
次の事例を読んで,問題116について答えなさい。
【事例】
Cさん(59歳,男性)は,妻(55歳)と二人暮らしであり,専業農家である。Cさんはおとなしい性格であったが,最近怒りやすくなったと妻は感じていた。Cさんは毎日同じ時間に同じコースを散歩している。ある日,散歩コースの途中にあり,昔からよく行く八百屋から,「Cさんが代金を支払わずに商品を持っていった。今回で2回目になる。お金を支払いにきてもらえないか」と妻に連絡があった。妻がCさんに確認したところ,悪いことをした認識がなかった。心配になった妻がCさんと病院に行くと,前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia)と診断を受けた。妻は今後同じ ようなことが起きないように,Cさんの行動を常に見守り,外出を制限したが,疲労がたまり,今後の生活に不安を感じた。そこで,地域包括支援センターに相談し,要介護認定の申請を行い,訪問介護(ホームヘルプサービス)を利用することになった。
<領域:総合問題>総合問題1
問題116
その後,妻に外出を制限されたCさんは不穏となった。困った妻が訪問介 護員(ホームヘルパー)に相談したところ,「八百屋に事情を話して事前にお金を渡して,Cさんが品物を持ち去ったときは,渡したお金から商品代金を支払うようにお願いしてはどうか」とアドバイスを受けた。訪問介護員(ホームヘルパー)が意図したCさんへの関わりをICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に当てはめた記述として,最も適切なものを1つ選びなさい。
1.個人因子への影響を意図して,健康状態に働きかける。
2.健康状態への影響を意図して,心身機能に働きかける。
3.活動への影響を意図して,身体構造に働きかける。
4.参加への影響を意図して,環境因子に働きかける。
5.環境因子への影響を意図して,個人因子に働きかける。
解説:この問題では、訪問介護員(ホームヘルパー)がCさんへの関わりをICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)に当てはめた際の意図を選びます。ICFは、健康状態、心身機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子などの要素を評価する枠組みです。各解説は以下になります。
解答1:個人因子への影響を意図して,健康状態に働きかける。
個人因子は、その人自身の属性(年齢、性別、習慣、性格など)です。健康状態に働きかけることは、主に病気の治療や健康維持を目的としますが、今回のアドバイスは行動面に関するものですので、適切ではありません。
解答2:健康状態への影響を意図して,心身機能に働きかける。
健康状態に働きかける場合、医療的な介入が主な手段です。心身機能に働きかけることはリハビリテーションや治療ですが、今回のアドバイスはそれとは異なります。
解答3:活動への影響を意図して,身体構造に働きかける。
活動は、日常生活で行う行動や作業を指し、身体構造への働きかけは、手術や身体的な介入を指します。今回のアドバイスはこれには該当しません。
解答4:参加への影響を意図して,環境因子に働きかける。
参加は、社会生活や地域活動への関わりを指します。環境因子に働きかけるとは、Cさんの環境を調整することでCさんが社会に参加しやすくすることを意味します。今回のアドバイスである「八百屋に事情を話して事前にお金を渡す」という方法は、Cさんが社会的活動(買い物)を続けられるようにする環境調整の一例であり、最も適切な選択肢です。
解答5:環境因子への影響を意図して,個人因子に働きかける。
環境因子への影響を意図する場合、通常は社会環境や物理的環境の改善が考えられます。個人因子に働きかけるとは、Cさん自身の性格や習慣などに影響を与えることを意味しますが、今回のアドバイスは環境を調整するものですので適切ではありません。
上記から最適なのは解答4と言えます。
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