
<領域: 介護> コミュニケーション技術
問題76
A さん (80歳, 男性, 要介護3) は, 介護老人福祉施設に入所している。 アルツハイマー型認知症 (dementia of the Alzheimer's type) が進行している。 ある日の昼食時,介護福祉職がAさんに配膳すると, 「お金はこれしかありません。 足りますか」と小さくたたまれたティッシュペーパーを渡してきた。 このときのAさんに対する介護福祉職の対応として, 最も適切なものを1つ選びなさい。
1 ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。
2 ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。
3 飲食店での会計の場面であると認識して対応する。
4 食事に集中するように促す。
5 小遣いの増額を家族に相談する。
解説:Aさんはアルツハイマー型認知症が進行しており、食事の場面を「飲食店での会計」と誤認している(失認や見当識障害の可能性がある)状況です。このような場合、本人の世界観を尊重しつつ、安心できる対応をすることが大切です。各解答の解説は以下になります。
解答1:ティッシュペーパーは、口の周りが汚れたら拭くものだと伝える。 → ✕(不適切)
・認知症の症状による誤認識(ティッシュをお金だと思い込む)を否定することは、Aさんの混乱を深める原因になる。
・Aさんの世界を尊重する方が、安心感を与えられる。
解答2:ティッシュペーパーが不足しているサインとして受け止める。 → ✕(不適切)
・Aさんの言動は、ティッシュが不足しているという意味ではなく、お金を払おうとしている認知症の症状の表れ。
・ティッシュを補充することでは問題は解決しない。
解答3:飲食店での会計の場面であると認識して対応する。 → 〇(正解)
・Aさんの世界観を尊重し、
「お支払いは済んでいるので、大丈夫ですよ。」
「今日はご馳走になりました。」 などと、穏やかに対応するのが適切。
・これにより、Aさんが安心して食事をとることができる。
解答4:食事に集中するように促す。 → ✕(不適切)
・Aさんが抱えている不安を無視する対応になってしまう。
・まずはAさんの気持ちに寄り添い、安心してもらうことが大切。
解答5:小遣いの増額を家族に相談する。 → ✕(不適切)
・Aさんが本当にお金を求めているわけではなく、認知症の症状によるもの。
・小遣いを増やしても、このような行動は繰り返される可能性が高く、解決にはならない。
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