
<領域: 介護> 介護の基本
問題66
A さん (75歳, 女性) は, 3か月前に,血管性認知症 (vascular dementia) を発症し、軽度の左片麻痺(ひだりかたまひ)で杖歩行(つえほこう)となり, 要介護3と認定された。 Aさんは、料理が大好きで、 娘と一緒に食事を作ることを楽しみに生活していた。 1か月前から認知症 (dementia) が進行し, ユニット型介護老人福祉施設に入所した。 Aさんは夕方になると,「ご飯の支度をしないといけないから帰ります」と言いながら、興奮して歩き回る様子がみられるようになった。 Aさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 居室に鍵をかけて, 自室で過ごしてもらう。
2 介護福祉職と一緒に,夕食の準備をしてもらう。
3 杖(つえ)を預かり, 低めの丸椅子に座ってもらう。
4 介護福祉職の判断で, 向精神薬を服用してもらう。
5 ここがAさんの自宅であることを理解してもらう。
解説:Aさんは血管性認知症を発症し、夕方になると「ご飯の支度をしないといけない」と興奮して歩き回る(= 夕暮れ症候群・ソワソワした行動が出現)。認知症の進行に伴い、今までの生活習慣や役割を継続しようとする行動がみられる。このような場合、本人の思いを尊重しながら安全に活動できる環境を提供することが重要。各解答の解説は以下になります。
解答1:居室に鍵をかけて、自室で過ごしてもらう。 → ✕(不適切)
無理に閉じ込めることは身体拘束にあたり、認知症の方の不安を増大させる可能性がある。
本人の行動の理由を理解し、安全に過ごせるような代替案を考えることが大切。
解答2:介護福祉職と一緒に、夕食の準備をしてもらう。 → 〇(正解)
「料理が好きで、食事作りを楽しんでいた」というAさんの生活歴を尊重し、本人の役割を生かす対応ができる。
認知症の方にとって、なじみのある行動を続けることは安心感につながり、混乱を軽減する。
本人ができる範囲で安全に参加できるように配慮することが重要。
解答3:杖を預かり、低めの丸椅子に座ってもらう。 → ✕(不適切)
杖を取り上げると移動の自由を奪い、転倒リスクを高める可能性がある。
低い丸椅子では立ち上がりにくく、かえって不安を感じることがある。
解答4:介護福祉職の判断で、向精神薬を服用してもらう。 → ✕(不適切)
医師の指示なしに薬を服用させることは違法行為であり、介護福祉職にはその権限がない。
不安や興奮がみられる場合は、まず生活環境の調整や対応の工夫を行うことが優先される。
解答5:ここがAさんの自宅であることを理解してもらう。 → ✕(不適切)
認知症の方に現実を押しつけるような対応(リアリティ・オリエンテーションの押しつけ)は、不安や混乱を増す可能性がある。
本人の思いに寄り添い、「共感的に対応する」ことが重要。
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