように、適切な情報提供を行う必要があります。医療通訳は、言語や文化の壁を越えて、患者と医療者間のコミュニケーションを円滑にする役割を果たします。
入院後、医療従事者との日常会話は、電子端末による翻訳を活用している。疼痛に対しては、モルヒネ徐放製剤の内服が開始され、 レスキュードーズとして、モルヒネ速放製剤の内服が指示されている。 激しい腰痛が1日に数回あるが、 レスキュードーズを使いたくないと話し痛みを我慢している。 看護師の対応で優先度が高いのはどれか。
1. レスキュードーズを無理に使う必要はないことを伝える。
2. レスキュードーズを使いたくない理由を確認する。
3. レスキュードーズの使い方を説明する。
4. 疼痛スケールの記載を勧める。
解説:
解答1. レスキュードーズを無理に使う必要はないことを伝える(→不正解):痛みを我慢しているAさんに対して、レスキュードーズを使わないことを肯定することは適切ではありません。
解答2. レスキュードーズを使いたくない理由を確認する(→正解):レスキュードーズを使いたくない理由を把握することで、Aさんの不安や誤解を解消し、適切な情報提供や支援を行うことができます。
解答3. レスキュードーズの使い方を説明する(→不正解):レスキュードーズの使い方を説明することも重要ですが、まずはAさんが使いたくない理由を確認することが優先されます。
解答4. 疼痛スケールの記載を勧める(→不正解):疼痛スケールの記載は疼痛評価に役立ちますが、Aさんが痛みを我慢している状況では、まず理由を確認することが優先されます。疼痛コントロールにおいては、患者の痛みを十分に評価し、患者の意向を尊重した上で、適切な鎮痛方法を選択することが重要です。
入院 8日、 疼痛がコントロールされてきたAさんは「家に帰りたい」 と希望しているが、娘は「仕事もあるし、もう少し病院にいてほしい」と話している。 そこで、看護師の提案によりAさんのアドバンス・ケア・プランニングが行われることになった。 Aさんのアドバンス・ケア・プランニングで適切なのはどれか。
1. 退院調整看護師に退院の手続きを進めてもらう。
2. Aさんの発言内容の記録は施設外の人には提供しない。
3. 娘の思いや不安に思っていることの解決が優先される。
4. Aさんが大切にしていることや生きがいについて話してもらう。
解説:
解答1. 退院調整看護師に退院の手続きを進めてもらう(→不正解):アドバンス・ケア・プランニングは、患者の意向を尊重した上で、今後の治療やケアについて話し合うプロセスであり、退院手続きを進めることが目的ではありません。
解答2. Aさんの発言内容の記録は施設外の人には提供しない(→不正解):Aさんの同意があれば、家族や関係者と情報を共有することは可能です。
解答3. 娘の思いや不安に思っていることの解決が優先される(→不正解):アドバンス・ケア・プランニングは、Aさん本人の意向を尊重することが最も重要です。
解答4. Aさんが大切にしていることや生きがいについて話してもらう(→正解):Aさんが大切にしていることや生きがいについて話してもらうことで、Aさんの価値観や希望を理解し、今後の治療やケアに反映させることができます。アドバンス・ケア・プランニングは、患者が自分自身の人生や価値観に基づいて、今後の医療やケアについて意思決定を支援するプロセスです。患者の意向を尊重し、患者と家族、医療者が協働して、最適なケアプランを作成することが重要です。
午後問題120問(解答と解説)
問題1
日本の令和4年 (2022年) の人口動態統計で、 女性の死亡数が最も多い
悪性新生物〈腫瘍/malignant neoplasm〉の発生部位はどれか。
1. 肺
2. 子宮
3. 大腸
4. 乳房
解説:
解答1:肺(〇正解)
→ 令和4年(2022年)の人口動態統計によると、女性の悪性新生物による死亡数で最も多い部位は肺です。肺がんは喫煙や受動喫煙、大気汚染などの環境因子の影響を受けやすく、近年増加傾向にあります。
解答2:子宮(×不正解)
→ 子宮がんは女性特有のがんですが、検診の普及や治療法の進歩により、死亡数は肺がんほど多くありません。
解答3:大腸(×不正解)
→ 大腸がんは女性の悪性新生物による死亡数で上位を占めますが、最も多い部位ではありません。
解答4:乳房(×不正解)
→ 乳がんは女性のがん罹患数では最も多いですが、死亡数では肺がんに次ぐ位置にあります。早期発見・早期治療により生存率が向上しているため、死亡数は肺がんほど多くありません。
問題2
令和2年(2020年)の患者調査で外来受療率が最も多い傷病はどれか。
1. 喘息(asthma)
2. 糖尿病(diabetes mellitus)
3. 高血圧性疾患(hypertensive disease)
4. 悪性新生物 〈腫瘍〉(malignant neoplasm)
解説:
解答1:喘息(×不正解)
→ 喘息は慢性呼吸器疾患の一つで、外来受療率は高いですが、最も多い傷病ではありません。
解答2:糖尿病(×不正解)
→ 糖尿病は生活習慣病の一つで、外来受療率は高いですが、高血圧性疾患よりも低くなっています。
解答3:高血圧性疾患(〇正解)
→ 令和2年(2020年)の患者調査によると、外来受療率が最も高い傷病は高血圧性疾患です。高血圧は自覚症状が乏しいものの、定期的な通院と継続的な治療が必要なため、外来受療率が高くなっています。
解答4:悪性新生物 〈腫瘍〉(×不正解)
→ 悪性新生物(がん)は日本人の死因の第1位ですが、外来受療率では高血圧性疾患よりも低くなっています。がん患者の多くは入院治療を受けるため、外来受療率は相対的に低くなります。
問題3
健康問題を引き起こす大気汚染物質はどれか。
1. 有機水銀
2. カドミウム
3. ホルムアルデヒド
4. 光化学オキシダント
解説:
解答1:有機水銀(×不正解)
→ 有機水銀は主に水質汚染物質であり、大気汚染物質ではありません。水俣病の原因物質として知られています。
解答2:カドミウム(×不正解)
→ カドミウムは主に土壌汚染や水質汚染の原因物質であり、大気汚染物質としては一般的ではありません。イタイイタイ病の原因物質として知られています。
解答3:ホルムアルデヒド(×不正解)
→ ホルムアルデヒドは主に室内空気汚染物質であり、シックハウス症候群の原因物質の一つです。大気汚染物質としては一般的ではありません。
解答4:光化学オキシダント(〇正解)
→ 光化学オキシダントは大気汚染物質の一つで、自動車の排気ガスや工場からの排出物質が太陽光線を受けて化学反応を起こすことで生成されます。目や喉への刺激、呼吸器症状、植物への被害などを引き起こす健康問題の原因となります。
問題4
国民健康保険の保険者に含まれるのはどれか。
1. 後期高齢者医療広域連合
2. 共済組合
3. 都道府県
4. 国
解説:
解答1:後期高齢者医療広域連合(×不正解)
→ 後期高齢者医療広域連合は、75歳以上の高齢者等を対象とする後期高齢者医療制度の保険者であり、国民健康保険の保険者ではありません。
解答2:共済組合(×不正解)
→ 共済組合は公務員や私立学校教職員等を対象とする健康保険の保険者であり、国民健康保険の保険者ではありません。
解答3:都道府県(〇正解)
→ 2018年4月からの国民健康保険制度改革により、都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となり、保険者に含まれることになりました。都道府県は市町村とともに国民健康保険の運営を行います。
解答4:国(×不正解)
→ 国は国民健康保険制度の設計や財政支援を行いますが、直接的な保険者ではありません。
問題5
保健師助産師看護師法に定められている事項はどれか。
1. 離職時の届出
2. 免許付与時の欠格事由
3. 定期健康診断の実施義務
4. 都道府県ナースセンターの指定
解説:
解答1:離職時の届出(×不正解)
→ 離職時の届出は、看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められており、保健師助産師看護師法には規定されていません。
解答2:免許付与時の欠格事由(〇正解)
→ 保健師助産師看護師法第9条に、免許を与えないことができる事由(欠格事由)が規定されています。例えば、心身の障害により業務を適正に行うことができない者、麻薬、大麻または覚醒剤の中毒者などが該当します。
解答3:定期健康診断の実施義務(×不正解)
→ 定期健康診断の実施義務は労働安全衛生法に定められており、保健師助産師看護師法には規定されていません。
解答4:都道府県ナースセンターの指定(×不正解)
→ 都道府県ナースセンターの指定は、看護師等の人材確保の促進に関する法律に定められており、保健師助産師看護師法には規定されていません。
問題6
疾病や障害に対する二次予防の具体的な取り組みはどれか。
1. がん検診
2. 予防接種
3. リハビリテーション
4. 健康づくりのための運動
解説:
解答1:がん検診(〇正解)
→ 二次予防とは、疾病の早期発見・早期治療を目的とした取り組みです。がん検診は、症状が出る前にがんを発見し早期治療につなげるため、典型的な二次予防の例です。
解答2:予防接種(×不正解)
→ 予防接種は疾病の発生そのものを予防する一次予防に該当します。
解答3:リハビリテーション(×不正解)
→ リハビリテーションは、疾病や障害による機能障害の改善や社会復帰を目指す三次予防に該当します。
解答4:健康づくりのための運動(×不正解)
→ 健康づくりのための運動は、疾病の発生を予防する一次予防に該当します。
問題7
妊娠初期の感染で児に難聴が生じる可能性が高いのはどれか。
1. 水痘(varicella)
2. 風疹(rubella)
3. 麻疹(measles)
4. 流行性耳下腺炎(mumps)
解説:
解答1:水痘(×不正解)
→ 水痘は妊娠初期の感染で先天性水痘症候群を引き起こす可能性がありますが、難聴は主な症状ではありません。
解答2:風疹(〇正解)
→ 妊娠初期の風疹感染は先天性風疹症候群を引き起こす可能性が高く、その主要な症状の一つが難聴です。特に妊娠12週以前の感染でリスクが高くなります。
解答3:麻疹(×不正解)
→ 麻疹の妊娠中の感染は流産や早産のリスクを高めますが、児の難聴との直接的な関連は低いです。
解答4:流行性耳下腺炎(×不正解)
→ 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は成人の感染で難聴を引き起こす可能性がありますが、妊娠中の感染が児の難聴を引き起こすリスクは風疹ほど高くありません。
問題8
老年期の身体機能の変化で正しいのはどれか。
1. 耐糖能は向上する。
2. 尿濃縮力は向上する。
3. 薬物代謝は遅延する。
4. 肺の残気量は減少する。
解説:
解答1:耐糖能は向上する。(×不正解)
→ 老年期には耐糖能は低下します。インスリンの分泌量減少や細胞のインスリン感受性の低下により、糖代謝機能が低下します。
解答2:尿濃縮力は向上する。(×不正解)
→ 老年期には腎機能が低下し、尿濃縮力も低下します。これにより夜間頻尿などの症状が現れやすくなります。
解答3:薬物代謝は遅延する。(〇正解)
→ 老年期には肝機能や腎機能の低下により、薬物の代謝・排泄が遅延します。これにより、薬物の効果が強く現れたり、副作用が出やすくなったりします。
解答4:肺の残気量は減少する。(×不正解)
→ 老年期には肺の弾性が低下し、肺の残気量は増加します。これにより、ガス交換効率が低下し、呼吸機能が低下します。
問題9
地域包括支援センターの主な業務に含まれるのはどれか。
1. 特定健康診査・特定保健指導
2. 予防接種法に基づく予防接種
3. 介護予防ケアマネジメント
4. 要介護認定調査
解説:
解答1:特定健康診査・特定保健指導(×不正解)
→ 特定健康診査・特定保健指導は、医療保険者(市町村国保や健康保険組合など)が実施する事業であり、地域包括支援センターの主な業務ではありません。
解答2:予防接種法に基づく予防接種(×不正解)
→ 予防接種は市町村が実施主体となり、主に保健センターや医療機関で行われます。地域包括支援センターの主な業務ではありません。
解答3:介護予防ケアマネジメント(〇正解)
→ 介護予防ケアマネジメントは地域包括支援センターの主要な業務の一つです。要支援者や事業対象者に対して、自立支援に向けた介護予防サービス等の利用計画を作成し、サービス提供の調整を行います。
解答4:要介護認定調査(×不正解)
→ 要介護認定調査は主に市町村の職員や委託を受けた介護支援専門員が行います。地域包括支援センターの主な業務ではありません。
問題10
医療法に基づき高度医療の提供とそれに関する研修を実施する医療施設はどれか。
1. 地域医療支援病院
2. 臨床研究中核病院
3. 特定機能病院
4. 診療所
解説:
解答1:地域医療支援病院(×不正解)
→ 地域医療支援病院は、地域の医療機関を支援し、地域医療の確保を図る機能を有する病院ですが、高度医療の提供と研修実施が主な目的ではありません。
解答2:臨床研究中核病院(×不正解)
→ 臨床研究中核病院は、質の高い臨床研究や治験の中心的な役割を担う病院ですが、高度医療の提供と研修実施が主な目的ではありません。
解答3:特定機能病院(〇正解)
→ 特定機能病院は、医療法に基づき、高度の医療の提供、高度の医療技術の開発及び評価、高度の医療に関する研修を実施する能力等を備えた病院として、厚生労働大臣が承認した病院です。
解答4:診療所(×不正解)
→ 診療所は、入院施設のない、または19床以下の入院施設を有する医療機関であり、高度医療の提供と研修実施の機能は有していません。
問題11
左心房と左心室の間にある弁はどれか。
1. 三尖弁
2. 僧帽弁
3. 大動脈弁
4. 肺動脈弁
解説:
解答1:三尖弁(×不正解)
→ 三尖弁は右心房と右心室の間にある弁です。
解答2:僧帽弁(〇正解)
→ 僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁です。左心房から左心室への血液の流れを制御します。
解答3:大動脈弁(×不正解)
→ 大動脈弁は左心室と大動脈の間にある弁です。
解答4:肺動脈弁(×不正解)
→ 肺動脈弁は右心室と肺動脈の間にある弁です。
問題12
胆汁の作用はどれか。
1. 脂肪の乳化
2. 蛋白質の分解
3. 胃酸分泌の促進
4. 炭水化物の分解
解説:
解答1:脂肪の乳化(〇正解)
→ 胆汁の主要な作用は脂肪の乳化です。胆汁酸が脂肪を小さな粒子に分散させ、消化酵素が作用しやすくします。
解答2:蛋白質の分解(×不正解)
→ 蛋白質の分解は主に膵液中のトリプシンなどの酵素によって行われます。
解答3:胃酸分泌の促進(×不正解)
→ 胆汁は胃酸分泌を促進する作用はありません。むしろ、十二指腸に胆汁が流入すると胃酸分泌が抑制されます。
解答4:炭水化物の分解(×不正解)
→ 炭水化物の分解は主に唾液のアミラーゼや膵液のアミラーゼによって行われます。
問題13
臓器の移植に関する法律において脳死の判定基準となっている検査はどれか。
1. 脳波検査
2. 筋電図検査
3. 神経伝導検査
4. 脳脊髄液検査
解説:
解答1:脳波検査(〇正解)
→ 臓器の移植に関する法律において、脳死の判定基準の一つとして平坦脳波の確認が必要とされています。
解答2:筋電図検査(×不正解)
→ 筋電図検査は筋肉の電気的活動を測定するもので、脳死判定の基準とはなっていません。
解答3:神経伝導検査(×不正解)
→ 神経伝導検査は末梢神経の機能を評価するもので、脳死判定の基準とはなっていません。
解答4:脳脊髄液検査(×不正解)
→ 脳脊髄液検査は脳や脊髄の疾患の診断に用いられますが、脳死判定の基準とはなっていません。
問題14
慢性閉塞性肺疾患 <COPD>(chronic obstructive pulmonary disease)の危険因子はどれか。
1. 花粉
2. 薬物
3. たばこ煙
4. アルコール
解説:
解答1:花粉(×不正解)
→ 花粉は主にアレルギー性鼻炎や喘息などの原因となりますが、COPDの直接的な危険因子ではありません。
解答2:薬物(×不正解)
→ 一部の薬物は、副作用として呼吸器症状を引き起こすことがありますが、COPDの主要な危険因子ではありません。
解答3:たばこ煙(〇正解)
→ 喫煙はCOPDの最大の危険因子です。たばこ煙に含まれる有害物質が肺胞を破壊し、慢性的な炎症を引き起こすことでCOPDを発症します。
解答4:アルコール(×不正解)
→ アルコールの過剰摂取は、肝臓疾患やその他の健康問題を引き起こす可能性がありますが、COPDの直接的な危険因子ではありません。
問題15
喀血を症状とする疾患はどれか。
1. 結核(tuberculosis)
2. 胃潰瘍(gastric ulcer)
3. 大腸癌(colon cancer)
4. 敗血症(sepsis)
解説:
解答1:結核(〇正解)
→ 結核は肺に病変を形成し、その病変から出血することがあります。そのため、喀血は結核の代表的な症状の一つです。
解答2:胃潰瘍(×不正解)
→ 胃潰瘍は吐血や下血を引き起こすことがありますが、喀血をきたすことは一般的ではありません。
解答3:大腸癌(×不正解)
→ 大腸癌は下血を引き起こすことがありますが、喀血をきたすことはありません。
解答4:敗血症(×不正解)
→ 敗血症は全身性の感染症であり、様々な臓器に影響を及ぼしますが、喀血をきたすことは一般的ではありません。
問題16
胃癌(gastric cancer)の Virchow 〈ウィルヒョウ〉 転移が生じる部位はどれか。
1. 肺
2. 肝臓
3. ダグラス窩
4. 左鎖骨上窩
解説:
解答1:肺(×不正解)
→ 胃癌の肺転移は血行性転移として起こりえますが、Virchow転移とは呼ばれません。
解答2:肝臓(×不正解)
→ 胃癌の肝転移も血行性転移として起こりえますが、Virchow転移とは呼ばれません。
解答3:ダグラス窩(×不正解)
→ ダグラス窩は腹腔内の最下部に位置し、胃癌の腹膜播種による転移が起こることがありますが、Virchow転移とは呼ばれません。
解答4:左鎖骨上窩(〇正解)
→ Virchow転移とは、胃癌細胞がリンパの流れに乗って左鎖骨上窩のリンパ節に転移することを指します。
問題17
インスリン療法で正しいのはどれか。
1. 毎回同じ部位に注射する。
2. 有害事象は低血糖である。
3. 就寝前は超速効型製剤を使用する。
4.2型糖尿病(type 2 diabetes mellitus)の治療法として必須である。
解説:
解答1:毎回同じ部位に注射する。(×不正解)
→ インスリン注射は、毎回同じ部位に注射すると、皮下脂肪の肥厚や硬結が生じ、インスリンの吸収に影響が出る可能性があります。注射部位はローテーションすることが推奨されます。
解答2:有害事象は低血糖である。(〇正解)
→ インスリン療法の最も注意すべき有害事象は低血糖です。インスリンの過剰投与や食事の遅れ、運動などによって低血糖が起こることがあります。
解答3:就寝前は超速効型製剤を使用する。(×不正解)
→ 超速効型インスリン製剤は、食直前に使用し、食後の血糖値上昇を抑える目的で使用されます。就寝前には、持効型または中間型インスリン製剤を使用することが一般的です。
解答4:2型糖尿病の治療法として必須である。(×不正解)
→ 2型糖尿病の治療は、食事療法や運動療法が基本であり、インスリン療法は、これらの治療で血糖コントロールが不十分な場合に検討されます。2型糖尿病のすべての患者に必須というわけではありません。
問題18
看護過程で適切なのはどれか。
1. 医師の指示に基づいて看護問題の優先順位を決定する。
2. 実施、評価の2段階で構成される。
3. 潜在する問題は取り上げない。
4.評価可能な目標を設定する。
解説:
解答1:医師の指示に基づいて看護問題の優先順位を決定する。(×不正解)
→ 看護問題の優先順位は、患者さんの状態やニーズに基づいて看護師が判断します。医師の指示も参考にしますが、看護師の専門的な判断が重要です。
解答2:実施、評価の2段階で構成される。(×不正解)
→ 看護過程は、アセスメント、看護診断、計画、実施、評価の5段階で構成されます。
解答3:潜在する問題は取り上げない。(×不正解)
→ 看護過程では、患者さんが抱える潜在的な問題も考慮し、予防的なケアを行うことが重要です。
解答4:評価可能な目標を設定する。(〇正解)
→ 看護計画を立てる際には、具体的な行動で測定できる目標を設定することで、看護の効果を客観的に評価できます。
問題19
長期臥床している患者の仰臥位時のポジショニングを図に示す。
A の位置にクッションを挿入する目的はどれか。
1. 褥瘡の予防
2. 尖足の予防
3. 腓骨神経麻痺の予防
4. 深部静脈血栓症(deep vein thrombosis)の予防
解説:解答1:褥瘡の予防(×不正解)
→ 仙骨部や踵の褥瘡予防には、これらの部位への圧力を軽減するポジショニングが重要ですが、Aの位置へのクッション挿入は直接的な褥瘡予防にはなりません。
解答2:尖足の予防(〇正解)
→ 仰臥位で足関節が底屈位(つま先が下がる)になると、アキレス腱が短縮し、尖足(せんそく)を招きやすくなります。Aの位置(足底に当たる部分)にクッションを挿入することで、足関節を背屈位に保ち、尖足を予防します。
解答3:腓骨神経麻痺の予防(×不正解)
→ 腓骨神経麻痺は、膝の外側への圧迫によって起こりやすいです。Aの位置へのクッション挿入は腓骨神経への圧迫を軽減するものではありません。
解答4:深部静脈血栓症の予防(×不正解)
→ 深部静脈血栓症の予防には、下解答の血流を促進する運動や適切な水分補給、弾性ストッキングの使用などが有効です。Aの位置へのクッション挿入は直接的な深部静脈血栓症の予防にはなりません。
問題20
左前腕に持続点滴静脈内注射をしている患者の更衣で適切なのはどれか。
1. 左袖から脱ぎ、 右袖から着る。
2. 左袖から脱ぎ、 左袖から着る。
3. 右袖から脱ぎ、 左袖から着る。
4. 右袖から脱ぎ、 右袖から着る。
解説:
解答1:左袖から脱ぎ、 右袖から着る。(×不正解)
→ 更衣の原則として、脱ぐときは健側から、着るときは患側からです。
解答2:左袖から脱ぎ、 左袖から着る。(×不正解)
→ 更衣の原則として、脱ぐときは健側から、着るときは患側からです。
解答3:右袖から脱ぎ、 左袖から着る。(〇正解)
→ 点滴をしている左腕は患側となるため、脱ぐときは健側の右袖から脱ぎ、着るときは患側の左袖から着ます。
解答4:右袖から脱ぎ、 右袖から着る。(×不正解)
→ 更衣の原則として、着るときは患側からです。
問題21
入院中の転倒・転落の内的要因はどれか。
1. 履物の種類
2. 服用中の薬剤
3. ベッド柵の位置
4. トイレまでの距離
解説:
解答1:履物の種類(×不正解)
→ 履物の種類は、転倒・転落の外的要因にあたります。
解答2:服用中の薬剤(〇正解)
→ 服用中の薬剤、特に向精神薬や睡眠薬、降圧薬などは、ふらつきや意識レベルの低下を引き起こし、転倒・転落の内的要因となります。
解答3:ベッド柵の位置(×不正解)
→ ベッド柵の位置は、転倒・転落の予防策であり、環境的な要因(外的要因)です。
解答4:トイレまでの距離(×不正解)
→ トイレまでの距離は、移動の際の障害となり、転倒・転落の環境的な要因(外的要因)です。
問題22
経鼻経管栄養法で胃液が吸引できることを確認するタイミングはどれか。
1. 覚醒時
2. 入眠前
3. 経管栄養剤の投与直前
4. 経管栄養剤の投与終了時
解説:
解答1:覚醒時(×不正解)
→ 覚醒時は確認のタイミングとして適切ではありません。
解答2:入眠前(×不正解)
→ 入眠前は確認のタイミングとして適切ではありません。
解答3:経管栄養剤の投与直前(〇正解)
→ 経鼻経管栄養法では、チューブが確実に胃内に留置されているかを確認するため、栄養剤の投与直前に胃液の吸引を行い、pHを確認することが重要です。
解答4:経管栄養剤の投与終了時(×不正解)
→ 投与終了時は確認のタイミングとして遅すぎます。
問題23
輸血用血液製剤に分類されるのはどれか。
1. 免疫グロブリン製剤
2. 血液凝固因子製剤
3. アルブミン製剤
4. 赤血球製剤
解説:
解答1:免疫グロブリン製剤(×不正解)
→ 免疫グロブリン製剤は、血漿分画製剤であり、輸血用血液製剤には分類されません。
解答2:血液凝固因子製剤(×不正解)
→ 血液凝固因子製剤は、血漿分画製剤であり、輸血用血液製剤には分類されません。
解答3:アルブミン製剤(×不正解)
→ アルブミン製剤は、血漿分画製剤であり、輸血用血液製剤には分類されません。
解答4:赤血球製剤(〇正解)
→ 赤血球製剤は、輸血用血液製剤に分類されます。その他、血小板製剤、新鮮凍結血漿なども輸血用血液製剤に含まれます。
問題24
1回の鼻腔内吸引で陰圧をかける時間の目安として適切なのはどれか。
1. 10秒以内
2. 20~25 秒
3. 30~35 秒
4. 40~45 秒
解説:
解答1:10秒以内(〇正解)
→ 1回の鼻腔内吸引で陰圧をかける時間の目安は、10秒以内です。吸引時間が長すぎると、粘膜を損傷したり、低酸素血症を引き起こす可能性があります。
解答2:20~25 秒(×不正解)
→ 吸引時間が長すぎます。
解答3:30~35 秒(×不正解)
→ 吸引時間が長すぎます。
解答4:40~45 秒(×不正解)
→ 吸引時間が長すぎます。
問題25
創傷の治癒過程でマクロファージによる貪食が行われるのはどれか。
1. 出血・凝固期
2. 炎症期
3. 増殖期
4. 成熟期
解説:
解答1:出血・凝固期(×不正解)
→ 出血・凝固期には、血小板による止血やフィブリンによる凝固が起こります。
解答2:炎症期(〇正解)
→ 炎症期には、白血球(好中球、マクロファージなど)が創部に遊走し、細菌や壊死組織などを貪食します。
解答3:増殖期(×不正解)
→ 増殖期には、血管新生、線維芽細胞の増殖、コラーゲンの合成などが起こります。
解答4:成熟期(×不正解)
→ 成熟期には、コラーゲンの再構築や創部の収縮などが起こります。
問題26
血漿中の重炭酸イオン濃度が基準値よりも高くなるのはどれか。
1. 過換気
2. 腎不全(renal failure)
3. 重篤な1型糖尿病 (type 1 diabetes mellitus)
4. 慢性的な換気障害
正答:2
解説:
解答1. 過換気(×不正解)
→ 過換気では二酸化炭素が過剰に排出されるため、重炭酸イオン濃度は低下します。
解答2. 腎不全(renal failure)(〇正解)
→ 腎不全では腎臓の排泄機能が低下し、重炭酸イオンの排泄が減少するため、血中濃度が上昇します。
解答3. 重篤な1型糖尿病 (type 1 diabetes mellitus)(×不正解)
→ 重篤な1型糖尿病ではケトアシドーシスを引き起こし、重炭酸イオン濃度は低下します。
解答4. 慢性的な換気障害(×不正解)
→ 慢性的な換気障害では二酸化炭素の蓄積が起こりますが、代償性に重炭酸イオンが上昇する可能性はあります。しかし、選択肢2の腎不全の方がより直接的に重炭酸イオン濃度を上昇させる原因となります。
問題27
A君(15歳、男子)は、蒸し暑い夏の午後に行われたサッカーの試合に出ていた。A君は試合中に大量の汗をかいて、気分が悪くなったので多量の水道水を飲み、日陰で休んでいたが、突然、意識消失して倒れた。このときのA君の細胞外液のナトリウムイオン濃度と水分量の正常時に対する割合を図に示す。
このときのA君の体液の状態で正しいのはどれか。
1. 細胞内液は減少している。
2. 血漿浸透圧は上昇している。
3. 循環血液量は減少している。
4. ヘマトクリットは低下している。
正答:4
解説:
A君の状態は、大量の発汗後に多量の水分摂取をしたことによる水中毒(低ナトリウム血症)の状態と考えられます。
解答1. 細胞内液は減少している。(×不正解)
→ 低ナトリウム血症では、細胞外液の浸透圧が低下し、水分が細胞内に移動するため、細胞内液は増加します。
解答2. 血漿浸透圧は上昇している。(×不正解)
→ ナトリウムイオン濃度が低下しているため、血漿浸透圧は低下しています。
解答3. 循環血液量は減少している。(×不正解)
→ 多量の水分摂取により、循環血液量は増加しています。
解答4. ヘマトクリットは低下している。(〇正解)
→ 循環血液量が増加し、血液が希釈されるため、ヘマトクリットは低下します。
問題28
ヘリコバクターピロリ感染症(Helicobacter pylori infection)で正しいのはどれか。
1. 尿素呼気検査は診断に有用である。
2. 除菌後の判定は除菌終了後の翌日に行う。
3. ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉は胃の粘膜下層に生息する。
4. ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉は尿素を作り出して胃酸から身を守る。
正答:1
解説:
解答1. 尿素呼気検査は診断に有用である。(〇正解)
→ 尿素呼気検査はH. pylori感染の診断に広く用いられる非侵襲的な検査方法です。
解答2. 除菌後の判定は除菌終了後の翌日に行う。(×不正解)
→ 除菌後の判定は、通常、除菌終了後4〜8週間後に行います。
解答3. ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉は胃の粘膜下層に生息する。(×不正解)
→ H. pyloriは胃粘膜表面や胃粘液層に生息します。粘膜下層ではありません。
解答4. ヘリコバクター・ピロリ〈Helicobacter pylori〉は尿素を作り出して胃酸から身を守る。(×不正解)
→ H. pyloriは尿素を分解するウレアーゼ酵素を持っており、尿素からアンモニアを産生することで胃酸を中和し、自身を保護します。尿素を作り出すのではありません。
問題29
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉で保護された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
1. 軽費老人ホーム
2. 有料老人ホーム
3. 特別養護老人ホーム
4. サービス付き高齢者向け住宅
正答:3
解説:
解答1. 軽費老人ホーム(×不正解)
→ 軽費老人ホームは、低所得の高齢者向けの施設ですが、虐待防止法による保護対象ではありません。
解答2. 有料老人ホーム(×不正解)
→ 有料老人ホームは民間の高齢者向け住宅施設で、虐待防止法による保護対象ではありません。
解答3. 特別養護老人ホーム(〇正解)
→ 特別養護老人ホームは、高齢者虐待防止法に基づいて保護された高齢者が入所できる施設として指定されています。
解答4. サービス付き高齢者向け住宅(×不正解)
→ サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者の居住を支援する住宅ですが、虐待防止法による保護対象ではありません。
問題30
難病の患者に対する医療等に関する法律〈難病法〉に規定されているのはどれか。
1. 市町村が難病相談支援センターを設置する。
2. 指定難病の医療費は全額を公費で負担する。
3. 令和4年度(2022年度)の指定難病数は56疾病である。
4. 特定医療費(指定難病)の支給認定は居住地の都道府県・指定都市が行う。
正答:4
解説:
解答1. 市町村が難病相談支援センターを設置する。(×不正解)
→ 難病相談支援センターは都道府県が設置します。市町村ではありません。
解答2. 指定難病の医療費は全額を公費で負担する。(×不正解)
→ 指定難病の医療費は、患者の自己負担があり、全額公費負担ではありません。
解答3. 令和4年度(2022年度)の指定難病数は56疾病である。(×不正解)
→ 令和4年度(2022年度)の指定難病数は338疾病です。
解答4. 特定医療費(指定難病)の支給認定は居住地の都道府県・指定都市が行う。(〇正解)
→ 難病法では、特定医療費(指定難病)の支給認定は、患者の居住地の都道府県または指定都市が行うと規定されています。
問題31
フィンク, S. L.(Fink, S. L.) が提唱した危機モデルの最終段階はどれか。
1. 受容
2. 適応
3. 問題解決
4. ラポール
解説:
解答1:受容(×不正解)
→ 受容は危機モデルの中間段階で、最終段階ではありません。危機的状況を認識し受け入れるプロセスです。
解答2:適応(〇正解)
→ フィンクの危機モデルの最終段階は適応です。危機を乗り越え、以前よりも成長した状態、あるいは新たな生活様式に適応することを指します。解答3:問題解決(×不正解)
→ 問題解決は危機モデルにおいて重要なプロセスですが、最終段階ではありません。具体的な問題解決は適応への過程の一部です。
解答4:ラポール(×不正解)
→ ラポールは信頼関係を築くことであり、危機モデルの段階とは異なります。
問題32
入院して間もない片麻痺がある患者から 「着替えがうまくできない。 ひとりでできるようになりたい」と訴えがあった。
最初に行う看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1. 「繰り返し練習しましょう」
2. 「できないところは手伝います」
3. 「着替えるところを見せてください」
4. 「着替えのパンフレットを参考にしましょう」
解説:
解答1:「繰り返し練習しましょう」(×不正解)
→ 練習も重要ですが、まずは患者さんの現状を把握する必要があります。
解答2:「できないところは手伝います」(×不正解)
→ 手伝うことは一時的な解決策ですが、患者さんの自立を支援するためには、まず何が困難なのかを理解する必要があります。
解答3:「着替えるところを見せてください」(〇正解)
→ 患者さんが実際に着替える様子を観察することで、何が難しく、どのような支援が必要かを具体的にアセスメントできます。
解答4:「着替えのパンフレットを参考にしましょう」(×不正解)
→ パンフレットも有用ですが、まずは患者さんの個別の状況を把握することが重要です。
問題33
うっ血乳頭が出現するのはどれか。
1. 舌癌 (tongue cancer)
2. 貧血
3. 門脈圧亢進
4. 頭蓋内圧亢進
正答:4
解説:
解答1. 舌癌 (tongue cancer)(×不正解)
→ 舌癌はうっ血乳頭の直接的な原因とはなりません。
解答2. 貧血(×不正解)
→ 貧血はうっ血乳頭の原因とはなりません。むしろ、貧血では網膜が蒼白になることがあります。
解答3. 門脈圧亢進(×不正解)
→ 門脈圧亢進は肝臓や消化器系に影響を与えますが、うっ血乳頭の直接的な原因とはなりません。
解答4. 頭蓋内圧亢進(〇正解)
→ うっ血乳頭は頭蓋内圧亢進の重要な徴候の一つです。頭蓋内圧が上昇すると、視神経乳頭周囲の静脈還流が妨げられ、うっ血乳頭が生じます。
問題34
シリンジポンプを使用する際に生じるサイフォニング現象の原因はどれか。
1. 内蔵バッテリーの残量が少ない。
2. 輸液ラインに血液の逆流がある。
3. 輸液ラインに大量の空気がある。
4. 刺入部とシリンジに高低差がある。
正答:4
解説:
解答1. 内蔵バッテリーの残量が少ない。(×不正解)
→ バッテリー残量はサイフォニング現象とは直接関係ありません。
解答2. 輸液ラインに血液の逆流がある。(×不正解)
→ 血液の逆流はサイフォニング現象の原因ではありません。
解答3. 輸液ラインに大量の空気がある。(×不正解)
→ 空気の存在はサイフォニング現象の直接的な原因ではありません。
解答4. 刺入部とシリンジに高低差がある。(〇正解)
→ サイフォニング現象は、刺入部とシリンジの間に高低差がある場合に発生します。この高低差により、重力の影響で輸液が自然に流れ出してしまう現象です。
問題35
嚥下障害を評価する改訂水飲みテストで正しいのはどれか。
1. 嚥下後10秒間で評価する。
2. 嚥下後の呼吸状態を評価する。
3. 嚥下動作の準備期を評価する。
4. 80mL の水で嚥下状態を評価する。
正答:2
解説:
解答1. 嚥下後10秒間で評価する。(×不正解)
→ 改訂水飲みテストでは、嚥下後30秒間の観察を行います。
解答2. 嚥下後の呼吸状態を評価する。(〇正解)
→ 改訂水飲みテストでは、嚥下後の呼吸状態(むせや咳込み、呼吸音の変化など)を評価します。
解答3. 嚥下動作の準備期を評価する。(×不正解)
→ 改訂水飲みテストは主に嚥下動作の口腔期と咽頭期を評価します。準備期の評価は含まれません。
解答4. 80mL の水で嚥下状態を評価する。(×不正解)
→ 改訂水飲みテストでは通常3mlの冷水を使用します。80mlは多すぎて危険です。
問題36
人工肛門周囲の皮膚を清潔にする方法で適切なのはどれか。
1. 装具を外して洗浄する。
2. 石けんは使用しない。
3. 洗浄後に消毒をする。
4. 洗浄後はドライヤーで乾燥させる。
正答:1
解説:
解答1. 装具を外して洗浄する。(〇正解)
→ 人工肛門周囲の皮膚を清潔に保つためには、装具を外して直接皮膚を洗浄することが適切です。
解答2. 石けんは使用しない。(×不正解)
→ 中性の石けんを使用して洗浄することは可能です。ただし、強い刺激性の石けんは避けるべきです。
解答3. 洗浄後に消毒をする。(×不正解)
→ 通常、人工肛門周囲の皮膚に消毒は必要ありません。消毒液は皮膚を刺激する可能性があります。
解答4. 洗浄後はドライヤーで乾燥させる。(×不正解)
→ ドライヤーの熱で皮膚を傷つける可能性があるため、タオルで軽くたたいて乾燥させるのが適切です。
問題37
半座位で頸静脈怒張がみられるのはどれか。
1. 右心不全 (right heart failure)
2. 広範囲熱傷 (extensive burns)
3. 大動脈瘤破裂 (ruptured aortic aneurysm)
4. アナフィラキシーショック (anaphylactic shock)
正答:1
解説:
解答1. 右心不全 (right heart failure)(〇正解)
→ 右心不全では、右心室が十分に血液を肺循環に送り出せないため、静脈系に血液が貯留し、頸静脈怒張が見られます。半座位でも怒張が持続することが特徴的です。
解答2. 広範囲熱傷 (extensive burns)(×不正解)
→ 広範囲熱傷では、血管透過性の亢進により循環血液量が減少し、低血圧や頻脈が見られますが、頸静脈怒張は典型的ではありません。
解答3. 大動脈瘤破裂 (ruptured aortic aneurysm)(×不正解)
→ 大動脈瘤破裂では、急激な出血により循環血液量が減少し、ショック状態になりますが、頸静脈怒張は見られません。
解答4. アナフィラキシーショック (anaphylactic shock)(×不正解)
→ アナフィラキシーショックでは、血管拡張と血管透過性亢進により循環血液量が減少し、低血圧が見られますが、頸静脈怒張は典型的ではありません。
問題38
経口薬と飲料の関係で正しいのはどれか。
1. テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳によって作用が減弱される。
2. 非ステロイド性抗炎症薬は、炭酸飲料によって吸収速度が速まる。
3. テオフィリンは、カフェインを含む飲料によって作用が減弱される。
4. カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツジュースによって作用が減弱される。
正答:1
解説:
解答1. テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳によって作用が減弱される。(〇正解)
→ テトラサイクリン系抗菌薬は、牛乳に含まれるカルシウムと結合して吸収が阻害され、作用が減弱します。
解答2. 非ステロイド性抗炎症薬は、炭酸飲料によって吸収速度が速まる。(×不正解)
→ 炭酸飲料が非ステロイド性抗炎症薬の吸収速度を速めるという一般的な相互作用は知られていません。
解答3. テオフィリンは、カフェインを含む飲料によって作用が減弱される。(×不正解)
→ テオフィリンとカフェインは同じキサンチン誘導体であり、カフェインによってテオフィリンの作用が減弱されることはありません。むしろ、相加的に作用する可能性があります。
解答4. カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツジュースによって作用が減弱される。(×不正解)
→ カルシウム拮抗薬は、グレープフルーツジュースによって作用が増強されることがあります。これは、グレープフルーツジュースが薬物代謝酵素CYP3A4を阻害するためです。
問題39
Holter 〈ホルター〉 心電図検査の説明で正しいのはどれか。
1. 就寝時は電極を外す。
2. 電極は四肢に装着する。
3. 検査中は電気カーペットを使用しない。
4. 検査中は普段の生活よりも活動量を減らす。
正答:3
解説:
解答1. 就寝時は電極を外す。(×不正解)
→ ホルター心電図検査は24時間連続して行うため、就寝時も電極を装着したままにします。
解答2. 電極は四肢に装着する。(×不正解)
→ ホルター心電図検査の電極は主に胸部に装着します。四肢ではありません。
解答3. 検査中は電気カーペットを使用しない。(〇正解)
→ 電気カーペットなどの電気製品は心電図の記録に影響を与える可能性があるため、検査中は使用を避けることが推奨されます。
解答4. 検査中は普段の生活よりも活動量を減らす。(×不正解)
→ ホルター心電図検査の目的は、日常生活における心臓の状態を評価することです。そのため、検査中は普段通りの生活を送ることが重要です。
問題40
訪問看護事業所について正しいのはどれか。
1. 24 時間対応が義務付けられている。
2. 自宅以外への訪問看護は認められない。
3. 特定非営利活動法人 〈NPO〉は事業所を開設できる。
4. 従事する看護師は臨床経験5年以上と定められている。
正答:3
解説:
解答1. 24 時間対応が義務付けられている。(×不正解)
→ 24時間対応は推奨されていますが、法的に義務付けられているわけではありません。
解答2. 自宅以外への訪問看護は認められない。(×不正解)
→ 訪問看護は自宅以外にも、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどの施設でも行うことができます。
解答3. 特定非営利活動法人 〈NPO〉は事業所を開設できる。(〇正解)
→ 特定非営利活動法人(NPO)は、訪問看護事業所を開設することができます。
解答4. 従事する看護師は臨床経験5年以上と定められている。(×不正解)
→ 訪問看護に従事する看護師の臨床経験年数に関する法的な規定はありません。ただし、一定の経験を持つことが望ましいとされています。
問題41
糖尿病(diabetes mellitus)の在宅療養者に行うフットケアの説明で適切なのはどれか。
1. 「素足で過ごしましょう」
2. 「足の皮膚を保湿してください」
3. 「足浴には 42°Cのお湯を使ってください」
4. 「爪は指の先端よりも短く切ってください」
解説:
解答1:「素足で過ごしましょう」(×不正解)
→ 糖尿病患者は足の感覚が鈍くなっている場合があり、素足で過ごすと傷に気づきにくく、感染のリスクが高まります。
解答2:「足の皮膚を保湿してください」(〇正解)
→ 糖尿病患者は皮膚が乾燥しやすいため、保湿は重要です。乾燥を防ぐことで、皮膚のひび割れや傷を予防し、感染のリスクを減らすことができます。解答3:「足浴には 42°Cのお湯を使ってください」(×不正解)
→ 糖尿病患者は足の感覚が鈍くなっている場合があり、42°Cのお湯は熱すぎる可能性があります。低温やけどのリスクがあるため、38~40°C程度のお湯を使用するのが適切です。解答4:「爪は指の先端よりも短く切ってください」(×不正解)
→ 爪を短く切りすぎると、深爪になりやすく、感染のリスクが高まります。爪は指の先端と同じくらいの長さに、角を丸く切るのが適切です。
問題42
胃瘻からの経管栄養を行う在宅療養者の家族に説明する内容で正しいのはどれか。
1. 流動(ミキサー)食は注入できる。
2. 注入前に胃瘻の瘻孔部を消毒する。
3. 胃瘻カテーテルは週に1回交換する。
4. 注入中は体位を15度の Fowler 〈ファウラー〉位にする。
解説:
解答1:流動(ミキサー)食は注入できる。(〇正解)
→ 適切に調整された流動食(ミキサー食)は、胃瘻からの経管栄養に適しています。ただし、栄養成分や粘度などを確認し、医師や栄養士の指示に従う必要があります。
解答2:注入前に胃瘻の瘻孔部を消毒する。(×不正解)
→ 瘻孔部の消毒は毎日行う必要はありません。清潔を保つために、清拭や洗浄を行う程度で十分です。過度の消毒は皮膚を刺激する可能性があります。
解答3:胃瘻カテーテルは週に1回交換する。(×不正解)
→ 胃瘻カテーテルの交換頻度は、カテーテルの種類や状態によって異なります。定期的な交換は必要ですが、週に1回は頻度が高すぎます。医師の指示に従って交換時期を判断します。
解答4:注入中は体位を15度の Fowler 〈ファウラー〉位にする。(×不正解)
→ 注入中は、誤嚥を防ぐために30~45度のFowler位にするのが適切です。15度では誤嚥のリスクが高まります。
問題43
Aちゃん(1歳7か月、 女児)は先天性水頭症(congenital hydrocephalus)のため脳室一腹腔〈V-P> シャント造設術を受けて退院した。 Aちゃんは歩行障害があり、 母親が1人で育てている。退院後、 訪問看護師が訪問すると、 Aちゃんの母親は「子どもが泣くとイライラします。 この先Aを育てていく自信がなく、 経済的にも生活していけるか不安です」と話した。
このとき、訪問看護師が母親に勧める相談先で最も適切なのはどれか。
1. 居住地の社会福祉協議会
2. 居住地の保健センター
3. 障害児の子育てグループ
4. 入院していた病院の医療相談室
解説:
解答1:居住地の社会福祉協議会(×不正解)
→ 社会福祉協議会は、地域福祉の推進を目的とした団体ですが、母親の精神的なサポートや子育ての不安に対する専門的な相談には適していません。
解答2:居住地の保健センター(〇正解)
→ 保健センターは、地域住民の健康増進を目的とした機関であり、子育てに関する相談や支援を行っています。訪問看護師から保健センターへ情報提供し、継続的な支援につなげることが適切です。
解答3:障害児の子育てグループ(×不正解)
→ 障害児の子育てグループは、同じような境遇の親同士が交流し、情報交換や精神的な支えとなる場ですが、母親が抱える経済的な不安や将来への不安に対する具体的な解決策を提供することは難しい場合があります。
解答4:入院していた病院の医療相談室(×不正解)
→ 医療相談室は、入院中の患者や家族に対する相談窓口ですが、退院後の長期的な支援には限界があります。地域での継続的なサポートを提供できる保健センターがより適切です。
問題44
地域包括ケアシステムの構成要素はどれか。
1. 交通
2. 雇用
3. 情報
4. 住まい
解説:
解答1:交通(×不正解)
→ 交通は地域包括ケアシステムを支える要素の一つではありますが、直接的な構成要素ではありません。
解答2:雇用(×不正解)
→ 雇用も地域経済や住民の生活を支える要素ではありますが、地域包括ケアシステムの直接的な構成要素ではありません。
解答3:情報(×不正解)
→ 情報はサービス利用を支援する上で重要ですが、地域包括ケアシステムの直接的な構成要素ではありません。
解答4:住まい(〇正解)
→ 地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるように、住まい、医療、介護、予防、生活支援が包括的に提供される体制です。住まいはその中心となる要素です。
問題45
成人の心肺蘇生法における圧迫部位を図に示す。
正しいのはどれか。
1. (1)
2. (2)
3. (3)
4. (4)
解説:
解答1:1(×不正解)
→ 図の1は胸骨圧迫部位として不適切です。
解答2:2(〇正解)
→ 図の2は胸骨圧迫部位として適切です。胸骨の下半分を圧迫します。
解答3:3(×不正解)
→ 図の3は胸骨圧迫部位として不適切です。
解答4:4(×不正解)
→ 図の4は胸骨圧迫部位として不適切です。
問題46
高次脳機能障害のある患者が買い物に行った際に示す行動で失行はどれか。
1. 何を買いに来たのか忘れる。
2. 買い物かごの使い方が分からない。
3. 献立に合わせた買い物ができない。
4. スーパーと自宅の往復で道に迷う。
解説:
解答1:何を買いに来たのか忘れる。(×不正解)
→ これは記憶障害の症状です。
解答2:買い物かごの使い方が分からない。(〇正解)
→ これは道具の使用方法が理解できない構成失行の症状です。
解答3:献立に合わせた買い物ができない。(×不正解)
→ これは遂行機能障害の症状です。
解答4:スーパーと自宅の往復で道に迷う。(×不正解)
→ これは見当識障害または道順の失認の症状です。
問題47
乳房温存療法で放射線治療を受ける乳癌患者(breast cancer)への説明で適切なのはどれか。
1.「頭髪の脱毛が生じます」
2. 「嚥下障害が予測されます」
3. 「皮膚にマーキングを行います」
4. 「同居家族への被曝に注意してください」
解説:
解答1:「頭髪の脱毛が生じます」(×不正解)
→ 放射線治療は照射部位に影響が出やすく、乳房への照射では頭髪の脱毛は通常起こりません。
解答2:「嚥下障害が予測されます」(×不正解)
→ 嚥下障害は、放射線が頸部や胸部食道に照射された場合に起こる可能性がありますが、乳房への照射では通常起こりません。
解答3:「皮膚にマーキングを行います」(〇正解)
→ 放射線治療では、正確な照射のために皮膚にマーキングを行います。これは毎回同じ位置に照射するために必要な処置です。
解答4:「同居家族への被曝に注意してください」(×不正解)
→ 放射線治療は、照射された患者さん自身から放射線が出るわけではないため、同居家族への被曝の心配はありません。
問題48
臨死期にある患者に出現する呼吸の変化で正しいのはどれか。
1. 過呼吸
2. 奇異呼吸
3. Kussmaul 〈クスマウル〉 呼吸
4. Cheyne-Stokes 〈チェーン-ストークス〉 呼吸
解説:
解答1:過呼吸(×不正解)
→ 過呼吸は、呼吸数や換気量が異常に増加した状態であり、臨死期に特有の呼吸ではありません。
解答2:奇異呼吸(×不正解)
→ 奇異呼吸は、胸郭と腹部の動きが通常とは逆になる呼吸であり、呼吸筋の麻痺などで見られますが、臨死期に特有の呼吸ではありません。
解答3:Kussmaul 〈クスマウル〉 呼吸(×不正解)
→ クスマウル呼吸は、深く、規則的な過呼吸であり、糖尿病性ケトアシドーシスなどで見られます。臨死期に特有の呼吸ではありません。
解答4:Cheyne-Stokes 〈チェーン-ストークス〉 呼吸(〇正解)
→ チェーン-ストークス呼吸は、無呼吸と過呼吸が周期的に繰り返される呼吸であり、脳機能の低下や心不全などで見られます。臨死期によく見られる呼吸パターンです。
問題49
超音波ガイド下で肝生検を受ける成人への説明で正しいのはどれか。
1.「検査前の絶食は不要です」
2. 「検査はうつぶせで実施します」
3. 「検査中は指示に合わせて息を止めてください」
4. 「検査後すぐに歩行できます」
解説:
解答1:「検査前の絶食は不要です」(×不正解)
→ 肝生検前は、出血リスクを避けるため、通常は絶食が必要です。
解答2:「検査はうつぶせで実施します」(×不正解)
→ 肝生検は、通常は仰向けまたは右側臥位で行われます。
解答3:「検査中は指示に合わせて息を止めてください」(〇正解)
→ 超音波ガイド下肝生検では、呼吸による肝臓の位置のずれを防ぐため、検査中は指示に合わせて息を止めてもらう必要があります。
解答4:「検査後すぐに歩行できます」(×不正解)
→ 肝生検後は、出血の有無を観察するため、数時間安静にする必要があり、すぐに歩行することはできません。
問題50
A さん(42歳、男性)は、同僚との飲酒中に上腹部から背部の激しい痛みと嘔吐
があり、救急搬送された。 搬送時の心電図には異常を認めない。
Aさんの状態をアセスメントするための血液検査項目で優先度が高いのはどれ
か。
1. アルブミン
2. トロポニン
3. 中性脂肪
4. リパーゼ
解説:
解答1:アルブミン(×不正解)
→ アルブミンは栄養状態の指標となりますが、今回の急性期の症状の原因を特定するためには優先度が低い検査項目です。
解答2:トロポニン(×不正解)
→ トロポニンは心筋梗塞などの心疾患の指標となりますが、心電図に異常がないことから、今回の症状の原因として可能性は低く、優先度は低いと考えられます。
解答3:中性脂肪(×不正解)
→ 中性脂肪は脂質代謝の指標となりますが、今回の急性期の症状の原因を特定するためには優先度が低い検査項目です。
解答4:リパーゼ(〇正解)
→ 上腹部から背部への激しい痛みと嘔吐は、急性膵炎の症状として疑われます。リパーゼは膵臓由来の酵素であり、急性膵炎の診断に最も重要な検査項目です。
問題51
伝音性難聴について正しいのはどれか。
1. 加齢で増悪する。
2. 鼓膜穿孔は原因となる。
3. 内耳から中枢側の障害で発生する。
4. アミノグリコシド系抗菌薬が原因である。
解説:
解答1:加齢で増悪する。(×不正解)
→ 加齢性難聴は感音性難聴であり、伝音性難聴ではありません。
解答2:鼓膜穿孔は原因となる。(〇正解)
→ 伝音性難聴は、外耳や中耳の障害によって音の伝達が妨げられることで起こります。鼓膜穿孔は中耳の障害であり、伝音性難聴の原因となります。
解答3:内耳から中枢側の障害で発生する。(×不正解)
→ 内耳から中枢側の障害で発生する難聴は、感音性難聴または混合性難聴です。
解答4:アミノグリコシド系抗菌薬が原因である。(×不正解)
→ アミノグリコシド系抗菌薬は、内耳の有毛細胞を障害し、感音性難聴を引き起こすことがあります。
問題52
散瞳薬を用いた眼底検査を受ける成人への説明で適切なのはどれか。
1. 「角膜を観察します」
2. 「検査後に抗菌薬を点眼します」
3. 「眼を閉じた状態で検査室に誘導します」
4. 「点眼後30分で散瞳薬の効果が現れます」
解説:
解答1:「角膜を観察します」(×不正解)
→ 眼底検査は、網膜、視神経乳頭、血管などを観察する検査であり、角膜を観察することが目的ではありません。
解答2:「検査後に抗菌薬を点眼します」(×不正解)
→ 散瞳薬を使用した眼底検査後に、抗菌薬を点眼する必要はありません。
解答3:「眼を閉じた状態で検査室に誘導します」(×不正解)
→ 散瞳薬の効果で視界がぼやけるため、検査室内では注意して歩行してもらう必要があります。
解答4:「点眼後30分で散瞳薬の効果が現れます」(〇正解)
→ 散瞳薬の効果が現れるまでには、通常20~30分程度かかります。効果が現れてから検査を開始します。
問題53
梅毒(syphilis)について正しいのはどれか。
1. ワクチンによる予防が可能である。
2. パートナーの検査は不要である。
3. ウイルス感染症である。
4. ばら疹を認める。
解説:
解答1:ワクチンによる予防が可能である。(×不正解)
→ 梅毒に対するワクチンは現在ありません。
解答2:パートナーの検査は不要である。(×不正解)
→ 梅毒は性感染症であり、感染拡大を防ぐため、パートナーの検査と治療が必須です。
解答3:ウイルス感染症である。(×不正解)
→ 梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌による感染症です。
解答4:ばら疹を認める。(〇正解)
→ 梅毒の第二期には、特徴的な症状として、全身に淡い紅色の発疹(ばら疹)が出現します。
問題54
高齢者の看護におけるストレングスモデルの説明で適切なのはどれか。
1. 自分で健康行動を判断して決められるよう支援すること
2. 高齢者自身が健康的な生活を送るための活動を支援すること
3. 健康課題の解決に向けて自分の能力を活かせるよう支援すること
4. 特定の健康課題について効果的に遂行できるという自信を高めるよう支援す
ること
解説:
解答1:自分で健康行動を判断して決められるよう支援すること(×不正解)
→ これはエンパワメントの概念に近いですが、ストレングスモデルの本質ではありません。
解答2:高齢者自身が健康的な生活を送るための活動を支援すること(×不正解)
→ これは一般的な健康支援ですが、ストレングスモデルは個人の強みに焦点を当てます。
解答3:健康課題の解決に向けて自分の能力を活かせるよう支援すること(〇正解)
→ ストレングスモデルは、高齢者が持っている強みや資源を活用し、自らの力で健康課題を解決できるよう支援するアプローチです。
解答4:特定の健康課題について効果的に遂行できるという自信を高めるよう支援すること(×不正解)
→ これは自己効力感を高める支援ですが、ストレングスモデルはより包括的に個人の強みを活用します。
問題55
日本の令和3年 (2021年)の人口動態統計に基づく、 65歳以上85歳未満における不慮の事故による死亡状況をグラフに示す。
Dはどれか。
1. 窒息
2. 交通事故
3. 溺死及び溺水
4. 店頭、転落、墜落
解説:
解答1:窒息(×不正解)
→ グラフCは、高齢になるにつれて死亡数が増加する傾向にありますが、窒息は比較的急激な変化を示すことが多いです。
解答2:交通事故(×不正解)
→ 交通事故は、高齢者の場合、ある程度の年齢層で一定数の死亡者数が見られますが、グラフCのように緩やかな増加を示すことは少ないです。
解答3:溺死及び溺水(×不正解)
→ 溺死及び溺水は、特定の環境下での事故であり、高齢者全体で見るとグラフCのような緩やかな増加を示すことは少ないと考えられます。
解答4:転倒、転落、墜落(〇正解)
→ 高齢になるにつれて、身体機能の低下により転倒・転落のリスクが高まり、それが死亡につながることが多いため、グラフCのように年齢とともに死亡数が増加する傾向を示します。
問題56
A さん (81 歳 男性) は、大腸内視鏡検査を受けることになった。
検査前にAさんへ看護師が確認する項目で最も優先されるのはどれか。
1. 義歯の使用
2. 白内障(cataract)の有無
3. 保持できない姿勢
4. 前立腺肥大症(prostatic hyperplasia)の有無
解説:
解答1:義歯の使用(×不正解)
→ 義歯の使用は、検査中に外れる可能性があるため確認は必要ですが、姿勢保持に比べると優先度は低いです。
解答2:白内障の有無(×不正解)
→ 白内障の有無は、検査の直接的な影響因子ではありません。
解答3:保持できない姿勢(〇正解)
→ 大腸内視鏡検査では、体位変換が必要となるため、保持できない姿勢を確認することは、検査の安全かつ円滑な実施のために最も重要です。
解答4:前立腺肥大症の有無(×不正解)
→ 前立腺肥大症は、検査の直接的な影響因子ではありません。
問題57
全身麻酔下で肺切除術を受ける高齢者への説明で優先度が高いのはどれか。
1.術前にベッド上で排泄の練習をすること
2. 術前に手術部看護師の訪問があること
3. 術前に深呼吸や排痰の練習をすること
4. 術後に四肢の自動運動をすること
解説:
解答1:術前にベッド上で排泄の練習をすること(×不正解)
→ 排泄は重要ですが、呼吸機能の維持に比べると優先度は低いです。
解答2:術前に手術部看護師の訪問があること(×不正解)
→ 術前のオリエンテーションは重要ですが、呼吸機能の維持に比べると優先度は低いです。
解答3:術前に深呼吸や排痰の練習をすること(〇正解)
→ 肺切除術後は、疼痛や麻酔の影響で呼吸機能が低下しやすく、肺炎などの合併症のリスクが高まります。術前に深呼吸や排痰の練習を行うことは、術後の呼吸機能の維持・改善に非常に重要です。
解答4:術後に四肢の自動運動をすること(×不正解)
→ 術後の早期離床や血栓予防のために四肢の自動運動も重要ですが、呼吸機能の維持に比べると優先度は低いです。
問題58
要支援1の認定を受けた高齢者が、 介護予防通所リハビリテーションの利用を開始した。 「普段からトイレに何度も行く」と頻尿を気にしている施設にいる看護師の援助で適切なのはどれか。
1. 施設のトイレの場所を一緒に確認する。
2. 車椅子でトイレに移送する。
3. 紙オムツの使用を勧める。
4. 排泄時に更衣を介助する。
解説:
解答1:施設のトイレの場所を一緒に確認する。(〇正解)
→ 要支援1の認定を受けていることから、ある程度の自立した生活は可能と考えられます。まずは、施設のトイレの場所を一緒に確認し、安心して排泄できる環境を整えることが適切です。
解答2:車椅子でトイレに移送する。(×不正解)
→ 車椅子での移送は、高齢者の自立を妨げる可能性があります。
解答3:紙オムツの使用を勧める。(×不正解)
→ 紙オムツの使用は、ADLの低下につながるため、安易に勧めるべきではありません。
解答4:排泄時に更衣を介助する。(×不正解)
→ 更衣の介助が必要な場合は、ADLの評価を行い、必要な支援を提供する必要があります。
問題59
標準的な成長・発達をしている4歳の男児に対して採血を行う。 看護師が男児に採血についてのプレパレーションを実施した。その後に伝えることで適切なのはどれか。
1.「痛くないよ」
2. 「すぐに終わっちゃうよ」
3. 「何か聞きたいことはないかな」
4.「やらないと病気になっちゃうよ」
解説:
解答1:「痛くないよ」(×不正解)
→ 嘘をつくことは信頼関係を損なうため、避けるべきです。
解答2:「すぐに終わっちゃうよ」(×不正解)
→ 時間に対する感覚は個人差があり、すぐに終わらないと感じる場合もあります。
解答3:「何か聞きたいことはないかな」(〇正解)
→ 子供の不安や疑問に寄り添い、質問の機会を与えることで、安心感を与えることができます。
解答4:「やらないと病気になっちゃうよ」(×不正解)
→ 脅迫的な言い方は、子供に恐怖心を与えてしまいます。
問題60
標準的な成長・発達をしている子どもが 「ばい菌が体内に入ることで病気になる」と考えるようになるのは、 ピアジェ J.(Piaget. J.)の認知的発達段階のどれか。
1. 感覚運動期
2. 前操作期
3. 具体的操作期
4. 形式的操作期
解説:
解答1:感覚運動期(×不正解)
→ 感覚運動期は、0~2歳頃の段階で、感覚と運動を通して世界を理解します。「ばい菌」のような抽象的な概念は理解できません。
解答2:前操作期(×不正解)
→ 前操作期は、2~7歳頃の段階で、自己中心的な思考やアニミズム的思考が見られますが、論理的な思考はまだ発達していません。
解答3:具体的操作期(〇正解)
→ 具体的操作期は、7~11歳頃の段階で、具体的な事物や現象について論理的な思考ができるようになります。因果関係を理解し、「ばい菌が体内に入ることで病気になる」ということを理解できるようになります。
解答4:形式的操作期(×不正解)
→ 形式的操作期は、11歳以降の段階で、抽象的な思考や仮説演繹的な思考ができるようになります。
問題61
乳児の心拍測定で正しいのはどれか。
1. 心拍数 110/分は正常である。
2. 聴診ではI音と II音で2心拍である。
3. バスタオルで体幹および四肢を固定して測定する。
4. 呼吸周期に関連した心拍リズムの不整は異常である。
解説:
解答1:心拍数 110/分は正常である。(〇正解)
→ 乳児の正常な心拍数は100~160回/分であり、110回/分は正常範囲内です。
解答2:聴診ではI音と II音で2心拍である。(×不正解)
→ 聴診ではI音とII音で1心拍です。I音は心室収縮の開始、II音は大動脈弁と肺動脈弁の閉鎖を示します。
解答3:バスタオルで体幹および四肢を固定して測定する。(×不正解)
→ バスタオルで固定すると、乳児が不快感や恐怖心を感じ、正確な測定ができない可能性があります。
解答4:呼吸周期に関連した心拍リズムの不整は異常である。(×不正解)
→ 乳児では、呼吸性不整脈(吸気時に心拍数が増加し、呼気時に減少する)は生理的な現象であり、異常ではありません。
問題62
保護者による子どもへの虐待に対する外来の看護師の対応で適切なのはどれか。
1. 子どもの全身の観察では、保護者の同意を得る必要がある。
2. プライバシー保護のため、他職種との情報共有はしない。
3. 子どもや保護者の発言内容や様子を記録に残す。
4. 保護者の同席のもと子どもから話を聞く。
解説:
解答1:子どもの全身の観察では、保護者の同意を得る必要がある。(×不正解)
→ 虐待が疑われる場合、子どもの安全確保が最優先であり、保護者の同意を得ることが難しい場合でも、必要な観察を行うべきです。
解答2:プライバシー保護のため、他職種との情報共有はしない。(×不正解)
→ 虐待対応は、多職種連携が重要です。プライバシーに配慮しつつ、必要な情報を共有し、連携して対応する必要があります。
解答3:子どもや保護者の発言内容や様子を記録に残す。(〇正解)
→ 虐待の疑いがある場合、客観的な記録は、状況の把握や判断、関係機関との連携において非常に重要です。
解答4:保護者の同席のもと子どもから話を聞く。(×不正解)
→ 保護者の同席のもとでは、子どもが本音を話しにくい場合があります。状況によっては、保護者とは別に、子どもから話を聞くことが必要です。
問題63
事業主は雇用している女性労働者が妊婦健康診査を受けるために必要な時間を確保できるようにしなければならないと規定している法律はどれか。
1. 母体保護法
2. 労働基準法
3. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 〈男女
雇用機会均等法〉
4. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉
解説:
解答1:母体保護法(×不正解)
→ 母体保護法は、人工妊娠中絶などについて定めていますが、妊婦健診の時間の確保については規定していません。
解答2:労働基準法(×不正解)
→ 労働基準法は、労働時間や休日などについて定めていますが、妊婦健診の時間の確保については直接的な規定はありません。
解答3:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 〈男女雇用機会均等法〉(〇正解)
→ 男女雇用機会均等法は、女性労働者が妊娠・出産を理由に不利益な扱いを受けないようにすることを目的としています。妊婦健診の時間の確保もその一環として規定されています。
解答4:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 〈育児・介護休業法〉(×不正解)
→ 育児・介護休業法は、育児休業や介護休業などについて定めていますが、妊婦健診の時間の確保については直接的な規定はありません。
問題64
Leopold 〈レオポルド〉触診法で分かるのはどれか。
1. 胎向
2. 胎児の筋緊張
3. 胎盤付着部位
4. 胎児の健康状態
解説:
解答1:胎向(〇正解)
→ レオポルド触診法は、胎児の体軸と母体の体軸との関係(胎向)、胎位(胎児のどの部分が子宮口に向かっているか)、胎勢(胎児の姿勢)、先進部(分娩時に最初に現れる胎児の部分)などを確認するために行います。
解答2:胎児の筋緊張(×不正解)
→ 胎児の筋緊張は、レオポルド触診法では直接的に評価できません。
解答3:胎盤付着部位(×不正解)
→ 胎盤付着部位は、レオポルド触診法では確認できません。超音波検査などで確認します。
解答4:胎児の健康状態(×不正解)
→ 胎児の健康状態は、レオポルド触診法では直接的に評価できません。胎児心拍数モニタリングなどで評価します。
問題65
子宮口全開大のときに破水した。
この破水はどれか。
1. 前期破水
2. 早期破水
3. 遅滞破水
4. 適時破水
解説:
解答1:前期破水(×不正解)
→ 前期破水とは、陣痛開始前に破水することです。
解答2:早期破水(×不正解)
→ 早期破水とは、陣痛開始後で子宮口が全開大になる前に破水することです。
解答3:遅滞破水(×不正解)
→ 遅滞破水とは、分娩の進行が遅れている状態で破水することです。
解答4:適時破水(〇正解)
→ 適時破水とは、分娩が順調に進行し、子宮口が全開大になったときに破水することです。
問題66
頭位で出生した直後の児の頭部に腫脹を認めた。 腫脹は骨縫合を越え、波動を触
れず、数日後に消失した。出生直後に認められた児頭の腫脹で考えられるのはどれか。
1. 産瘤
2. 骨重積
3. 頭血腫
4. 帽状腱膜下血腫
解説:
解答1:産瘤(〇正解)
→ 産瘤は、分娩時に児頭が産道で圧迫されることで生じる浮腫性の腫脹です。骨縫合を越えて存在し、数日以内に自然に消失します。波動は触れません。解答2:骨重積(×不正解)
→ 骨重積は、分娩時に児頭が産道で圧迫されることで、頭蓋骨が重なり合って変形することです。腫脹というよりは、頭蓋骨の変形として触知されます。解答3:頭血腫(×不正解)
→ 頭血腫は、頭蓋骨と骨膜の間に出血が起こることで生じる腫脹です。骨縫合を越えず、波動を触れることがあります。消失するまでに数週間から数か月かかることがあります。
解答4:帽状腱膜下血腫(×不正解)
→ 帽状腱膜下血腫は、帽状腱膜と骨膜の間に出血が起こることで生じる腫脹です。広範囲に広がりやすく、大量出血のリスクがあります。
問題67
患者が看護師を愛情深い親のような存在とみなし、 看護師に対して肯定的な感情を抱くのはどれか。
1. 投影
2. 共依存
3. 反動形成
4. 陽性転移
解説:
解答1:投影(×不正解)
→ 投影とは、自分の感情や欲求を他者に帰属させることです。
解答2:共依存(×不正解)
→ 共依存とは、特定の相手との関係に過度に依存し、自己犠牲的な行動を繰り返すことです。
解答3:反動形成(×不正解)
→ 反動形成とは、受け入れがたい感情や衝動を、正反対の行動や態度で表現することです。
解答4:陽性転移(〇正解)
→ 陽性転移とは、患者が過去の重要な人物(親など)に対する感情を、看護師に対して向けることです。この場合、患者は看護師を愛情深い親のような存在とみなし、肯定的な感情を抱きます。
問題68
精神障害のある人のリカバリーで正しいのはどれか。
1. 症状の回復がゴールである。
2. 直線的なプロセスをたどる。
3. 主体的に人生を新たに生き直すことである。
4. ストレス脆弱性に焦点を当てた支援である。
解説:
解答1:症状の回復がゴールである。(×不正解)
→ リカバリーは、症状の回復だけでなく、その人らしい生活を取り戻すことを目指します。
解答2:直線的なプロセスをたどる。(×不正解)
→ リカバリーは、人それぞれ異なる道のりをたどり、停滞や後退を繰り返しながら進むことが多いです。
解答3:主体的に人生を新たに生き直すことである。(〇正解)
→ リカバリーとは、精神障害のある人が、自分の価値観や目標に基づき、主体的に人生を再構築していくプロセスです。
解答4:ストレス脆弱性に焦点を当てた支援である。(×不正解)
→ リカバリーは、個人の強さや可能性に着目し、それを活かした支援を行います。
問題69
精神疾患の治療を受けている人との共同創造 〈コプロダクション〉で正しいのはどれか。
1. 患者が医療者の指示に従って治療を受ける。
2. 患者が医療者から病気や治療について十分な説明を受ける。
3. 治療やケアの計画から提供まで医療者と患者がともに関わる。
4. 自ら助けを求めることが難しい人に対して、積極的に働きかけ支援を提供する。
解説:
解答1:患者が医療者の指示に従って治療を受ける。(×不正解)
→ これは従来の医療モデルであり、コプロダクションとは異なります。
解答2:患者が医療者から病気や治療について十分な説明を受ける。(×不正解)
→ 説明と同意は重要ですが、コプロダクションはそれ以上に、患者が積極的に治療に参加することを重視します。
解答3:治療やケアの計画から提供まで医療者と患者がともに関わる。(〇正解)
→ コプロダクションとは、医療者と患者が対等な立場で協力し、治療やケアの計画から実施、評価までを共同で行うことです。
解答4:自ら助けを求めることが難しい人に対して、積極的に働きかけ支援を提供す
る。(×不正解)
→ これはアウトリーチの概念であり、コプロダクションとは異なります。
問題70
退院後生活環境相談員について正しいのはどれか。
1. 措置入院の患者に対して選任される。
2. 入院3か月以上の患者が支援対象である。
3. 患者が居住の場を確保できるように調整する。
4. 担当できるのは精神保健福祉士と社会福祉士の2職種である。
解説:
解答1:措置入院の患者に対して選任される。(×不正解)
→ 退院後生活環境相談員は、措置入院の患者だけでなく、任意入院の患者も支援対象とします。
解答2:入院3か月以上の患者が支援対象である。(×不正解)
→ 退院後生活環境相談員は、入院期間に関わらず、退院後の生活に不安がある患者を支援対象とします。
解答3:患者が居住の場を確保できるように調整する。(〇正解)
→ 退院後生活環境相談員の重要な役割の一つは、患者が退院後に安心して生活できる居住の場を確保できるよう、関係機関と連携し調整することです。解答4:担当できるのは精神保健福祉士と社会福祉士の2職種である。(×不正解)
→ 退院後生活環境相談員は、精神保健福祉士、社会福祉士だけでなく、看護師、作業療法士なども担当することができます。
問題71
病院の看護部の組織図を示す。
(1)の役割について正しいのはどれか。
1. 他部門に命令をする。
2. 組織の意思決定を行う。
3. 各機能を調整する責任をもつ。
4. 専門的な知識をもとに他部門に助言を行う。
解説:
解答1:他部門に命令をする。(×不正解)
→ 組織図における「1」が看護部長などの上位職である場合、他部門への命令権限を持つことはありますが、日常的な役割ではありません。
解答2:組織の意思決定を行う。(×不正解)
→ 組織の意思決定は、通常、看護部長などの上位職や委員会などが行います。
解答3:各機能を調整する責任をもつ。(〇正解)
→ 看護部における「1」が、看護師長などの管理職である場合、病棟やチームの看護活動が円滑に進むよう、人員配置、物品管理、他部門との連携などを調整する責任を持ちます。
解答4:専門的な知識をもとに他部門に助言を行う。(×不正解)
→ 専門的な知識をもとに他部門に助言を行うのは、専門看護師や認定看護師などの役割です。
問題72
プライマリナーシングの説明で適切なのはどれか。
1. 業務を短時間で効率よく実施できる。
2. リーダーの調整力が看護チームの目標達成に影響する。
3. 1人の看護師が1人の患者の入院から退院まで一貫して責任をもつ。
4. 日替わりで受け持ち看護師が変わるので看護ケアの継続が難しくなる。
解説:
解答1:業務を短時間で効率よく実施できる。(×不正解)
→ プライマリナーシングは、患者一人ひとりに合わせた質の高い看護を提供することを重視するため、必ずしも業務効率が良いとは限りません。
解答2:リーダーの調整力が看護チームの目標達成に影響する。(×不正解)
→ これはチームナーシングの説明です。
解答3:1人の看護師が1人の患者の入院から退院まで一貫して責任をもつ。(〇正解)
→ プライマリナーシングは、1人の看護師が1人の患者の入院から退院まで継続して責任を持ち、個別性の高い看護を提供します。
解答4:日替わりで受け持ち看護師が変わるので看護ケアの継続が難しくなる。(×不正解)
→ これは受け持ち方式ではない看護体制の説明です。
問題73
医療安全について正しいのはどれか。
1. 患者から暴力を受けたと報告した医療従事者に暴力発生の責任を問う。
2. 与薬前に薬物の間違いに気づけばインシデントレポートは不要である。
3. 医療過誤とは医療事故の発生原因に医療機関、医療従事者の過失がある場合をいう。
4. インシデントを起こした医療従事者は気持ちが落ち着いた数日後にレポートを提出する。
解説:
解答1:患者から暴力を受けたと報告した医療従事者に暴力発生の責任を問う。(×不正解)
→ 医療従事者の安全を確保することが重要であり、暴力発生の責任を問うことは不適切です。
解答2:与薬前に薬物の間違いに気づけばインシデントレポートは不要である。(×不正解)
→ 与薬前に間違いに気づいた場合でも、インシデントレポートを提出し、原因分析と再発防止策を検討する必要があります。
解答3:医療過誤とは医療事故の発生原因に医療機関、医療従事者の過失がある場合
をいう。(〇正解)
→ 医療過誤は、医療機関や医療従事者の過失によって患者に損害が発生した場合を指します。
解答4:インシデントを起こした医療従事者は気持ちが落ち着いた数日後にレポート
を提出する。(×不正解)
→ インシデントレポートは、速やかに提出し、早期に原因分析と対策を行う必要があります。
問題74
災害時のこころのケアで正しいのはどれか。
1. こころのケアは発災直後から数週間で終了する。
2. 災害派遣精神医療チーム (DPAT) は航空機事故が発生したときにも活動する。
3. こころのケアチームを組織化する目的は福祉避難所で医療活動を行うためである。
4. サイコロジカルファーストエイド 〈Psychological First Aid:PFA〉 は発災1か月後に精神科医が行う。
解説:
解答1:こころのケアは発災直後から数週間で終了する。(×不正解)
→ こころのケアは、発災直後から長期にわたって継続的に行う必要があります。
解答2:災害派遣精神医療チーム (DPAT) は航空機事故が発生したときにも活動す
る。(〇正解)
→ 災害派遣精神医療チーム (DPAT) は、地震や津波などの自然災害だけでなく、航空機事故やテロなどの人的災害が発生した際にも、被災者のこころのケアのために活動します。
解答3:こころのケアチームを組織化する目的は福祉避難所で医療活動を行うためで
ある。(×不正解)
→ こころのケアチームは、避難所だけでなく、被災地全域でこころのケアを提供することを目的としています。
解答4:サイコロジカルファーストエイド 〈Psychological First Aid:PFA〉 は発災
1か月後に精神科医が行う。(×不正解)
→ サイコロジカルファーストエイド (PFA) は、発災直後から数日以内に、専門家だけでなく、訓練を受けた一般の人も行うことができます。
問題75
生後1か月の乳児健康診査の際、 外国籍の両親から子どもの予防接種について質問があった。 父親は長期に日本で就労するため、 子どもは定期予防接種を受けることができる。両親は 「日本語が難しく、 予防接種のスケジュールがよく分からない」と看護師に言った。看護師の対応で適切なのはどれか。
1. 母国の大使館への相談を勧める。
2. 医療で使う言葉を覚えるように促す。
3. 地区担当の保健師への電話相談を提案する。
4. 両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡す。
解説:
解答1:母国の大使館への相談を勧める。(×不正解)
→ 予防接種に関する情報は、母国の大使館よりも、日本の医療機関や保健所の方が適切に入手できます。
解答2:医療で使う言葉を覚えるように促す。(×不正解)
→ 言葉を覚えることは重要ですが、緊急性の高い予防接種のスケジュールを理解するためには、すぐに理解できる情報提供が必要です。
解答3:地区担当の保健師への電話相談を提案する。(×不正解)
→ 電話相談も有用ですが、まずは視覚的に理解できる情報を提供することが効果的です。
解答4:両親が理解できる言語で書かれたパンフレットを渡す。(〇正解)
→ 外国籍の両親が日本語を理解できない場合、自国語で書かれたパンフレットを提供することは、予防接種のスケジュールを理解し、適切な時期に予防接種を受けさせるために最も適切な対応です。
問題76
心房と心室の間を電気的に結合し、 心房側の興奮を心室側に伝えるのはどれか。
1. 心筋層
2. 心内膜
3. 洞房結節
4. His 〈ヒス〉 東
5. Purkinje 〈プルキンエ〉 線維
解説:
解答1:心筋層(×不正解)
→ 心筋層は心臓の筋肉の層であり、電気信号の伝達を専門に行う組織ではありません。
解答2:心内膜(×不正解)
→ 心内膜は心臓の内側の膜であり、電気信号の伝達には直接関与しません。
解答3:洞房結節(×不正解)
→ 洞房結節は心臓のペースメーカーであり、電気信号を発生させますが、心房から心室への信号伝達は行いません。
解答4:His 〈ヒス〉 東(〇正解)
→ His束は、房室結節から続く特殊な心筋線維であり、心房からの電気信号を心室に伝える唯一の経路です。解答5:Purkinje 〈プルキンエ〉 線維(×不正解)
→ Purkinje線維は、His束から続く心室内の電気信号を伝える線維であり、心房から心室への信号伝達は行いません。
問題77
肝臓の機能はどれか。
1. 糖の貯蔵
2. 胆汁の貯蔵
3. 体液量の調節
4. 体液のpH調節
5. ホルモンの分泌
解説:
解答1:糖の貯蔵(〇正解)
→ 肝臓は、血糖値が高いときにはグルコースをグリコーゲンとして蓄え、血糖値が低いときにはグリコーゲンをグルコースに分解して血糖値を調節する機能を持っています。
解答2:胆汁の貯蔵(×不正解)
→ 胆汁は、肝臓で生成され、胆嚢に貯蔵されます。
解答3:体液量の調節(×不正解)
→ 体液量の調節は、主に腎臓が行います。
解答4:体液のpH調節(×不正解)
→ 体液のpH調節は、主に肺、腎臓、血液中の緩衝系が行います。解答5:ホルモンの分泌(×不正解)
→ ホルモンの分泌は、主に内分泌腺が行います。
問題78
術後の回復過程でエネルギー不足の場合にケトン体の供給源となるのはどれか。
1. 乳酸
2. 尿酸
3. 脂肪酸
4. 蛋白質
5. アンモニア
解説:
解答1:乳酸(×不正解)
→ 乳酸は、解糖系の代謝産物であり、エネルギー源にはなりにくいです。
解答2:尿酸(×不正解)
→ 尿酸は、プリン体の代謝産物であり、エネルギー源にはなりません。
解答3:脂肪酸(〇正解)
→ ケトン体は、脂肪酸が分解されることによって生成されます。エネルギー不足の場合、脂肪酸が分解され、ケトン体が生成され、エネルギー源として利用されます。
解答4:蛋白質(×不正解)
→ 蛋白質は、アミノ酸に分解され、エネルギー源として利用されることもありますが、ケトン体の直接的な供給源ではありません。解答5:アンモニア(×不正解)
→ アンモニアは、蛋白質の代謝産物であり、エネルギー源にはなりません。
問題79
狭窄による血流低下で二次性高血圧(secondary hypertension)を起こす血管はどれか。
1. 冠動脈
2. 肝動脈
3. 頸動脈
4. 腎動脈
5. 腦動脈
解説:
解答1:冠動脈(×不正解)
→ 冠動脈の狭窄は、心筋虚血を引き起こしますが、二次性高血圧の直接的な原因とはなりません。
解答2:肝動脈(×不正解)
→ 肝動脈の狭窄は、肝機能障害を引き起こす可能性がありますが、二次性高血圧の直接的な原因とはなりません。
解答3:頸動脈(×不正解)
→ 頸動脈の狭窄は、脳血流の低下を引き起こす可能性がありますが、二次性高血圧の直接的な原因とはなりません。
解答4:腎動脈(〇正解)
→ 腎動脈の狭窄は、腎血流量の低下を引き起こし、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の活性化を招き、二次性高血圧の原因となります。解答5:腦動脈(×不正解)
→ 脳動脈の狭窄は、脳血流の低下を引き起こす可能性がありますが、二次性高血圧の直接的な原因とはなりません。
問題80
日本の人口動態統計の死因別死亡率の年次推移をグラフに示す。
Cの死因はどれか。
1. 肺炎(pneumonia)
2. 老 衰
3. 心疾患(heart disease)
4. 脳血管疾患(cerebrovascular disease)
5. 悪性新生物<腫瘍>(malignant neoplasm)
解説:
(グラフが示されていないため、一般的な日本の死因別死亡率の傾向から判断します。)解答1:肺炎(×不正解)
→ 肺炎は高齢者の死因として増加傾向にありますが、近年では医療の進歩により、死亡率は以前ほど高くありません。
解答2:老衰(×不正解)
→ 老衰は、近年増加傾向にありますが、他の主要な死因と比較すると、まだ死亡率は低い傾向にあります。
解答3:心疾患(×不正解)
→ 心疾患は、依然として日本人の主要な死因の一つですが、近年では医療の進歩により、死亡率はやや減少傾向にあります。
解答4:脳血管疾患(〇正解)
→ 脳血管疾患(脳卒中など)は、以前は日本人の主要な死因でしたが、近年では予防や治療の進歩により、死亡率は減少傾向にあります。グラフCが減少傾向にあることから、脳血管疾患である可能性が高いと考えられます。解答5:悪性新生物腫瘍(×不正解)
→ 悪性新生物(がん)は、依然として日本人の死因の第1位であり、死亡率は高い傾向にあります。
問題81
第2~第4腰髄の障害の有無を把握するために確認するのはどれか。
1. 輻輳反射
2. 腹壁反射
3. 膝蓋腱反射
4. Trousseau〈トルソー〉徴候
5. Blumberg 〈ブルンベルグ〉徴候
解説:
解答1:輻輳反射(×不正解)
→ 輻輳反射は、動眼神経、滑車神経、外転神経の働きを評価するものであり、脳神経系の機能評価に用いられます。第2~第4腰髄の障害を把握するためには適切ではありません。
解答2:腹壁反射(〇正解)
→ 腹壁反射は、腹部の皮膚を軽く刺激することで腹筋が収縮する反射です。この反射弓は第10胸髄から第1腰髄に位置しており、第2~第4腰髄を直接評価するものではありませんが、上位運動ニューロンの状態を評価する上で参考になります。
解答3:膝蓋腱反射(×不正解)
→ 膝蓋腱反射は、大腿四頭筋の伸張反射であり、主に第3・第4腰髄(L3, L4)神経根の機能を評価するために用いられます。設問では、第2~第4腰髄全体の障害の有無を把握するとあるため、膝蓋腱反射のみでは不十分です。
解答4:Trousseau〈トルソー〉徴候(×不正解)
→ Trousseau徴候は、上腕を駆血帯で圧迫した際に手関節が屈曲し、手指が内転する現象で、低カルシウム血症の評価に用いられます。腰髄の障害とは関係ありません。解答5:Blumberg 〈ブルンベルグ〉徴候(×不正解)
→ Blumberg徴候は、腹部を圧迫した後に急に圧迫を解除した際に、反跳痛(rebound tenderness)が誘発される現象で、腹膜刺激症状の評価に用いられます。腰髄の障害とは関係ありません。
問題82
門脈系の血管はどれか。 2つ選べ。
1. 肝静脈
2. 脾静脈
3. 食道静脈
4. 内腸骨静脈
5. 下腸間膜静脈
解説:
解答1:肝静脈(×不正解)
→ 肝静脈は、肝臓から血液を肝外へ流出させる血管であり、門脈系には含まれません。
解答2:脾静脈(〇正解)
→ 脾静脈は、脾臓からの血液を門脈へ流入させる血管であり、門脈系に含まれます。
解答3:食道静脈(×不正解)
→ 食道静脈は、一部が門脈系に流入しますが、主な還流先は全身循環系です。門脈系の主要な血管とは言えません。
解答4:内腸骨静脈(×不正解)
→ 内腸骨静脈は、骨盤内の臓器からの血液を全身循環系へ還流させる血管であり、門脈系には含まれません。解答5:下腸間膜静脈(〇正解)
→ 下腸間膜静脈は、下行結腸やS状結腸からの血液を門脈へ流入させる血管であり、門脈系に含まれます。
問題83
A さん(35歳、女性) は1年前に子宮体癌(uterine corpus cancer)のために単純子宮全摘出術と両側卵巣摘出術を受け、その後、ホルモン補充療法は受けずに健康に過ごしている。Aさんの血液中で術前よりも濃度が上昇しているホルモンはどれか。 2つ選べ。
1. テストステロン
2. プロゲステロン
3. エストラジオール
4. 黄体形成ホルモン 〈LH〉
5. 卵胞刺激ホルモン 〈FSH〉
解説:
解答1:テストステロン(×不正解)
→ テストステロンは主に男性ホルモンですが、女性にも少量存在します。卵巣摘出によってテストステロンの産生が大きく変化することはありません。
解答2:プロゲステロン(×不正解)
→ プロゲステロンは、主に卵巣の黄体から分泌されるホルモンであり、妊娠の維持に関与します。卵巣摘出によりプロゲステロンの産生は低下します。
解答3:エストラジオール(×不正解)
→ エストラジオールは、卵巣から分泌される主要なエストロゲンであり、女性らしい体つきや月経周期に関与します。卵巣摘出によりエストラジオールの産生は低下します。
解答4:黄体形成ホルモン 〈LH〉(〇正解)
→ 黄体形成ホルモン(LH)は、脳下垂体から分泌されるホルモンであり、排卵を促したり、黄体からのホルモン分泌を促します。卵巣摘出によりエストロゲンやプロゲステロンの産生が低下すると、ネガティブフィードバックが解除され、LHの分泌は増加します。解答5:卵胞刺激ホルモン 〈FSH〉(〇正解)
→ 卵胞刺激ホルモン(FSH)は、脳下垂体から分泌されるホルモンであり、卵胞の発育を促します。卵巣摘出によりエストロゲンやプロゲステロンの産生が低下すると、ネガティブフィードバックが解除され、FSHの分泌は増加します。
問題84
後天性の大動脈弁狭窄症(aortic stenosis)について正しいのはどれか。 2つ選べ。
1. 二尖弁が多い。
2. 弁尖の石灰化による。
3. 左室壁は徐々に薄くなる。
4. 収縮期に心雑音を聴取する。
5. 心筋の酸素消費量は減少する。
解説:
解答1:二尖弁が多い。(×不正解)
→ 二尖弁は先天性の大動脈弁狭窄症の原因として多いですが、後天性では弁尖の石灰化が主な原因です。
解答2:弁尖の石灰化による。(〇正解)
→ 後天性の大動脈弁狭窄症は、加齢に伴う弁尖の石灰化が主な原因です。
解答3:左室壁は徐々に薄くなる。(×不正解)
→ 大動脈弁狭窄症では、左心室が圧負荷に抵抗するため、心筋が肥大し、左室壁は徐々に厚くなります。
解答4:収縮期に心雑音を聴取する。(〇正解)
→ 大動脈弁狭窄症では、左心室から大動脈へ血液を駆出する際に狭窄部を通過するため、収縮期に特徴的な心雑音を聴取します。解答5:心筋の酸素消費量は減少する。(×不正解)
→ 大動脈弁狭窄症では、左心室がより強い力で収縮する必要があるため、心筋の酸素消費量は増加します。
問題85
内臓脂肪の蓄積を推定するために用いるのはどれか。 2つ選べ。
1. 身長
2. 体重
3. 腹部CT
4. 腹囲〈ウエスト周囲長〉
5. 血中トリグリセライド値
解説:
解答1:身長(×不正解)
→ 身長は、BMIを算出する際に使用しますが、内臓脂肪の蓄積を直接推定するものではありません。
解答2:体重(×不正解)
→ 体重は、BMIを算出する際に使用しますが、内臓脂肪の蓄積を直接推定するものではありません。
解答3:腹部CT(×不正解)
→ 腹部CTは、内臓脂肪量を正確に測定できますが、簡便な方法ではないため、スクリーニングには適していません。
解答4:腹囲〈ウエスト周囲長〉(〇正解)
→ 腹囲(ウエスト周囲長)は、内臓脂肪の蓄積を簡便に推定できる指標であり、メタボリックシンドロームの診断基準にも用いられています。解答5:血中トリグリセライド値(〇正解)
→ 血中トリグリセライド値は、内臓脂肪の蓄積と関連があり、メタボリックシンドロームの診断基準にも用いられています。
問題86
介護保険法で定める特定疾病はどれか。 2つ選べ。
1. ウイルス肝炎(viral hepatitis)
2. 脊髄小脳変性症(spinocerebellar degeneration)
3. 閉塞性動脈硬化症 〈ASO〉(arteriosclerosis obliterans)
4. メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)
5. 後天性免疫不全症候群 〈AIDS〉(acquired immunodeficiency syndrome)
解説:
解答1:ウイルス肝炎(×不正解)
→ ウイルス肝炎は、介護保険法における特定疾病には含まれません。
解答2:脊髄小脳変性症(〇正解)
→ 脊髄小脳変性症は、介護保険法における特定疾病に含まれています。
解答3:閉塞性動脈硬化症 〈ASO〉(〇正解)
→ 閉塞性動脈硬化症は、介護保険法における特定疾病に含まれています。
解答4:メタボリックシンドローム(×不正解)
→ メタボリックシンドロームは、介護保険法における特定疾病には含まれません。解答5:後天性免疫不全症候群 〈AIDS〉(×不正解)
→ 後天性免疫不全症候群は、介護保険法における特定疾病には含まれません。
問題87
介護保険法で地域包括支援センターに配置が義務付けられているのはどれか。 2つ選べ。
1. 介護福祉士
2. 社会福祉士
3. 介護支援専門員
4. 精神保健福祉士
5. 主任介護支援専門員
解説:
解答1:介護福祉士(×不正解)
→ 介護福祉士は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている職種ではありません。
解答2:社会福祉士(〇正解)
→ 社会福祉士は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている職種です。
解答3:介護支援専門員(×不正解)
→ 介護支援専門員は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている職種ではありません。
解答4:精神保健福祉士(×不正解)
→ 精神保健福祉士は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている職種ではありません。解答5:主任介護支援専門員(〇正解)
→ 主任介護支援専門員は、地域包括支援センターに配置が義務付けられている職種です。
問題88
高齢者における感覚器の変化の特徴で正しいのはどれか。 2つ選べ。
1. 高音域の聴力が保持される。
2. 痛覚の感受性が低下する。
3. 味覚の閾値が低下する。
4. 暗順応が低下する。
5. 嗅覚は保持される。
解説:
解答1:高音域の聴力が保持される。(×不正解)
→ 高齢者では、一般的に高音域の聴力から低下していきます。
解答2:痛覚の感受性が低下する。(〇正解)
→ 高齢者では、痛覚や温度覚などの感覚が鈍くなる傾向があります。
解答3:味覚の閾値が低下する。(×不正解)
→ 高齢者では、味蕾の減少や唾液分泌の低下により、味覚の閾値が上昇(味を感じにくくなる)します。
解答4:暗順応が低下する。(〇正解)
→ 高齢者では、水晶体の混濁や瞳孔の縮小などにより、暗い場所で目が慣れるまでの時間が長くなる(暗順応の低下)傾向があります。解答5:嗅覚は保持される。(×不正解)
→ 高齢者では、嗅細胞の減少や嗅神経の機能低下により、嗅覚が低下する傾向があります。
問題89
子どもの成長・発達で正しいのはどれか。2つ選べ。
1. 基本的な運動発達は末梢から中枢へ向かう。
2. 発達の臨界期は身体の各部位によって異なる。
3. 成長とは身体の機能が質的に変化することである。
4. 新生児期の成長・発達は環境よりも遺伝の影響が大きい。
5. 乳幼児期の脳神経系の発達は学童期と比べゆるやかである。
解説:
解答1:基本的な運動発達は末梢から中枢へ向かう。(×不正解)
→ 基本的な運動発達は、中枢から末梢へ向かう(頭部から足部へ、体幹から四肢へ)のが一般的です。
解答2:発達の臨界期は身体の各部位によって異なる。(〇正解)
→ 発達の臨界期とは、特定の機能や能力が最も発達しやすい時期のことで、視覚、聴覚、言語など、身体の各部位によって異なります。
解答3:成長とは身体の機能が質的に変化することである。(×不正解)
→ 成長とは、身体の大きさや量が増加することであり、質的な変化は発達と言います。
解答4:新生児期の成長・発達は環境よりも遺伝の影響が大きい。(〇正解)
→ 新生児期は、遺伝的な要因によってある程度の成長・発達のパターンが決まります。解答5:乳幼児期の脳神経系の発達は学童期と比べゆるやかである。(×不正解)
→ 乳幼児期は、脳神経系が最も急速に発達する時期であり、学童期と比べると非常に活発です。
問題90
身長160 cm.60 kg(BMI) を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、 小数点以下第2位を四捨五入すること。
解説:
BMI = 体重(kg) ÷ (身長(m) × 身長(m)) で計算します。
この問題では、身長160cm = 1.6m、体重60kgなので、
BMI = 60 ÷ (1.6 × 1.6) = 23.4375
小数点以下第2位を四捨五入すると、23.4 となります。
次の文を読み 91~93 の問いに答えよ。
A さん (88 歳、男性) は妻 (82歳)と2人で暮らしている。 息子2人は独立して生活している。要介護度は5で、エアマットレスを使用している。 食事は妻の介助で1日1回ペースト食を食べているがむせることもあり、 食事が全くとれない日もある。 排泄はオムツを使用し、 毎日訪問介護サービスを利用して、オムツ交換と陰部洗浄を受けている。 訪問看護は週3回利用している。 Aさんは妻が話しかけると返事はするが自発的な会話はない。 着替えをするときに上肢を動かすと苦痛表情がある。
問題91
A さんの家族への助言で適切なのはどれか。
1. 体位変換を2時間ごとに行う。
2. 関節可動域訓練を1週間に1回行う。
3. ペースト食を食べる回数を1日3回にする。
4. 食事を摂取できないときにも口腔ケアを実施する。
解説:
解答1:体位変換を2時間ごとに行う。(×不正解)
→ 体圧分散のために体位変換は重要ですが、Aさんの状態(要介護5、エアマットレス使用)を考えると、2時間ごとは頻回すぎる可能性があります。褥瘡のリスクなどを考慮し、医師や看護師と相談して適切な間隔を決定することが重要です。
解答2:関節可動域訓練を1週間に1回行う。(×不正解)
→ 関節可動域訓練は、関節の拘縮を予防するために重要ですが、Aさんの状態(上肢を動かすと苦痛表情がある)から、1週間に1回では十分な効果が得られない可能性があります。毎日、または、複数回行うことが望ましいですが、疼痛に配慮が必要です。
解答3:ペースト食を食べる回数を1日3回にする。(×不正解)
→ Aさんは、むせることや食事が全くとれない日もあることから、無理に食事回数を増やすことは誤嚥のリスクを高める可能性があります。
解答4:食事を摂取できないときにも口腔ケアを実施する。(〇正解)
→ 食事が摂取できないときでも、口腔内を清潔に保つことは、口腔内の細菌繁殖を抑え、誤嚥性肺炎を予防するために重要です。
問題92
2か月後、Aさんは食事を口から食べることができなくなり、かかりつけの医師から家族へ、そろそろ看取りの時期であり、看取りの場所を決めるように説明があった。 息子たちから「父が長年住んだ家で最期まで過ごさせてあげたいと母とも話していますが、 母が1人でみるのは大変だと思い心配しています」 と訪問看護師に話があった。このときの訪問看護師の対応で適切なのはどれか。
1. 看取りまでの支援体制を説明する。
2. 血圧が低下したら入院が必要なことを説明する。
3. 決定した看取りの場所は変更できないことを伝える。
4. かかりつけの医師と訪問看護師で治療方法を決定する。
解説:
解答1:看取りまでの支援体制を説明する。(〇正解)
→ 家族が在宅での看取りを希望している場合、訪問看護師は、在宅で利用できるサービス(訪問看護、訪問介護、訪問診療など)や、緊急時の連絡体制、医療機器のサポートなど、具体的な支援体制について詳しく説明することが重要です。
解答2:血圧が低下したら入院が必要なことを説明する。(×不正解)
→ 在宅での看取りを希望している場合、血圧低下などの症状が出現しても、必ずしも入院が必要とは限りません。症状緩和のためのケアや、家族の意向を尊重した対応を検討する必要があります。
解答3:決定した看取りの場所は変更できないことを伝える。(×不正解)
→ 看取りの場所は、患者や家族の意向、病状の変化、介護者の状況などによって変更される可能性があります。決定した場所が絶対に変更できないということはありません。
解答4:かかりつけの医師と訪問看護師で治療方法を決定する。(×不正解)
→ 治療方法の決定は、医師が行いますが、患者や家族の意向を尊重し、共同で意思決定を行うことが重要です。
問題93
Aさんは声をかけても返答したり目を開けたりすることもなく、穏やかな表情で眠っていることが多くなった。 Aさんの妻は 「夫は話しかけても何も答えてくれないので、どうしたらよいか分かりません」と訪問看護師に話した。このときの妻への声かけで適切なのはどれか。
1. 「Aさんの体にできるだけ触れるようにしましょう」
2. 「Aさんは苦痛を感じることはありません」
3. 「Aさんの好きだった音楽をかけてみましょう」
4. 「介護疲れが出ないように、自分の時間を大切にしましょう」
解説:
解答1:「Aさんの体にできるだけ触れるようにしましょう」(×不正解)
→ 触れることはコミュニケーションの一つの手段ですが、Aさんの状態(返答がなく、目を開けない)から、触れることだけが有効とは限りません。
解答2:「Aさんは苦痛を感じることはありません」(×不正解)
→ 意識レベルが低下している場合でも、苦痛を感じていないとは限りません。断定的な言い方は避けるべきです。
解答3:「Aさんの好きだった音楽をかけてみましょう」(〇正解)
→ 聴覚は、意識レベルが低下している状態でも比較的保たれている感覚です。Aさんの好きだった音楽をかけることは、Aさんの心を安らかにし、妻とのつながりを感じさせる可能性があります。
解答4:「介護疲れが出ないように、自分の時間を大切にしましょう」(×不正解)
→ 介護者のケアも重要ですが、まずはAさんとのコミュニケーションを促すことが優先されます。
次の文を読み 94~96 の問いに答えよ。
Bさん (78歳、女性) は特別養護老人ホームに入所している。 Bさんは2年前から認知症と診断され、 昼夜逆転があるため、日中はほとんどベッドで過ごしている。 食事は全量介助が必要で、 食事中はむせ込みがみられる。 傾眠傾向で、 刺激に対しての反応は乏しい。Bさんは介護職が体位変換をした際に、うめき声をあげ、 その後も時々痛みを訴えるようになった。
問題94
Aさんに起こっている可能性が高い合併症はどれか。
1. 低心拍出量症候群 〈LOS〉
2. 心タンポナーデ
3. 肺水腫
4. 無気肺
解説:
解答1:「低心拍出量症候群 〈LOS〉」(×不正解)
→ 低心拍出量症候群の特徴は、末梢冷感、尿量減少、低血圧などです。Aさんの場合、血圧は126/62mmHgと正常範囲内で、末梢冷感もなく、左室駆出率も45%と極端な低下はみられません。よって、低心拍出量症候群の可能性は低いと考えられます。
解答2:「心タンポナーデ」(×不正解)
→ 心タンポナーデは心囊液の貯留により心臓が圧迫され、心拍出量が低下する状態です。心エコー検査で「心囊液の貯留なし」と記載されているため、心タンポナーデの可能性は除外できます。
解答3:「肺水腫」(〇正解)
→ Aさんは肺野全体に湿性ラ音を聴取し、漿液性の気道分泌物を認め、胸部エックス線写真では両肺野の広範に透過性の低下があります。これらの所見は肺水腫を示唆しています。また、中心静脈圧が12cmH2Oと上昇していることも循環血液量の増加を示しており、肺水腫の可能性が高いです。手術中の輸液量(2,700mL)に比べて尿量(200mL)が少ないことも体内水分の貯留を示唆しています。
解答4:「無気肺」(×不正解)
→ 無気肺は肺胞の虚脱状態であり、通常は局所的な呼吸音の減弱や消失が特徴です。Aさんの場合、肺野全体に湿性ラ音を聴取しており、胸部エックス線写真でも両肺野の広範に透過性の低下があるため、肺水腫の所見に合致します。また、PaO2が95Torrと酸素化は維持されており、無気肺による著明な低酸素血症は認められません。
問題95
術後2日 Aさんは人工呼吸管理を離脱し、離床が検討されたが中止となった。看護師がAさんの離床中止を判断した指標はどれか。 2つ選べ。
1. ドレーンが留置中である。
2. 安静時の呼吸数が20/分である。
3. 安静時の心拍数が100/分である。
4. 新たな不整脈(心房細動)が発生している。
5. 時間尿量 0.5mL/kg/ 時が3時間持続している。
解説:
解答1:「ドレーンが留置中である。」(×不正解)
→ ドレーン留置中でも、ドレーンの固定が適切で安全が確保されていれば、離床は可能です。ドレーン留置だけでは離床中止の絶対的な理由とはなりません。
解答2:「安静時の呼吸数が20/分である。」(×不正解)
→ 成人の正常呼吸数は12〜20回/分とされており、20回/分は正常範囲の上限です。軽度の頻呼吸であっても、それだけで離床を中止する絶対的な指標とはならないため不適切です。
解答3:「安静時の心拍数が100/分である。」(〇正解)
→ 安静時の心拍数が100回/分以上(頻脈)は、心負荷の増大を示す重要な指標です。特に心筋梗塞後の患者では、心拍数の上昇は心筋酸素需要の増加につながり、心負荷を増大させます。安静時に頻脈を呈している状態での離床は、さらなる心負荷を増大させるリスクがあるため、離床中止の適切な指標となります。
解答4:「新たな不整脈(心房細動)が発生している。」(〇正解)
→ 心房細動などの新たな不整脈の発生は、心臓の機能不全や循環動態の不安定を示唆します。特にCABG術後の患者では、不整脈の発生は術後合併症のリスクとなり、離床による負荷が循環動態をさらに悪化させる可能性があります。心房細動の発生は離床中止の重要な指標となります。解答5:「時間尿量 0.5mL/kg/ 時が3時間持続している。」(×不正解)
→ 時間尿量0.5mL/kg/時は、腎機能が保たれている最低限の尿量とされ、腎機能低下を示す危険な値ではありません。一般的に、尿量減少の基準は0.5mL/kg/時未満が2時間以上持続する場合とされており、この選択肢の状況は基準内であるため、離床中止の絶対的な指標とはなりません。
問題96
術後3日、 心臓リハビリテーションが開始された。Aさんは「傷の痛みはありますが、血管をつないだから安心ですね。 落ちついたら、家族と温泉に行きたいです」と看護師に話した。Aさんの生活指導で適切なのはどれか。
1. 「肩までお湯に入りましょう」
2. 「お湯の温度は43°C以上にしましょう」
3. 「食後1時間以上経過してから入浴しましょう」
4.「心筋梗塞による心不全があるので入浴は控えましょう」
解説:
解答1:「肩までお湯に入りましょう」(×不正解)
→ 心筋梗塞後の患者さんは、特に回復初期には入浴時の水圧による心臓への負担を考慮する必要があります。肩までお湯に浸かることで胸部に水圧がかかり、静脈還流量が増加して心臓への負担が大きくなります。そのため、みぞおち(剣状突起)あたりまでの半身浴が推奨されます。
解答2:「お湯の温度は43°C以上にしましょう」(×不正解)
→ 高温の湯は血管を拡張させ、血圧低下や心拍数増加を引き起こし、心臓への負担を増大させます。心筋梗塞後の患者には、38〜40°C程度のぬるめの温度が適しており、43°C以上の高温浴は避けるべきです。
解答3:「食後1時間以上経過してから入浴しましょう」(〇正解)
→ 食後は消化のために内臓に血液が集中するため、入浴による末梢血管の拡張と合わさると、相対的に心臓への血液供給が不足する可能性があります。特に心筋梗塞後の患者では、心筋への血流確保が重要なため、食後すぐの入浴は避け、消化活動が落ち着く食後1時間以上経過してからの入浴が適切です。解答4:「心筋梗塞による心不全があるので入浴は控えましょう」(×不正解)
→ 心筋梗塞後であっても、適切な条件下での入浴は必ずしも禁忌ではありません。問題文では「心臓リハビリテーションが開始された」とあり、Aさんの状態はある程度安定していると考えられます。また、心不全の重症度や状態によって入浴の可否が決まりますが、症例文からは重度の心不全を示す所見はなく、入浴を完全に禁止する根拠に欠けます。適切な条件(ぬるめの温度、半身浴、短時間など)を守れば入浴は可能であり、QOL維持の観点からも重要です。
Aさん(57歳、男性) は、 芳香族アミンを扱う化学工場に39年勤務している。
現病歴:ここ数か月で次第に尿の色が濃くなった。 いきまないと排尿できなくなり、
泌尿器科を受診し、採血および尿検査を受けた。
既往歴: 特記すべき点なし。
生活歴: 喫煙 40本 / 日を36年間、焼酎120mLの飲酒をほぼ毎日、20年間続けている。
身体所見:顔面、四肢に浮腫なし、 黒色便なし、 血便なし。
検査所見:赤血球 308万/μL、Hb 9.9g/dL、血清アルブミン4.2g/dL、血清総ビリルビン 0.2mg/dL、 血糖102mg/dL、 ヘモグロビン Alc〈HbA1c〉 5.4%。
問題97
A さんの尿所見で予測されるのはどれか。
1. 蛋白尿
2. 尿糖陽性
3. 肉眼的血尿
4. ビリルビン尿
解説:
解答1:「蛋白尿」(×不正解)
→ 蛋白尿は主に腎疾患の所見です。Aさんの症例からは腎疾患を示唆する所見(浮腫、血清アルブミン低値など)は認められません。また、芳香族アミンによる膀胱がんは蛋白尿よりも血尿を引き起こすことが一般的です。
解答2:「尿糖陽性」(×不正解)
→ 尿糖陽性は血糖値が高い場合に認められます。Aさんの血糖値は102mg/dL、HbA1cは5.4%といずれも正常範囲内であり、糖尿病の所見はみられません。したがって、尿糖陽性は予測されません。
解答3:「肉眼的血尿」(〇正解)
→ Aさんは芳香族アミンを扱う化学工場に長期間(39年)勤務しており、芳香族アミンは膀胱がんの職業性危険因子として知られています。また、喫煙も膀胱がんのリスク因子です。「ここ数か月で次第に尿の色が濃くなった」という症状は肉眼的血尿を示唆します。さらに、「いきまないと排尿できなくなり」という症状は膀胱出口閉塞や膀胱内腫瘍による排尿障害を示唆します。これらの臨床像と危険因子から、膀胱がんによる肉眼的血尿が最も考えられます。
解答4:「ビリルビン尿」(×不正解)
→ ビリルビン尿は主に肝胆道系疾患で認められます。Aさんの血清総ビリルビン値は0.2mg/dLと正常範囲内であり、肝胆道系疾患を示唆する所見はありません。また、黄疸や黒色便などの症状も認められないことから、ビリルビン尿は予測されません。
Aさんは膀胱全摘出術および回腸導管造設術を受けることになった。
Aさんへの術前の説明で正しいのはどれか。
1. 「浴槽のお湯に入ることはできません」
2. 「水分の摂り過ぎに注意が必要です」
3. 「肛門から尿が出ます」
4.「尿意は感じません」
解説:
解答1:「浴槽のお湯に入ることはできません」(×不正解)
→ 回腸導管造設術後は、ストーマ装具を装着していれば入浴は可能です。ストーマ装具は防水性があり、適切に装着されていれば浴槽に入ることができます。術創が治癒し、医師から許可が出れば入浴制限はありません。
解答2:「水分の摂り過ぎに注意が必要です」(×不正解)
→ 回腸導管造設術後は、むしろ十分な水分摂取が推奨されます。回腸導管は尿を常に排出するため、十分な水分摂取により尿路感染症や結石形成のリスクを低減します。また、回腸粘膜からの電解質吸収を減らし、代謝性アシドーシスを予防するためにも水分摂取は重要です。
解答3:「肛門から尿が出ます」(×不正解)
→ 回腸導管造設術では、尿管を回腸の一部に吻合し、回腸の一端を腹壁に開口してストーマを作ります。尿は回腸導管を通してストーマから排出され、肛門からは排出されません。
解答4:「尿意は感じません」(〇正解)
→ 膀胱全摘出術により膀胱が完全に除去されるため、尿意を感じる神経受容体がなくなります。また、回腸導管には括約筋がなく、尿は常時ストーマから排出されるため、尿意を感じることはありません。このことは患者さんの術前の理解として重要であり、尿意を感じなくなることが生理的機能の変化として正しく説明されます。
Aさんは術後から、 これまでにはなかった勃起障害が出現した。 Aさんのテストステロン値は 13.5pg/mL (50歳代の基準値:4.6~19.6pg/mL)であった。Aさんの勃起不全の原因で考えられるのはどれか。
1. 性ホルモン分泌の低下
2. 神経損傷
3. 糖尿病
4. 喫煙
解説:
解答1:「性ホルモン分泌の低下」(×不正解)
→ テストステロン値は13.5pg/mL(基準値:4.6~19.6pg/mL)と正常範囲内であり、性ホルモン分泌の低下は認められません。テストステロン低下による勃起障害は、性欲減退などの症状を伴うことが多いですが、この症例では術後から急に勃起障害が出現していることから、ホルモン性の原因は考えにくいです。
解答2:「神経損傷」(〇正解)
→ 膀胱全摘出術では、骨盤内の手術操作により勃起神経(骨盤内自律神経叢の海綿体神経)を損傷する可能性があります。特に男性の場合、膀胱は前立腺と近接しており、膀胱がんの進行状態によっては前立腺も同時に切除することがあります。これにより、勃起に関わる神経が損傷し、術後に勃起障害が出現することが多く知られています。Aさんの場合、術前にはなかった勃起障害が術後から出現したことから、手術による神経損傷が最も考えられる原因です。
解答3:「糖尿病」(×不正解)
→ 糖尿病は血管障害や神経障害を引き起こし、勃起障害の原因となることがありますが、Aさんの血糖値は102mg/dL、HbA1cは5.4%と正常範囲内であり、糖尿病の所見は認められません。また、糖尿病による勃起障害は通常、緩徐に進行するものであり、術後から急に出現した勃起障害の原因としては考えにくいです。
解答4:「喫煙」(×不正解)
→ 喫煙は血管内皮機能障害や動脈硬化を促進し、長期的には勃起障害のリスク因子となります。Aさんは40本/日を36年間という重度の喫煙歴がありますが、術前には勃起障害がなく、術後から急に出現したことから、喫煙が直接の原因とは考えにくいです。喫煙による勃起障害は通常、長期間かけて徐々に進行するものであり、急性発症の勃起障害の原因としては適切ではありません。
次の文を読み 100~102の問いに答えよ。
Aさん (80歳、女性)は、アパートの1階に1人で暮らしている。 半年前に軽度のAlzheimer〈アルツハイマー〉型認知症と診断され、抗認知症薬の内服治療を開始した。 要支援2の認定を受けている。Aさんが屋内でぐったりしているのを訪問した近所の人が発見し、救急搬送された。来院時のバイタルサインは、 体温 36.5°C、 呼吸数 20/分、 脈拍92/分、 血圧
130/82 mmHgで、皮膚に軽度の発汗がみられた。 頭痛や吐き気はなかった。看護師がAさんに状況を聞くと、 最近は食欲がなく、 食べたり飲んだりしていなかったし、昨日は排尿回数も普段より少なかったと話した。
問題100
このときに看護師が追加で収集する情報で優先度が高いのはどれか。
1. 睡眠状況
2. 口渇の有無
3. ADLの状況
4. 抗認知症薬の内服状況
解説:
解答1:「睡眠状況」(×不正解)
→ 睡眠状況は患者の全体的な健康状態を把握する上で重要ですが、現在の緊急性の高い症状(ぐったりしている状態)の原因特定には、脱水状態の評価がより優先されます。睡眠障害は認知症患者によく見られますが、急性期の対応としての優先度は低いです。
解答2:「口渇の有無」(〇正解)
→ Aさんは「最近は食欲がなく、食べたり飲んだりしていなかった」「昨日は排尿回数も普段より少なかった」と話しており、脱水状態が疑われます。口渇は脱水の重要な症状であり、脱水の程度を評価するために優先して確認すべき情報です。高齢者は脱水に陥りやすく、また認知症患者は自覚症状を適切に表現できない場合があるため、口渇の有無は客観的な脱水評価の指標として重要です。
解答3:「ADLの状況」(×不正解)
→ ADL(日常生活動作)の状況は、患者の自立度や介護必要度を評価する上で重要ですが、現在の急性症状(ぐったりしている状態)への対応としては優先度が低いです。ADL評価は、急性期対応後のケアプラン立案時に重要となります。
解答4:「抗認知症薬の内服状況」(×不正解)
→ 抗認知症薬の内服状況も重要な情報ですが、Aさんの現在の症状(ぐったりしている状態)は、食事・水分摂取不足による脱水が主な原因と考えられます。抗認知症薬の副作用や内服状況の確認は必要ですが、脱水状態の評価と比較すると優先度は低いです。
Aさんは、経過を観察するため入院となった。 入院2日、 Aさんの全身状態は改善し、食事が開始された。 Aさんは歩行時にふらつきがあるため、 看護師が見守ることになった。 看護師はベッドから離れるときは、ナースコールを押すように
Aさんに説明した。 そのときAさんは「忘れずにできるかしら」と呟いた。 しばらくすると、Aさんが1人で移動しているところを看護師が発見した。Aさんへの対応で適切なのはどれか。
1. ヒッププロテクターを使用する。
2. ベッドサイドに車椅子を設置する。
3. ナースコールが目立つように目印をつける。
4. 爪先が床につくようにベッドの高さを調整する。
解説:
解答1:「ヒッププロテクターを使用する」(×不正解)
→ ヒッププロテクターは転倒時の大腿骨頸部骨折を予防する装具ですが、転倒そのものを予防するものではありません。Aさんの「忘れずにできるかしら」という発言や一人で移動していた行動から、認知機能低下による忘却が問題であり、転倒後の対策よりも転倒予防の対策が優先されるべきです。
解答2:「ベッドサイドに車椅子を設置する」(×不正解)
→ ベッドサイドに車椅子を設置することは、移動手段を提供する意図がありますが、軽度認知症のAさんにとって、車椅子が常に目に入ることで自立歩行を促進してしまう可能性があります。また、車椅子への移乗時にもふらつきがあれば転倒リスクは残ります。認知機能低下によるナースコール使用忘れという根本的な問題解決にはなりません。
解答3:「ナースコールが目立つように目印をつける」(〇正解)
→ Aさんは「忘れずにできるかしら」と発言しており、ナースコールの存在や使用を忘れる可能性があります。ナースコールが目立つように目印をつけることで、視覚的に注意を引き、ナースコールの使用を促すことができます。軽度認知症の患者には環境調整による視覚的手がかりが有効であり、患者の自立性を尊重しながら安全を確保できる方法です。
解答4:「爪先が床につくようにベッドの高さを調整する」(×不正解)
→ ベッドの高さを爪先が床につくように調整することは、ベッドからの立ち上がりを容易にし、移乗時の安全性を高める目的がありますが、Aさんの問題はナースコールの使用忘れであり、ベッドの高さ調整だけでは根本的な解決にはなりません。また、認知症患者が一人で立ち上がりやすい環境を作ることで、むしろ見守りなしでの移動を促進してしまう可能性があります。
入院3日。 Aさんは明日の退院が決まった。 看護師が朝食後に抗認知症薬の配薬に行くと、Aさんが「もう薬の時間ですか」と言った。 また、 自分の病室を間違えることが数回あった。Aさんが退院後の在宅療養を継続するために、 看護師が担当の介護支援専門員へ伝える情報で最も適切なのはどれか。
1. 歩行状態
2. 食事の摂取量
3.入院中の治療内容
4.認知機能障害の出現状況
解説:
解答1:「歩行状態」(×不正解)
→ 歩行状態は在宅療養においては重要な情報ですが、問題文では「歩行時にふらつきがある」ことは入院2日目の状況として既に記載されています。現在のAさんの主な問題は認知機能の変化であり、歩行状態よりも認知機能の変化に関する情報の方が優先度が高いです。
解答2:「食事の摂取量」(×不正解)
→ 食事の摂取量も在宅療養では重要ですが、問題文では入院前の脱水状態からは「全身状態は改善し、食事が開始された」とあり、現在は食事に関する問題よりも認知機能の問題が顕著になっています。また、食事摂取量の情報だけでは、在宅での具体的な支援計画に直接結びつきにくいです。
解答3:「入院中の治療内容」(×不正解)
→ 入院中の治療内容は継続的なケアのために必要な情報ですが、Aさんの場合は「経過を観察するため入院」とあり、特別な治療があったことは示されていません。また、治療内容よりも現在の認知機能の状態に基づいた支援の方が、在宅療養継続には重要です。
解答4:「認知機能障害の出現状況」(〇正解)
→ Aさんは「もう薬の時間ですか」と薬の時間に関する認識の混乱や、「自分の病室を間違えることが数回あった」という場所の見当識障害を示しています。これらは入院前からの軽度認知症が進行している可能性を示唆しています。在宅療養を継続するためには、こうした認知機能障害の出現状況を介護支援専門員に伝え、服薬管理や住環境調整など適切な支援を計画することが最も重要です。特に独居高齢者の場合、認知機能の変化に応じたサービス調整が在宅生活継続の鍵となります。
A君 (12歳、男児)は、肥満を心配した保護者に連れられて来院した。 A君と保護者は、医師から「1日の食事内容を毎日記録し、 1週後に再診してください」と説明された。
既往歴と家族歴: 特記すべきことはない。
生活歴:スナック菓子などの間食を好む。時間があればポータブル型のゲーム機でサッカーゲームばかりして、就寝時刻は毎晩午前0時を過ぎる。A君は、
学校生活は楽しく思っているが朝起きられず遅刻して登校することが多い。 また、運動することが嫌いなため運動の習慣はない。
身体所見:身長153.0cm (標準152.4cm)、 体重 61.7kg (標準44.1kg)。血圧
100/60mmHg。 心音と呼吸音に異常はない。 腹部は平坦、 軟で、肝臓と脾臓を触知しない。
問題103
A君の肥満度(%) に最も近いのはどれか。
1. 25
2. 30
3. 35
4. 40
5. 45
解説:
肥満度(%)の計算式は以下の通りです:
肥満度(%) = (実測体重 - 標準体重) / 標準体重 × 100A君の場合:
実測体重:61.7kg
標準体重:44.1kg肥満度(%) = (61.7 - 44.1) / 44.1 × 100
= 17.6 / 44.1 × 100
≈ 39.9%したがって、A君の肥満度は約40%であり、選択肢4が最も近い値となります。肥満度の判定基準:
20%以上:軽度肥満
30%以上:中等度肥満
50%以上:高度肥満A君は中等度肥満に該当します。
問題104
脂質エネルギー比率 (% エネルギー)に関する看護師の助言で適切なのはどれか。
1.「標準的な目標量である25%程度が良いですよ」
2. 「当面は35% くらいだとストレスがないでしょう」
3. 「その通りです。 0% に近づける努力をしましょう」
4. 「10% 程度で成人になるまで続けるのが効果的です」
5.「脂質は急に減らさず、 野菜の摂取で栄養を補いましょう」
解説:
解答1:「標準的な目標量である25%程度が良いですよ」(〇正解)
→ パンフレットに記載されている学童期の脂質エネルギー比率(20~30%)の中間値である25%は適切な目標です。
解答2:「当面は35% くらいだとストレスがないでしょう」(×不正解)
→ 35%は推奨範囲(20~30%)を超えており、適切ではありません。
解答3:「その通りです。 0% に近づける努力をしましょう」(×不正解)
→ 脂質を極端に制限することは栄養バランスを崩し、健康に悪影響を与える可能性があります。
解答4:「10% 程度で成人になるまで続けるのが効果的です」(×不正解)
→ 10%は推奨範囲(20~30%)を下回っており、長期間続けることは適切ではありません。解答5:「脂質は急に減らさず、 野菜の摂取で栄養を補いましょう」(×不正解)
→ 野菜の摂取は重要ですが、脂質の適切な摂取も必要です。この回答は脂質エネルギー比率に関する直接的な助言になっていません。脂質は必須栄養素であり、成長期の子どもにとって重要です。極端な制限は避け、適切な範囲内で摂取することが大切です。
問題105
看護師の説明で適切なのはどれか。
1.「ゲーム機で遊ぶのを禁止しましょう」
2. 「起床したら朝日を浴びると良いでしょう」
3. 「サッカークラブに所属すると良いでしょう」
4. 「しばらく学校を休ませて自宅で生活リズムを整えましょう」
解説:
解答1:「ゲーム機で遊ぶのを禁止しましょう」(×不正解)
→ 突然の禁止は反発を招く可能性があり、適切ではありません。時間を制限するなど、段階的なアプローチが望ましいです。
解答2:「起床したら朝日を浴びると良いでしょう」(〇正解)
→ 朝日を浴びることは体内時計の調整に効果的で、生活リズムを整えるのに役立ちます。これは比較的取り組みやすく、効果的な方法です。
解答3:「サッカークラブに所属すると良いでしょう」(×不正解)
→ A君は運動が嫌いとされているため、いきなりサッカークラブへの所属を勧めるのは適切ではありません。まずは軽い運動から始めるなど、段階的なアプローチが必要です。
解答4:「しばらく学校を休ませて自宅で生活リズムを整えましょう」(×不正解)
→ 学校を休ませることは、生活リズムを乱す原因となる可能性があります。また、社会性の発達にも悪影響を与える可能性があるため、適切ではありません。生活リズムの改善には、起床時間を一定にし、朝日を浴びることが効果的です。これにより体内時計が調整され、自然な眠気が生まれ、就寝時間も早まる可能性があります。また、この方法は比較的取り組みやすく、A君の生活に大きな変化を強いることなく始められる点でも適切です。
A君 (5歳6か月、男児)は、 二分脊椎(spina bifida)のため、 繰り返し使用できるカテーテルによる間欠的自己導尿を両親が実施している。 現在、間欠的自己導尿は、保育所での実施を含めて1日6回行うよう医師が指示しており、 自宅では両親が導尿している。 A君は下肢の運動機能障害があるが、 自分で車椅子からトイレに移動でき、指先の微細な動きもできる。外来受診の際に母親から「地元の小学校に入学予定です。 小学生になったら自分で
導尿できたほうが良いと聞きました。 Aも間欠的自己導尿をやってみたい、 と言っています。 どのように進めたらよいか分からず、焦っています」と看護師に相談があった。
問題106
母親への説明で、最も適切なのはどれか。
1. 「手順の中で、 A君ができることを段階的に行いましょう」
2. 「手技の失敗を繰り返すことが、A君の自信につながります」
3. 「入学までに、A君が自分で最後までできるようにしましょう」
4. 「最初のステップは、A君がカテーテルの挿入を自分でできることです」
正答:1
解説:
解答1:「手順の中で、 A君ができることを段階的に行いましょう」(〇正解)
→ 発達段階に応じて、できることを増やしていくことが重要です。自立に向けて少しずつ支援を行いましょう。
解答2:「手技の失敗を繰り返すことが、A君の自信につながります」(×不正解)
→ 失敗経験が多すぎると自信を失う可能性があります。成功体験を積み重ねることが大切です。
解答3:「入学までに、A君が自分で最後までできるようにしましょう」(×不正解)
→ 無理な期限を設けるとプレッシャーになり、適切な学習ができなくなる可能性があります。
解答4:「最初のステップは、A君がカテーテルの挿入を自分でできることです」(×不正解)
→ 最初から挿入を行うのではなく、まずは簡単な部分から取り組むのが適切です。
問題107
間欠的自己導尿の実施について A君に伝えることで適切なのはどれか。
1. 「おしっこの出口をきれいにするため外側から内側に向かって拭くよ」
2. 「カテーテルの先はピンセット〈鉗子〉で持つよ」
3. 「カテーテルを入れておしっこが出てきたらその位置でカテーテルを止めるよ」
4. 「おしっこが出なくなったらカテーテルを急いで抜くよ」
解説:
解答1:「おしっこの出口をきれいにするため外側から内側に向かって拭くよ」(×不正解)
→ 男性の場合、尿道口周囲をきれいにする際は内側から外側に向かって拭くのが一般的です。
解答2:「カテーテルの先はピンセット〈鉗子〉で持つよ」(×不正解)
→ カテーテルは清潔な手で直接扱うことが一般的です。
解答3:「カテーテルを入れておしっこが出てきたらその位置でカテーテルを止めるよ」(〇正解)
→ カテーテルが適切な位置に到達したら、尿が排出されるのを待つのが正しい手順です。
解答4:「おしっこが出なくなったらカテーテルを急いで抜くよ」(×不正解)
→ 導尿後、カテーテルはゆっくりと引き抜き、尿の排出を最後まで確認することが重要です。
問題108
外来看護師の対応で最も適切なのはどれか。
1. 導尿の必要性をA君に説明する。
2. 学校での導尿の状況についてA君と話す。
3. 父親に、親が学校に行って導尿を実施するよう伝える。
4. 導尿の手順が書かれた表を渡し、できたところにA君にシールを貼ってもらう。
解説:
解答1:「導尿の必要性をA君に説明する」(×不正解)
→ A君はすでに自己導尿を実施しているため、導尿の必要性を改めて説明するより、現在の状況を確認することが重要です。
解答2:「学校での導尿の状況についてA君と話す」(〇正解)
→ A君の思春期の心理的側面も考慮し、学校での導尿状況を本人と話し合い、実施の有無を確認することが大切です。
解答3:「父親に、親が学校に行って導尿を実施するよう伝える」(×不正解)
→ 小学校高学年になれば、自己管理を促すことが重要です。親が学校に行って導尿を行うのは適切ではありません。
解答4:「導尿の手順が書かれた表を渡し、できたところにA君にシールを貼ってもらう」(×不正解)
→ 11歳のA君には幼児向けの方法ではなく、自立を尊重し、本人の意思を確認しながら支援することが求められます。
次の文を読み 109~111 の問いに答えよ。
A さん(30歳、初産婦) は妊娠39週3日で陣痛発来した。 その後、 陣痛が増強して順調な分娩進行と診断され、入院後に分娩した。Aさんの分娩経過を以下に示す。
2時00分 陣痛周期10分
5時30分 入院
15時 00 分 分娩室入室
15時30分 子宮口全開大
15時40分 自然破水
16時20分 児娩出
16時30分 胎盤娩出
18時30分 帰室
問題109
A さんの分娩所要時間はどれか。
1.13 時間00分
2. 14 時間 20分
3. 14時間30分
4. 16 時間 30分
解説:
分娩所要時間は陣痛発来から児娩出までの時間を指します。陣痛発来:2時00分
児娩出:16時20分16時20分 - 2時00分 = 14時間20分したがって、正しい分娩所要時間は14時間20分です。解答1:13時間00分(×不正解)
→ 計算が間違っています。
解答2:14時間20分(〇正解)
→ 正確な分娩所要時間です。
解答3:14時間30分(×不正解)
→ 10分多く計算しています。
解答4:16時間30分(×不正解)
→ 胎盤娩出までの時間を含めて計算しています。分娩所要時間は児娩出までです。
Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。
1.尿閉である。
2.下腹部痛は異常である。
3.子宮復古が良好である。
4.分娩時異常出血である。
解説:
解答1:尿閉である。(×不正解)
→ 「尿意があり少量の排尿があった」とあるため、尿閉ではありません。
解答2:下腹部痛は異常である。(×不正解)
→ 児への早期授乳後の下腹部痛は、子宮収縮による正常な反応です。
解答3:子宮復古が良好である。(〇正解)
→ 分娩後1時間で子宮底が臍下2横指、2時間後に臍下1横指と上昇しており、硬度も良好です。これは正常な子宮復古の経過を示しています。
解答4:分娩時異常出血である。(×不正解)
→ 分娩直後の出血量300mLは正常範囲内です。分娩後の出血量も少量であり、異常出血とは言えません。
このときに必要なケアはどれか。
1.掛け物を温めたものに交換する。
2.口腔内吸引をする。
3.肛門刺激をする。
4.沐浴をする。
解説:
解答1:掛け物を温めたものに交換する。(〇正解)
→ 児の体温は36.4°Cで正常範囲内ですが、末梢の冷感があります。新生児の体温管理は重要であり、保温のために掛け物を温めたものに交換することが適切なケアです。
解答2:口腔内吸引をする。(×不正解)
→ 呼吸数や心拍数は正常で、チアノーゼも認めないため、口腔内吸引の必要性はありません。
解答3:肛門刺激をする。(×不正解)
→ 出生後2時間で排尿・排便がないのは正常な範囲内です。肛門刺激を行う必要はありません。
解答4:沐浴をする。(×不正解)
→ 出生後2時間では早すぎます。また、胎脂は新生児の皮膚保護に重要な役割を果たすため、すぐに除去する必要はありません。
次の文を読み 112~114 の問いに答えよ。
A さん (21歳、女性、大学生)は、1人で暮らしている。 友人関係のトラブルでうつ状態になり、3か月前から精神科クリニックへの通院を開始した。 頓用の抗不安薬を処方され不安が高まったときに服用していたが、徐々に酩酊や陶酔感を得るために服用するようになった。 最近は指示された抗不安薬の量では酩酊や陶酔感が得られなくなってきたため、数日分の薬を溜めて一度に大量に服用するようになった。 抗不安薬を大量に使用した翌日は大学を休むことが続いていた。
問題112
Aさんの現在の状態はどれか。
1. 急性中毒の状態である。
2. 拘禁反応が出現している。
3. 有害な使用〈乱用〉である。
4. フラッシュバックが出現している。
解説:
解答1:「急性中毒の状態である」(×不正解)
→ 急性中毒とは、一度に過量の薬物を摂取した際に生じる状態を指すが、本問では乱用が継続しているため、慢性的な有害使用のほうが適切な診断となる。
解答2:「拘禁反応が出現している」(×不正解)
→ 拘禁反応は、閉鎖的な環境に長期間拘束された場合に出現する心理的反応であり、本ケースには該当しない。
解答3:「有害な使用〈乱用〉である」(〇正解)
→ 抗不安薬を指示とは異なる目的で使用し、生活に支障をきたしているため、有害使用(乱用)に該当する。
解答4:「フラッシュバックが出現している」(×不正解)
→ フラッシュバックは、過去の薬物使用経験が原因で突然幻覚や妄想が再燃する現象であり、本ケースには見られない。
問題113
入院後48時間から72時間にかけてAさんに出現する可能性が高い症状はどれか。
1. 幻覚
2. 感情鈍麻
3. 思考途絶
4. 妄想気分
解説:
解答1:「幻覚」(〇正解)
→ 抗不安薬の急激な中止により、離脱症状として幻覚やせん妄が出現する可能性がある。
解答2:「感情鈍麻」(×不正解)
→ 感情鈍麻は統合失調症やうつ病などで見られる症状であり、急性期の離脱症状とは関連が薄い。
解答3:「思考途絶」(×不正解)
→ 思考途絶は統合失調症の症状であり、本ケースでは該当しない。
解答4:「妄想気分」(×不正解)
→ 妄想気分は統合失調症や妄想性障害の前駆症状として見られることがあるが、本ケースの症状とは異なる。
問題114
Aさんに利用を勧める社会資源はどれか。
1. 行動援護
2. 同行援護
3. セルフヘルプグループ
4. 共同生活援助 <グループホーム>
解説:
解答1:「行動援護」(×不正解)
→ 行動援護は知的障害や精神障害のある人が外出時に支援を受ける制度であり、本ケースには適用されない。
解答2:「同行援護」(×不正解)
→ 同行援護は視覚障害者を対象とした外出支援サービスであり、本ケースには適用されない。
解答3:「セルフヘルプグループ」(〇正解)
→ 依存症からの回復には、同じ経験を持つ人々との交流が効果的であり、セルフヘルプグループ(自助グループ)の参加が推奨される。
解答4:「共同生活援助 <グループホーム>」(×不正解)
→ 共同生活援助(グループホーム)は、日常生活に支援が必要な障害者が共同生活を行う施設であり、本ケースには適していない。
次の文を読み 115~117 の問いに答えよ。
Aさん(65歳、女性) は、夫と2人で暮らしている。 友人の死去後、 食事量が減り、1か月前から気分の落ち込みが強くなった。 夫が積極的に散歩に誘っても、 Aさんは 「体がだるい」「何をしても意味がない」と話し、寝つきも悪くなり、 日中ほとんどの時間を臥床して過ごすようになった。 心配した夫に連れられて精神科外来を受診したところ、うつ病と診断され、選択的セロトニン再取り込み阻害薬 〈SSRI> と不眠時の睡眠薬が処方された。 夫から精神科外来の看護師に「日常生活で気を付けることはありますか」と質問があった。
問題115
次の文を読み、Aさんと夫に看護師が説明する内容で適切なのはどれか。
1. 「毎朝運動をする習慣を作りましょう」
2. 「食欲がないときは食事の回数を減らしましょう」
3. 「薬の飲み始めは吐き気や下痢に注意してください」
4. 「眠れないときは睡眠薬を早朝に飲んで構いません」
解説:
解答1:「毎朝運動をする習慣を作りましょう」(×不正解)
→ Aさんはうつ病と診断され、薬物療法が開始された段階では、まず薬の副作用などに注意を促すことが優先されます。
解答2:「食欲がないときは食事の回数を減らしましょう」(×不正解)
→ うつ病では食欲不振が見られることがありますが、栄養管理の観点からは、少量多頻度の食事が推奨され、回数を減らす指導は不適切です。
解答3:「薬の飲み始めは吐き気や下痢に注意してください」(〇正解)
→ SSRIは服用開始初期に吐き気や下痢などの消化器症状を引き起こすことがあるため、これらの副作用に注意するよう指導することが重要です。
解答4:「眠れないときは睡眠薬を早朝に飲んで構いません」(×不正解)
→ 睡眠薬は就寝前に服用するのが一般的であり、早朝の服用は効果が期待できず、日中の副作用を引き起こす可能性があるため不適切です。
問題116
最初の治療によりAさんは改善し、夫との散歩や料理を楽しむようになったが、受診終了から1年後に再び家にこもりがちとなった。夫の話では、急に料理の作り方や人の名前を何度も確認するなど、家事に時間がかかるようになり、ささいなことで怒ったり急に泣き出すことが増えた。再受診の結果、頭部MRI検査で多発性脳梗塞が認められ、血管性認知症と診断された。Aさんは「自分が認知症なんて信じられない。もう治らない」と話している。
Aさんに認められる症状はどれか。<2つ選べ>
1. 感情失禁
2. 観念奔逸
3. 強迫行為
4. 心気妄想
5. 実行機能障害
解説:
解答1:「感情失禁」(〇正解)
→ 血管性認知症では、脳血管障害により前頭葉やその関連回路の機能が低下し、感情のコントロールが困難となり、感情の爆発や制御困難な表出(感情失禁)が見られることがあります。
解答2:「観念奔逸」(×不正解)
→ 観念奔逸は主に気分障害や統合失調症でみられる思考の飛躍が特徴であり、血管性認知症の代表的な症状ではありません。
解答3:「強迫行為」(×不正解)
→ 強迫行為は強迫性障害の特徴であり、血管性認知症に特有の症状ではありません。
解答4:「心気妄想」(×不正解)
→ 心気妄想は自身の健康に関する過剰な不安や妄想であり、血管性認知症の主要な症状とは考えられていません。解答5:「実行機能障害」(〇正解)
→ 血管性認知症では、計画や遂行、判断力などの実行機能が低下し、日常生活の家事や複雑な動作に支障をきたすことが顕著です。
問題117
Aさんは要介護2の認定を受け、介護サービスを検討することになった。体調が良いときは夫の料理を手伝ったり散歩に出かけたりしているが、入浴は夫の介助が必要です。また、Aさんは「人が多い場所は苦手です。家の近くで好きなときに通えたり、家に来てもらえると安心です」と希望しています。
Aさんに紹介するサービスで適切なのはどれか。
1. 小規模多機能型居宅介護
2. 認知症対応型通所介護
3. 自立訓練
4. 療養介護
解説:
解答1:「小規模多機能型居宅介護」(〇正解)
→ 小規模多機能型居宅介護は、在宅での生活支援、通所、訪問の各サービスを柔軟に組み合わせることが可能で、利用者の自宅近くで、かつ少人数制の落ち着いた環境でサービスを受けられるため、Aさんの希望に適合します。
解答2:「認知症対応型通所介護」(×不正解)
→ 認知症対応型通所介護は認知症の方を対象としたサービスですが、施設内での利用となるため、Aさんが苦手とする「人が多い場所」という点で希望に沿わない可能性があります。
解答3:「自立訓練」(×不正解)
→ 自立訓練は機能回復を目的としたリハビリテーション的なサービスであり、Aさんの介護支援のニーズとは一致しません。
解答4:「療養介護」(×不正解)
→ 療養介護は重度の疾病状態や入院中の方を対象としたサービスであり、現状のAさんには適合しません。
次の文を読み 118~120の問いに答えよ。
午後1時に震度6強の地震が発生し、 避難所が開設された。 地震発生の2時間後、避難所に救護所が設置され、近隣の病院から医療救護班が派遣された。 医療救護班が複数の被災者に対応するなか、 A さん (54歳 男性) が搬送されてきた。 Aさんは右大腿部に4cmの切創があり出血部位をタオルで押さえている。 すぐに看護師が切創部の処置を介助することになった。
問題118
次の文を読み、看護師が切創部の処置を介助する際の感染予防対策で正しいのはどれか。
1. ゴーグルを装着して処置の介助を行う。
2. 使い捨て手袋を1時間ごとに交換する。
3. 処置を行う前に破傷風のワクチンを受ける。
4. 看護師が着用するガウンにAさん用と記載しAさん専用にする。
解説:
解答1:「ゴーグルを装着して処置の介助を行う。」(×不正解)
→ ゴーグルは、血液などの飛沫や飛散が予想される場合に着用するものであり、今回の小規模な切創処置では必須ではありません。
解答2:「使い捨て手袋を1時間ごとに交換する。」(×不正解)
→ 使い捨て手袋は、処置ごとや汚染時に交換すべきであり、時間単位での交換は感染予防の基本とはなりません。
解答3:「処置を行う前に破傷風のワクチンを受ける。」(×不正解)
→ 破傷風ワクチンは患者への感染リスク対策として検討されるもので、看護師自身の感染予防対策として直前に接種することは通常行われません。
解答4:「看護師が着用するガウンにAさん用と記載しAさん専用にする。」(〇正解)
→ 災害現場や多くの被災者を受け入れる状況では、複数の患者間での交差感染を防ぐため、使用する個人防護具(PPE)を患者ごとに区別することが有効です。
問題119
発災翌日、避難所に150名ほどの避難者が登録されている状況で、医療救護班の医師から「この数日間で病院でインフルエンザの患者が増えている。避難所でも注意したほうがよい」と助言があった。看護師は避難所運営者と連携し、集団発生防止策を立てることになった。午前9時現在、避難者の中には発熱や咳などの有症者は認められていない。
避難所での集団感染を防止する対策として適切なのはどれか。
1. 避難所の床を毎日アルコールで清掃する。
2. 共同のトイレにあるタオルを毎日交換する。
3. 避難所の居住スペースの換気を1日1回行う。
4. 避難者に入所時からの体調を健康チェック表に記載してもらう。
解説:
解答1:「避難所の床を毎日アルコールで清掃する。」(×不正解)
→ 床は直接の接触面としてウイルス伝播の主要な経路とは考えにくいため、重点対策とはなりません。
解答2:「共同のトイレにあるタオルを毎日交換する。」(〇正解)
→ 共同で使用するタオルは、ウイルスや細菌が付着しやすい物品であり、定期的に交換することで交差感染のリスクを低減できます。
解答3:「避難所の居住スペースの換気を1日1回行う。」(×不正解)
→ 良好な換気は重要ですが、1日1回では不十分であり、より頻繁な換気が望ましいとされています。
解答4:「避難者に入所時からの体調を健康チェック表に記載してもらう。」(×不正解)
→ 健康チェック表は監視・評価の手段であり、直接的な集団感染防止策としては効果が限定的です。
問題120
発災3日後、Bさん(72歳 男性)が救護所を訪れた。地震で自宅が半壊したため、妻と共に避難所で生活しているBさんは、左胸部から左腋窩にかけてピリピリとした持続性の痛みを訴えている。看護師の観察では、痛みの部位に沿って水疱を伴う浮腫性紅斑が認められた。体温36.5℃、呼吸数12/分、脈拍66/分、血圧126/80 mmHgである。看護師がBさんに対して行う観察で、優先度が高いものはどれか。
1. 痛みの持続時間を問診する。
2. 1週間の睡眠状況を問診する。
3. 痛みが限局しているか触診する。
4. 全身性の浮腫性紅斑か視診する。
5. ステロイド薬の長期投与の有無を問診する。
解説:
解答1:「痛みの持続時間を問診する。」(×不正解)
→ 痛みの持続時間は評価項目のひとつですが、今回の症例では他の所見の評価に比べて優先度は低いです。
解答2:「1週間の睡眠状況を問診する。」(×不正解)
→ 睡眠状況は全体的な健康状態の把握には有用ですが、急性の皮膚症状の評価としては優先度が低いです。
解答3:「痛みが限局しているか触診する。」(×不正解)
→ 限局性の評価も重要ですが、全身への波及の有無を確認することがより優先されます。
解答4:「全身性の浮腫性紅斑か視診する。」(〇正解)
→ 水疱を伴う皮疹が局所性のものか、全身性に広がっているかは、後天性のウイルス感染(例:ヘルペス・ゾスターの散発型)や免疫状態の指標となるため、まず全身の観察で範囲を確認することが最優先です。解答5:「ステロイド薬の長期投与の有無を問診する。」(×不正解)
→ 免疫抑制状態の有無は重要な情報ですが、現時点での皮膚症状の広がりを確認する前に、全身性の有無の評価が優先されます。