
<領域:こころとからだのしくみ>認知症の理解
問題46
次の記述のうち, 回想法として、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 肩や背中から優しくゆっくりと触れる。
2 共感を通して 認知症 (dementia) の人が体験している現実を受け入れる。
3 見当識を高めるために, 時間や場所、現在の状況を説明する。
4 昔の写真や音楽を活用して, 記憶を活性化する。
5 残存能力を活用し、 共同作業を通して仲間をつくる。
解説:回想法(Reminiscence Therapy) は、過去の経験や記憶を思い出すことで、認知機能や感情の安定を促す心理療法の一つ です。特に 認知症の方に対して、昔の写真、音楽、思い出の品などを活用しながら会話を進める ことで、ポジティブな感情を引き出し、コミュニケーションを促進する目的で用いられます。各解答の解説は以下になります。
解答1:肩や背中から優しくゆっくりと触れる。
→ 誤り(タクティールケアに関連)
これはタクティールケア(触れることによる安心感を与えるケア) に関するもので、回想法とは異なります。触れること自体はリラックス効果をもたらすことがありますが、回想法の本質は過去の記憶を引き出し、会話を通じて認知機能を刺激すること です。
解答2:共感を通して認知症の人が体験している現実を受け入れる。
→ 誤り(ユマニチュードに関連)
これは**「ユマニチュード」や「バリデーション療法」** に近い考え方です。認知症の人の感じている現実を否定せず、共感的に関わることは重要ですが、回想法の主目的とは異なります。
解答3:見当識を高めるために、時間や場所、現在の状況を説明する。
→ 誤り(リアリティ・オリエンテーションに関連)
これはリアリティ・オリエンテーション(見当識訓練) に関するもので、回想法とは異なります。リアリティ・オリエンテーションでは、現在の時間や場所、日付などを繰り返し伝えることで、見当識(現実を認識する能力)を向上させる ことを目的とします。
解答4:昔の写真や音楽を活用して、記憶を活性化する。
→ 正しい(回想法の基本)
回想法の基本的な手法は、過去の写真、音楽、思い出の品などを活用して、本人の記憶を引き出し、感情を安定させ、認知機能の維持・向上を図ること です。特に 昔好きだった音楽や懐かしい写真は、情動記憶を刺激し、ポジティブな感情を引き出す 効果があります。
解答5:残存能力を活用し、共同作業を通して仲間をつくる。
→ 誤り(作業療法に関連)
これは作業療法(OT: Occupational Therapy) に関する考え方です。作業療法では、認知症の人が持つ能力を活かしながら、手作業などを通じて社会的なつながりを持つことを目的とします。回想法とは異なるアプローチになります。
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